「愛⭐︎疾走 scampering of Love」
「愛⭐︎疾走 scampering of Love」
清志郎みたいに彼女の部屋の窓から入って驚かせようと思ったら、知らない男と裸で抱き合っていた。
レアな出来事だから動画に撮っておこう。
「なぁ、窓から変な男に撮られてるよ!」
「彼は私の恋人なの。私が愛しているのは彼だけよ。」
「そう、彼女が愛しているのは私だけなんだ。」
「そうなんだ…。それじゃあもう僕は生きていても仕方がない…。」
男は徐ろに枕の下に隠してあった拳銃を取り出すと、バーンとコメカミを撃ち抜いてバサリと倒れてしまった。
「ワオッ!」
「ワオッ!……ねえ、今の撮った?」
「うん、撮れてる撮れてる!」
「取り敢えず死体を埋めちゃいましょうよ。」
僕らは死体を車のトランクに積み込んで、死体を埋めに車を出した。
「こんな時ってどういう所に埋めるのかしら?」
「そうだね…、定番は山だろうね。」
「そんなのつまらないわ。もっとみんなが驚くような場所じゃないと。」
「驚かせるんだったら、バラバラにして公園のゴミ箱だろうね。」
考え込む彼女。
「誰かの真似もつまらないわね…。ソレにバラバラにするのはイヤだわ。汚れそうたし気持ち悪いし。」
「そうだね。僕もバラバラにする役はやりたくないな。」
「そうだ、団地の給水塔があるじゃない。あの中に入れられないかしら?」
「うーん、少々骨は折れるけどできない事はないかもね。」
給水塔に車を停めて死体を背負って彼女にロープで縛り付けてもらった。
「うーん、死体って結構重いんだね。」
「登れそう?」
「うん、頑張ってみるよ。」
給水塔の梯子を死体を支えながら登るのに両手を使うから彼女にスマホをわたした。
「後からついて登ってきてね。ちゃんと撮れてる?」
「うん、撮れてる撮れてる。」
いざ登ってみると華奢に見えた死体は更に重みを増したように感じられた。
「これSNSにアップしようよ!」
給水塔の頂上に後少しのところで、下からついて登っている彼女が弾んだ声で叫んでる。
「あ、それ生配信してるから!」
「ワオッ!アナタ天才だわ!」
給水塔の高みから街を見下ろすと、四方八方からパトカーがサイレンを鳴らしながらこっちに向かってきてるのが見える。100台くらいはあるだろうか。
遠くから近くから、パトカーだけでなく一般車もみんな必死になって我先に此処を目指しているんだ。
なんて美しいんだろう。この街の欲望が今、正に〝美〟へと昇華する瞬間だ。
「素晴らしい気分じゃないか!」
「そうね、叫びたいくらいだわ!」
おわり




