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帰還

  この日、国王が辺境の視察より王都に帰還した。

 この時の王は知らなかった。スカルの起こした一連の騒ぎを。


 国王は王城に戻り、自身の執務室へと向かった。


「陛下、無事のご帰還、よろしゅうございました」

「そのような挨拶はいい。私がいなかった時の様子を報告してくれ」

「はい、分かりました」


 国王の執務室にて彼を待っていたのはこの国の宰相だった。

 彼は儀礼的な挨拶をし、その挨拶を国王はすんなりと受け流した。


「まず、国の運営に関してはほぼ問題はありませんでした。また、他国の動きも特に大きなものはなく安心してよろしいかと思われます」


 国王が自国内とはいえ王都を離れるとなると少し他国が動きを見せたりすることもある。国王とはそれだけ慎重な行動が求められるのだ。


「他には、何かあるか」

「はい、何といいますか、あの……」

「早く言わぬか!」


 国王はこの宰相がこれ程、言葉を濁しているのを初めて見た。


「えーとですね。スカルのことで……」

「あやつが何かしたのか」


 国王の耳には、スカルが行なってきた問題が入ってきていた。

 例えば、スカルは公爵の息子なのに自身を王太子だと言ったり、婚約者がいるというのに他の女性と仲良くしていたり、などなど多くのことが国王の耳には届いていた。

 だが、今回宰相から告げられた言葉はそれらの問題たちが問題とは言えない程のものだった。


「スカルがエミリアとの婚約を破棄しました」


 その言葉を聞いた瞬間、国王は座っていた椅子から勢いよく立ち上がるのと同時に、頭を抱えた。


「それは本当か」

「はい、スカルが側妃様の開いたパーティにて言われました」


 よりにもよってそのような場でしなくてもいいだろうと国王は思った。


「さらに、その婚約破棄は一方的なものだったみたいで、伯爵家の方にはなんの断りもなかったらしいです」

「そうだろうな。

 少なくとも伯爵が知っていたのなら、絶対に私が帰還するまで婚約破棄などさせなかっただろうからな」


 国王にとってファニア伯爵はとても信頼の置ける人物なのだ。


「で、その後、エミリアはどうした?」

「それが、……地下牢に」


 国王はそれを聞いた瞬間、意識が遠のいた。

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