地下牢にて
私が地下牢に入れられて三日が経った。
私が入れられた地下牢は、普通の犯罪者などに使う牢だった。
城の地下牢には貴族用の牢があるにも関わらず、そこではなく、普通の牢。
ここにもスカル様が何か言ったのだろう。
私に惨めな思いをさせたいという思惑が丸見えだ。
まあ、別に私は入れられた牢についてとやかく言うことはない。
私自身、野宿を何度も経験したことがあるからこの程度では何とも思わない。
出された食事が不味かろうが別に、だ。
敢えて何か言うとすると暇。
牢に入れられたのはいいけど暇なのよね。牢の中では何もすることがないし。
いつも私は何かしているから逆に何もしないとなると落ち着かないのよね。
はあ、暇だ……
「エミリア様」
おっと丁度いいところに。
「ねえ、私と遊んでよ〜兵士さんー、ってブラドじゃない。どうしたの?」
「どうしたの? ではありませんよ、エミリア様」
私の入っている牢の前にいたのは私の密偵のブラドだった。
ブラドは、私に仕えている密偵で、仕事は完璧にこなしてくれる優秀な人材。
「で、ブラド、用件は何かしら」
「はい、例の二人のことの報告を」
例の二人とはもちろん、スカル様とローズさんのことだ。
私は、二人がどう動くかブラドに監視させているのだ。
「分かったわ。聞かせてちょうだい」
「は。まずーー
ーーということです」
ブラドの話を纏めると、あの二人は私が牢に入った次の日から毎日のようにパーティーなどに参加し、毎日のように高級なイヤリングなどの装飾品をスカル様がローズさんに送っているとのことだった。そのお金は、王国のお金から出ているとのこと。
まだ、それほどの額ではないけれど、あまり続けられるのは良くないかもしれないわね。
「ブラド、報告ありがとう。引き続き監視をお願いね」
「はい、了解しました。
ところで、エミリア様、やはり牢を出られる気は……」
「もちろんないわよ」
「はあ、エミリア様が牢に入っているお陰で屋敷では、今にもカレンが例の二人に突撃していきそうな様子なのですよ」
「へえー、そうなのね」
「何で、それほど他人ごとなのですか」
「実際、他人ごとなのよね。それに今、私は牢を出る気は無いからね」
「何故ですか」
「楽しそうだから」
「はあー」
ブラドは私の答えを聞いて重いため息をした。
今の私の行動理念は楽しそうだから。それ以上でも以下でもない。
ただ楽しそうだから出ないだけ。
だって今まで国王からの勅命で王都を離れて仕事をして、戻って来たら学園に通いと色々やってきたのだからたまには息抜きも必要でしょ。
それが今だって言うだけ。
「どうにか、カレンは抑えておいてね」
「はい、分かりましたよ。姫様」
ブラドの最後の呼び方は私に対しての悪口だ。
まあ、だからといって私がどうにかすると言うわけでもないけど。
というか、さっきから話に出てきているカレンというのは私の侍女だ。
私への忠誠は人一倍で、今回のように暴走することもある子だ。
それが面白いのだけれどね。