ワイド-悪役令嬢の奮闘記- ~実家を守るために悪役を演じます~
両親と弟が病になってしまい、兄が方法を探す間に学園で解決策を探すことにしたフエリ。
しかし、公爵家という身分によってくる人が多いので悪役を演じることにして日々を過ごす。
実家に悪影響を及ぼしてくる人は容赦なく処分していき、邪魔な勇者と王女をかわしつつ病について探し物をする少女の物語である。
※この小説は下記小説の登場人物の物語です。
短編として別に記載をいたしました。
「くそ、なんだよお前!」
目の前の男が叫んでいる。
両親の財産に手を出そうとするなんて汚らわしい。
「せいぜいあの世で後悔なさい。では、さようなら」
わたくしは、他の人に命令をして男を処分させる。
これでまた一人邪魔をする人がいなくなったわね。
わたくしが家を守るしかないんですの。
なぜ、わたくしがこんなことをしているというと少し長くなりますわ。
公爵家の長女として生まれたわたくしは両親と兄、弟と仲良く暮らしていたんですの。
しかし、両親と弟が戦争の終わりと同時に病にかかってしまい、兄はギルドという便利屋のようなもので両親を治す薬を探しに就職をしたんですの。
わたくしは王都にある学園の図書館なら病について記載されていると噂に聞いてこの学園に入ったんですわ。
昔はわたくしには許嫁がいて、周りに男が寄ってこなかったですけど、戦争で亡くなってしまってからは公爵家の財産目当てで、こうしてやってくる男ばかりですの。
どの人が本当のわたくしを見ているか判断つかないければ、周りを引き離すしかないですの。
だから、人が近寄らないように悪役を演じて、悪影響な人は処分することにしたんですの。
「お嬢様、処分いたしました」
「セバスチャン。迷惑をかけますわね」
「とんでもこざいません。公爵家を守ることができるのであればこのくらいお安い御用でございます」
「ありがとう。あなたの働きにはいつも感謝しています」
と、わたくしの執事であるセバスチャンと話をしていたら遠くからこっちにやってくる人が見てた。
あれは……、例の勇者君ですわね。
国が召喚をしたせいで自分が優秀だと思って勘違いをしているおバカな人ですの。
「フエリさん、ここにいたんだ」
「わたくしの名前を気軽に呼ばないでくれます?
それにわたくしはあなたの友達でもなんでもないのですけども?」
「そんなこと言わないで、仲良くしようよ」
「嫌ですわ。
あなたの面倒を見ている聖女はどうしたんですの?」
「ああ、今怪我をしてしまったからキールの街の方で治してもらうことにしたんだ」
この男はバカですの。
聖女が国の命令で命がけで召喚をしたというのに、簡単なことだと思ったらしく怪我をしている聖女を無理やり護衛にしてもらったらしい。
それにこの勇者君は顔だけは整っているからか、おバカな第4王女が懐いているらしく、権力を振り回しているとか。
この間も無理難題なクエストをギルドで受けて聖女のおかげで助かったが、聖女がギブアップしたらしく療養中とのことだ。
この男も公爵家の権力を狙っているとセバスチャンが教えてくれた。
「そうなんですの。あなた方が死んでも興味ないので、これにて失礼するわ」
「待ってよ! ご飯でも一緒に食べよう!」
「あなたには耳がついているんですの? あなたには興味がないの。
二度と近寄らないでくれます?」
「そんな……」
「さっきから聞いていたら、あなた勇者様になんてことを!」
ほら、この勇者をあしらうと第4王女が面倒だ。
適当にご飯でも食べてもお暇させてもらおう。
「わかったのですわ。早くご飯を食べて帰りましょう」
本当に面倒な王女である。
誰か適当に処分でもしてくれないかしら。
何かの役に立つのであればいいのでしょうけど、王族の中でもお荷物と言われており邪魔者になっている。
同情はするが、本人の行動に問題があるため手助けはできない。
それにわたくしだって、周りからは暗い噂しかないと思われているから同じようなものよ。
それから2時間くらい茶番に付き合っている。
本当に無駄な時間を過ごしているわ。
この時間も図書館で調べ物をしたいのに。
学園の図書館は大きすぎるため、いくら調べても時間が足りないと思っている。
司書さんに聞いても把握しきれていないみたいで、目的に本があるかどうかすら怪しいところなの。
それなのに、この勇者達はどのデザートを食べようか悩んでいる。
少なくとも勇者達が原因で聖女が怪我をしたのに呑気なものだ。
この国の国王は優秀な賢王と言われていたが、もうボケているのかしら。
早いところ両親と弟を助けてこの国を立て直す必要があるかもしれない。
「フエリさんはどれがいい?」
「あなたお金はどうするんですの? ここは高級料理店でデザートは一番高いですわよ」
「大丈夫だよ。僕は勇者だからお金には困らないんだ」
「そうですの。ならわたくしはこのケーキをもらおうかしら」
こんな茶番に付き合っているのだ。
折角なので一番高いケーキを食べておこう。
10分ほど待ち、ケーキが届いた。
どうやら本当に高いだけあり、美味しいようだ。
普段ケーキなんて食べている暇なんてないので、休暇だと思うことにしよう。
目の前で覗き込んできている勇者はゴミか置物だと思うことにしよう。
ケーキを食べていると、セバスチャンが合図をしてきた。
あの合図は緊急用のものね。
「ちょっと、お花を摘みに行ってまいりますわ」
「お花があるの?」
フンッ!
