詩小説へのはるかな道 第43話 立ち上がる
原詩: 失敗日和 ー 立ち上がる詩
あの子は一才
できるかな
できないかな
歩き始めたかと思ったら
ころん、と転んで
泣くかと思ったら泣かないよ
きゃきゃきゃ、と笑って
立ち上がったよ
公園でいいもの見せてもらいました
わたしは二十九才
優しく声をかけたんだよ
新入りの子にね
「このままじゃ失敗しちゃうよ」って
でも睨まれちゃった
余計なお世話だったのかな
落ち込むほどじゃないけれど
きゃきゃきゃ、と笑うこともできないよ
じぶんが転んで立ち上がるより
人とのすれ違いを立て直すのは大変なんだ
一才の子よ
二十九才のわたしは、それでも
立ち上がるんだ
失敗、失敗、いっぱい失敗
失敗日和が続いたら
公園に行こう
また見せてね
一才の子よ
きゃきゃきゃ、と笑って
立ち上がってね
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詩小説: 立ち上がる
公園のベンチに座っていると、目の前で一才ぐらいの子がよちよち歩きを始めた。
できるかな、できないかな。
子どもは数歩進んで、ころん、と転んだ。
泣くかと思ったら、泣かない。
「きゃきゃきゃ」と笑って、土の上から立ち上がる。
その姿に、私は思わず拍手をした。
拍手の音に驚いたのか、子どもは一瞬こちらを見て、また笑った。
その笑顔は、転んだことさえ遊びに変えてしまうようで、小さな体からあふれる生命力に、私は胸を打たれた。
――前日のことを思い出す。
新しく職場に入った若い子に、私は優しく声をかけた。
「このままじゃ失敗しちゃうよ」
けれど返ってきたのは睨み。
余計なお世話だったのかもしれない。
落ち込むほどではないけれど、笑い飛ばすこともできなかった。
転んで立ち上がるより、人とのすれ違いを立て直すほうがずっと難しい。
心の中で何度も言葉を繰り返し、
「もっと違う言い方があったのでは」と考え続けてしまう。
公園の風は、そんな私の胸の重さを少し軽くしてくれる。
木々の間を抜ける風が、
「失敗なんて、ひとつの通過点だよ」と囁いているように思えた。
子どもはまた歩き出す。
今度は三歩、四歩。
そしてまた転ぶ。
でも泣かない。
「きゃきゃきゃ」と笑って、立ち上がる。
その繰り返しが、まるで小さな祝祭のように見えた。
私は思う。
職場でうまくいかない日が続いたら、また公園に来よう。
ここには、転んでも立ち上がる姿がある。
失敗を笑いに変える力がある。
きっとまた見せてくれるだろう。
小さな子が、きゃきゃきゃと笑って、立ち上がるところを。
その姿を見て、私は少しずつ、人とのすれ違いを立て直す勇気を取り戻していくのだ。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:立ち上がる
よちよちと 土に転んで 泣かぬ子の
笑顔は遊び 拍手に応う
睨まれて 余計なお世話 胸に刺す
言葉のすれ違い 立て直し難し
木々の間 風は囁く 「通過点」
失敗さえも 道のひとつと
三歩四歩 また転んでも 泣かぬ子は
「きゃきゃきゃ」と笑い 祝祭となす
公園に 立ち上がる子の 姿あり
すれ違いさえ 勇気に変わる
きゃきゃきゃと 立ち上がる子の 祈りめく
人との間に 灯をともして
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




