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残夏の夢路で  作者: haL.
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ユ ウ エ ン チ

 遊園地は廃墟と化していた。何があったのだろうか。最後に来たのは……確か俺が中学一の頃だ。で、俺は今高二だから、一、二、三、四年前か。たった四年で遊園地はここまで風化するものなのだろうか。


 近くに明かりは少なくぼんやりとしか見えはしないが、入場ゲートも、その先にある遊具も殆ど全てが錆び付いている。物音一つなく、近づく秋のそよ風だけが俺の鼓膜を振動させる。


 静寂の中、普通であれば進むことが躊躇われるような光景が広がっているが、俺は入場ゲートへと歩いていった。俺の好奇心はそれほどまでに肥大化していたのだ。知りたい。ともかく知りたい。理由なんて分からない。何かに取り憑かれたような気分なのだ。


 受付のいない入場ゲートをくぐり、中へ。遊園地といえば、普通明るいBGMが流れていたりだとか、子ども達の笑い声だとか、カップルの喋り声なんかが聞こえてくるものだが……。この騒がしかっただろう空間を静けさが支配している。それに強く違和感を感じた。例えるならば、放課後、誰もいない教室にいるかのような気分だ。


 廃墟になっていたのは意外であったがこれ以上ここにいたって何も得るものはないだろう。もう帰ろう。あまり遅くなると母も心配するに違いない。











 と、その時。突如として次々に灯る園内の街灯。流れ出す、場違いなアップテンポなBGM。


 目の前にあったメリーゴーランドが回り始めた。暗闇の中のそれはてっきりコーヒーカップかと思っていたのだが、メリーゴーランドだったらしい。


 メリーゴーランドは陽気なリズムを刻みながら回っている。それ「自体」は決して綺麗ではない。錆び付いているし、スプレーで描かれたのであろう落書きも所々に見受けられる。だが、綺麗なのだ。赤や緑、黄色の電球でライトアップされている馬達は優雅に、雄大に見えるのだ。


 突然、「回りだした」事態に俺は暫し呆然としていた。だが、それも長くは続かなかった。なぜなら、先ほどまで誰も乗っていなかったメリーゴーランドに一つの人影を見つけたからだ。厳密には「人」とは断定できないそれは白い布を被った子どもに似ている。大きな大きな白い布を一枚被ったそれの体格は、小学生か、中学生になりたてとかそのくらいであろう。はっきり言って現世に生きる人間には見えない。


 そいつはメリーゴーランドから降り、僕の前に立った。そして例のノイズの掛かった声で囁く。


「オカエリ」

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