勇者があまりにもバカなようなので王女に見えないように足を踏んづけておいたわ。
トイレに行きたいという比喩表現よ。
紳士としてそれくらいは把握しておきなさい。
「セバスチャンどうしたんですの」
「お嬢様。まずいです」
「落ち着きなさい、ゆっくり状況を報告してごらんなさい」
「はい。失礼いたしました。
周りの警備をしていた者から何者かに襲われて交戦中とのことです。
優秀な者のため、無事だとは思いますが時間がかかってしまうとのことです。
そして、このお店に大勢の刺客達が向かっているとのこと」
「タイミングが悪いわね。もっと戦力になる人がいればどうにかできたかもしれないのに、ここにはお間抜けな勇者と王女しかいないわ」
「はい。店員もグルのようで手招けをしているようです」
「万事休すね」
ガシャーン!!
店内からガラスが割れた音が響く。
高級料理店ということもあり、お客はわたくし達しかおらず、勇者達は固まっている。
「一旦、時間稼ぎのために相手の出方を把握しましょう」
「かしこまりました」
セバスチャンと固まっていると、賊が10人お店の中に入ってきた。
店長らしき人物もやってきたので店長がグルだったのだろう。
「リーダー、公爵家の娘と王女と勇者です」
「よくやった。これで身代金ががっぽり入るぜ」
どうやら、お金が目的で誘拐でもしようとしているみたいだわ。
何かこの状況を打開するための方法を考えておく必要がある。
「なに君達? 僕はこれからデザート食べるところなの」
「おいおい、この状況下でデザートだと? 間抜けなのか?」
勇者君がデザートを食べ続けていると周りの賊達は大笑いをしている。
勇者君は本当に平和ボケでもしているのかしら。
それとも、戦力としてこの状況ならどうにかできると思っているのかしら。
「どんなデザートを食べているんだ?」
男がデザートについて質問をしてきたからデザートを取られると思ったのだろう。
男のことを見ないでデザートだけを食べている。
本当にありえない行動をしていると思うわ。
「オラよ!」
近づいて殴れる範囲にまで近づいたからか、勇者君のことをぶん殴って吹っ飛ばした。
結構飛んだわね。
「ぐへ……。何するのさ……。僕が何したっていうんだ!」
勇者君が泣きながら賊と何か言い合っている。
いい感じに時間稼ぎになっている。
でも本当にあれで勇者なの?
勇者って英雄とかと同列の存在じゃないの?
とてもじゃないけど、わたくしの家は守れなそうね。
賊達は勇者に気が向いているみたいでわたくしの事を見ていない。
今がチャンスね。
セバスチャンに合図をすると、わかってくれたみたいで王女を連れて壁際までやってきた。
王女には沈黙の魔法をかけていたみたいで王女は泣いているが声が出ていない。
「セバスチャンやるわよ」
「かしこまりました。お嬢様」
セバスチャンと同時に魔法を発動させて、近くにいた賊を撃ち抜く。
実家を守るためにはこのくらい必要だ。
「何だ? グワーッ!!」
気がついた人から魔法で頭を撃ち抜く。
「拷問して状況を把握したいから一人は残すのよ」
「かしこまりました」
と喋りながら敵を撃ち抜いていく。
お店の外にいる敵は、もう一人の護衛に任せれば大丈夫だろう。
「俺達は身代金をもらうだけで人を殺すことまでしていないぞ!」
「あら? 何を言っているのかしら? わたくしに手を出したのだからこのくらいは当然でしょう?」
賊が何か言っているが、耳を傾けることはしない。
実家を守ると決めた時から、わたくしは変わったの。
わたくしの魔法が拘束していない賊の頭を撃ち抜いた。
「あら。汚らしい花火ね」
恐怖心を周りに植え付けておけば、今後手出しをしてくる人はもっと減るだろう。
外の敵は護衛がどうにか対応したみたいで、街の人たちが何かあったのかと集まっているから。
だから、これを見せれば今後寄ってくることはないと思うわ。
「ありがとう、フエリさん」
「あら。勇者さん居たんですの。もう帰ったかと思いましたわ」
あくまで嫌味を言っておく。
いやな人物であると周りに印象付けておくのは大切なことなの。
「……」
「では、わたくしはこれにて失礼させていただきますわ」
セバスチャンを引き連れて、拘束している者のところに行く。
既に護衛が尋問をしてくれていたみたいで、もう虫の息になっている。
まあ、勇者君も囮くらいにはなったわね。
ついでに王女はうるさいだろうから、まだ沈黙の魔法が効いたままだ。
あと20分もしたら喋れるようになるのかしら?
