集められし能力者
謎の手紙で館に連れてこられた時雨恭子
そこに居たのは微妙な能力を持つ能力者達だった。
全てが謎に包まれたまま、何が起こるのか
骸骨のような面を被った執事らしき男と共にリムジンで移動すること3時間。
車窓から見える景色は新緑が深まり都心から見ると別世界のようだった。
「どこに連れてくんですか?」
「……。」
ボクの問に男は黙っていた。
前だけを見据えているその姿はどこか操られているようにも見えた。
ふと、前を見てみると立派な門構えが見えてきた。
門をくぐると黒っぽいレンガ造りの大きな屋敷。蔦が繁茂し、庭木も伸び放題な姿は屋敷と言うか廃墟に近かった。
駐車スペースには既に何台か高級車が並び既にお客は到着しているようだ。
「どうぞ、中へ。」
扉が軋み、音が鳴る
中は薄暗く、中の灯りは乏しい。執事らしき男がそのまま案内したのは高級レストランを思わせる食堂だった。
その部屋だけはシャンデリアが部屋内を明るく照らしていた。
「御主人様がご到着されるまで少々お待ちください」
そう言って執事らしき男は部屋から去っていった。
「……。」
ボクは室内を観察する。
扉から見て左側から男3人が座りその向かい側に女が2人。目の前には湯気がたっている暖かそうなスープが置かれている。
「……。」
1番近いところにいた男がボクに話しかけてきた。
「やぁ。君もこの館に連れてこられたんだね。どんな能力を持っているんだい?」
「……。」
向かい側に座る女が口を挟む
「久保田さん、そんないきなり聞いたら失礼ですよ。」
久保田と呼ばれたふくよかな男が口を開く
「いや、こりゃ失敬。まずは自己紹介からしようか。ボクは久保田誠。」
「私は佐藤夏海こっちは佐竹優子さん。久保田の隣が坂本則夫さんでその隣が木嶋悟さん。貴女は?」
「どうも、時雨恭子です。」
「実は私達5人はとある能力があるの。」
突然語り出したのは先ほど佐藤と名乗った女だった。
「能力?」
「えぇ。まぁ」
「良さないか!」
木嶋と呼ばれた男が声を荒らげた。その顔には怒りよりも怯えが強く現れ、情けなかった。
5人はすべてお見通しのようだった。隠し事をして近づくよりも確実そうなのは話してしまう事だろう。ボクの能力について…。
「……。では、ボクの能力を教えましょう。ボクの能力は声で把握するというものです。」
「ほう?どのように?」
久保田は興味津々といった面持ちで尋ねてきた。
「では、久保田さん。年齢32歳体重90kg身長162cm。誕生日は4月3日、血液型はB型、家族構成は両親と兄が1人。とまぁこんなところですか?」
久保田は唖然としながらすべてあたりだと呟いた。
「そっそんなの実はこの女が館の主人で私たちのことを念入りに調べ上げただけかもしれないじゃないか!」
木嶋は震えながら半ばヒステリックに叫んだ。
「いやいや、声だけで分かっちゃうんですよ。ボクはね。それよりも皆さんの能力も教えてもらえませんか?」
「えぇ、勿論ですとも私の能力は狙ったところに物体を投擲できる力」
開口一番佐藤が能力を暴露する。
「私の能力は相手の脳に直接言葉を発することが出来る 初めまして佐竹です」
「私の能力は全てのものの時間を見ることだね。例えば君の年齢は18歳。違うかい?」
久保田が先程の仕返しだと言わんばかりにボクの年齢を告げる
「合ってますよ。」
特に驚くことなく、素っ気無く返すと久保田は黙った
「俺はどんな機械でも初見でプロ並みに動かすことが出来るぜ。」
坂本と呼ばれた男が最後を締めくくる
「木嶋さんはどんな能力を?」
「瞬間記憶能力……。」
少し落ち着いたようだった。
僕は佐竹さんの隣を勧められそこに座った。
そして、また扉が開く。
そこには先程の執事と車椅子に乗った包帯ずくめの人間らしきものだった。
「皆様お待たせ致しました。」
主と見られる包帯ずくめが車椅子のままテーブルまで来ると周囲を一瞥し口を開いた。
どうも~
今回は登場人物紹介みたいなうっすい内容でした
次回
主の目的
こうご期待下さいませ
最後まで読んでいただき、有難う御座いました~