表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移した世界より  作者: 海野 絃
記憶と現実
1/50

わけがわからないのですが

 初投稿です。よろしくお願いします。

「我々は今こそ立ち上がらなければならない!」

 拝啓、父上と母上…元気っすか?僕は名古屋でサラリーマンやってました。どうして過去形かって?


「今こそ魔王を倒すべき時が来た!」

「「悪を滅し、正義を掲げよ!悪を滅し、正義を掲げよ!」」

 クビになったんですよ。いや、嘘を言いました。会社がブラック企業で…これも嘘です。理由は思い出せないんですが、とにかく脱サラしたんですよ。どういうわけか自分でも思い出せません。

「我らが正義、見せるは今ぞ!」

「「おぉ!」」


 ところで親父、日本語が通じるのに読めない字を使う国って知っているか?

 ところでお袋、人の往来が激しいのに圏外なところを知っているか?

 ところで愚弟、金髪碧眼の異邦人が時代錯誤なカウボーイ姿で街を歩いているのだが…

 ところで姉貴、西部劇でも始まりそうな街にいるのだが…


「民兵組織の意地を王国兵どもに見せつけてやれ!」

「「いくぞー!」」

 ………誰か、僕がいる場所を教えてください。敬具…っと。まぁ、スマホでメールしても…圏外なんだから意味ないけどさ。やらないよりはマシだと思うわけですよ。


「さて…これは映画の撮影?にしては妙だな」

 僕は今、西部劇に登場するような砂の街にいる。なぜいるのか?という質問については答えかねる。僕が1番知りたいのだから。最も新しい記憶は…名古屋駅前のファストフード店で安いランチメニューを食べていたこと。日付はわからない。気づいたらこの街の路地裏に立っていた。

「ワープ…ではないな。今更こんな旧文明な生活をしている都市は知らない。となると、近代アメリカにタイムスリップ?…でも、あそこにいるのは青髪の男…緑も赤もいる。当時に髪をナチュラルに染める技術があるとは思えない」

 僕は大通りに顔を出し、そこから見える演説中の広場を凝視する。演説中の男の手には…

「カービン銃?違うな。もっと古い…マスケットか?」

 火縄銃のような銃身の長い銃を天高く掲げている。どういうわけか、演説を聞いている人々もその銃を持っていた。戦争でもしようというのだろうか?それとも…巨大な熊や猪を狩ろうという話なのか。


「総員、装備を整えたら北門に集結しろ。勇者様一行の後に続くぞ!」

「「おぉ!」」

 …勇者?戦争に勇者なんて言う言葉は出てこない。となると、狩り?民族的イベント…スペインの闘牛士みたいな主役がいるということか?

「やば、解散するみたいだ」

 演説が終わったのか、集まっていたカウボーイハットを被った人々が解散する。僕は反射的に顔を引っ込め、路地裏の人がいなさそうなところまで撤収する。見るところ、路地裏には現代のような室外機がない。電線もない…ひょっとすると電気という概念が存在しないのかもしれない。カウボーイハットや火縄銃…電気がない…導き出される答えは…

「1400~1700年代?歴史は得意じゃなかったからな。でも、現代ではない。映画の撮影セットにしてはカメラも見当たらないし…建物の造りが精巧すぎる」


 木箱と木箱の隙間に丸くなり身を潜める。土地勘がないために、下手に動くと危険だ。

「タイムスリップの可能性が高い…だが、当時のアメリカ人って緑髪がいるのか?」

 答えを導き出すには圧倒的に情報量が少ない。だからこそ、今…大通りで人に話しかけようものなら、異邦人として殺されてしまうかもしれない。江戸時代の日本は鎖国をして、異邦人を毛嫌いしたそうだし。

「そもそも今の恰好は目立つよな」

 僕は丸くなってから、初めて自分が紺色のスーツ姿であることに気づく。カウボーイの街にビジネススーツで乗り込むには勇気がいる。

「どっか…服は落ちてないかな」

 路地裏にはゴミがあるのが定番なのに…ゴミもない。

「所持品はスマホと自宅の鍵、財布…煙草とライター」

 …とりあえず1本吸おう…


「おい貴様」

 リラックス。リラックス…1日1本の楽しみ~

「無視するのか?貴様のことだ」

 百害あって一利なしと言いますけど、本当なのかね。もし本当なら販売を禁じればいいじゃないか。そもそも百害全て上げて見てくれよ。たぶんだけど、一利は見つかると思うんだ。


「聞こえているのか!」

「うわっ!」

 急に目線が高くなる。リラックスタイム中に何事かと思ったら…僕は胸ぐらを掴まれ、大男に無理やり立たされていた。大男の存在に気づかなかったなんて…

「えちょま…待ってください!」

 慌てて大男の腕を両手で引きはがそうとするも…ビクともしなかった。僕は胸ぐらを掴まれたまま、つま先立ち状態になる。

「貴様…見たこともない顔だな。何者だ?」

「え~と、え~と…さぁ?」

 愛想笑いは得意だった。ただ…


「魔王軍の手先か。牢屋にでも入っていろ」


 よくわからないまま…連行されたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