「この者の情報については?」
「はい。どうやらフエリ様の予感の通り、フィム家を陥れるために雇われた者のようです。
勇者と王女は身代金が貰えるだろうと思っていたとのことです。
フエリ様は……」
「大丈夫です。
わたくしは殺せば、我がフィム家は兄しかいなくなりますから。
そのように考えるのは当然のことでしょう」
「はい……。
また、お兄様がいらっしゃるキールの街に魔力塊ができるように仕向けたとのことです」
「それなら大丈夫でしょう。
お兄様はお強いのでお一人でもどうにかできると思っていますわ。
さて、衛兵に引き渡してわたくし達は帰りましょう」
「かしこまりました」
あれから、衛兵がすぐに現場に入ってきて店長と拘束した賊と、死体になっている賊を回収して行った。
後日に聞いた話だと、店長もフィム家に恨みがあるらしく手伝ったらしく、お店は潰れていた。
というよりも、権力を使って潰した。
賊を雇っていた人物も探し出して、社会的にも物理的にもこの世から退場をしてもらった。
その時も何か恨み言を言っていたが、お互い様だと思うわ。
貴族という生き物は自分の家の繁栄にために全力を注いでいる人が多い。
だから、自分の家が取り壊しになったりすると暴走する人も多々いる。
今回は取り壊しにまでしているため、一族を秘密裏に処理した。
そのおかげで、周りからはもっと恐れられるようになったわ。
このままじゃ、悪役を演じているというよりも悪役かもしれないわね。
しかし、そんなわたくしにも最近悩みがある。
なんと、ストーカーが付いてくるのだ。
どこに行っても後ろをついてくるという気味の悪さ……。
直接何かをした訳でもないので、処分する気にもならず、学園に報告をする気にもならない。
しかし、ずっとついてくるという気味の悪さである……。
そのおかげで、心が唯一休まる中庭での休憩でさえも、気分が悪くなってしまう。
昔は許嫁がいたおかげで他の男が近づいてくることがなかったので、今更ながら許嫁が亡くなったことを恨む気持ちが出てくる。
と言っても、死者を恨んだところでどうしようもないため、何か対策が必要ね。
「すみません、お恵みをくれませんか?」
「フンッ! あげるから二度と顔を見せないでくれます?」
時々学園を出ると、このように公爵家だと知っている物乞いから物や金銭をせびられることもある。
貴族として平民を大切にしなさいという教えがあるから、助けることはするけど、つけ入られないように厳しいことも言っておく。
このような事があるから、学園の中庭しか心が休まらないのだ。
今日も今日とて、教室ではわたくしを周りはびくびくした目で見てくる。
居心地が悪いですわね。
授業がないので、中庭で休もうかしら。
教室を出ると、やはりすぐにストーカーがやってきた。
中庭までは入ってこないから、まだいいけれども、何かあった時のために魔法を放てる準備をしておこうかしら。
中庭にあるベンチに座りながら、そんなことを考える。
今日も変わらない1日。
今日も図書館には行く予定でも、病に関しては何も見つからない可能性の方が高い。
この間から変な人物に取引を持ちかけられているので、それもいいかもしれない。
なんて考えていると、30代くらいだろうか。
男の人が中庭に入ってきて、ベンチに座りたそうだ。
「突然ごめんね。
隣座っても大丈夫かな?」
「ええ。構いませんわ」
珍しい人がいた者だ。
わたくしの事を知らないみたいだ。
そのまま、いくらかの時間を話をしていたが昔を思い出してしまった。
なぜだろう。
この人の雰囲気が許嫁に似ていたからだろうか。
楽しい時間を久しぶりに過ごすことができた。
今日、図書館でまた病を治す方法を調べてみようかしら。
なぜか、また昔に戻りたい気力が湧いてきたので、セバスチャンにスケジュール調整をしてもらう。
残りの授業を受けてから早く図書館に行きましょう。
今は悪役をしなくてはいけないけれど、いつかは普通の公爵家の令嬢に戻れることを夢みて……。
読んで下さりありがとうございます。
普段は連載小説を執筆していますが、今回短編を書いて見たくて執筆して見ました。
本作にて出てきた主人公は連載小説の登場人物でしたが、各キャラクターにもストーリーがあるということを書きたかったのです。
悪役になりたくてなっている訳じゃなく、いつかは幸せになれるように夢見て頑張るという女の子のストーリーでした。
末筆になりますが、よろしければ連載小説も見ていただけると幸いです。
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※連載小説では第3章に登場いたします。
もしよければ、下記のリンクから本編もご覧ください。
主人公は男性です。




