本題……と、その前に
「さて、そろそろ本題に入りたいのだが……と、その前にエミリア嬢、お前のその状態はあまりこの場には合わねな。
お前も関係があるから連れて来させたが、仕方あるまい」
国王はエミリアの状態が気に入らないらしく、そう言った。
「陛下、悪女はこのような姿で十分です」
逆に国王の言葉に反論するバカもいたが。
「だが、最低限度のことはしてもらわなくては困る」
少しずつだが、国王の言葉に怒気が含まれるようになってきた。
「ですが……」
「黙れ!
おい、そいつを着替えさせてこい。なるべく早く」
国王は、とうとうスカルに対して怒鳴り、エミリアを連れてきたが女騎士に対していった。
「は、了解しました。
行くぞ」
女騎士は無理やりエミリアを立たせて、鎖を引っ張ってエミリアを部屋から退出させた。
「さてと。エミリア嬢がいる時に話をしたかったのだが、着替えに行かせたので仕方ない。
とりあえず、スカルお前の主張を聞いてやる」
国王の当初の予定では、スカルの話を聞くつもりがなかった。しかし、エミリアがいないことには話を進めることができないので、気は進まなかったが、スカルの話を聞くことにした。
「何故、エミリア嬢が悪女なのだ?」
「あいつが悪女なのは当たり前です。あいつは未来の我が妃であるローズを傷つけたのだのです。それだけで悪女である理由としては十分ではありませんか」
「あの子は、何もしていない!」
スカルの言葉にファニア伯爵が声を荒げた。
「ファニア伯爵、そのような大声を出されるのはどうかと思いますよ。娘の可愛さ故なのでしょうが、そのようなことは貴族の当主としてどうなのでしょうかね」
伯爵に向かってそう言ったのは、ヘルニア公爵だった。
ヘルニア公爵とファニア伯爵の仲はもともと悪く、対立していた。
今回の公爵の発言も国王の伯爵への印象を悪くするためのものだった。
「ヘルニア公爵もファニア伯爵も一度静まれ」
「「申し訳ありません」」
「では、スカルよ。エミリア嬢がローズ嬢をどのようにして傷つけたというのだ?」
「あの悪女は、ローズを学園でいじめ、更には彼女の命まで狙いました。そのせいで彼女はいつ狙われているかわからないという恐怖からおちおち眠れなくなったそうです。それだけで十分悪女と呼ぶにはふさわしいと思いますが」
「そうか。では、ローズ嬢の命をエミリア嬢が狙ったという証拠はあるのか」
国王はまたスカルに聞いた。