俺、酸素。人の体に入り込んでみた
この作品は、会社で空気扱いされていた男が、本当に「酸素」になって異世界に転生するお話です。
最初はギャグ寄りに進みますが、チートっぽい展開やヒロインとの絡みも盛り込んでいく予定です。
「空気だった俺が、世界で一番必要とされる存在に」という逆転劇を楽しんでもらえたら嬉しいです。
気楽に読んで、クスッと笑っていただければ幸いです!
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それでは、本編へどうぞ!
酸素として漂う生活にも、そろそろ慣れてきた。
……いや、慣れちゃダメなんだけど。
透明で形もなく、誰からも見えない。
人を助けても「風が吹いた?」で片付けられる。
このままじゃ一生「空気扱い」だ。
「くそっ……! なんか突破口はないのか?」
⸻
◆人体実験(物理)
その時、旅人の男が近くの道で倒れていた。
暑さで息苦しいのか、顔が真っ青だ。
「よし、今度こそ俺の出番だ!」
俺は全力で彼の口から――スッと入り込んだ。
……ズズッ!
「うおおお!? なんか入れたぞ!?」
すると次の瞬間。
俺の意識と一緒に、その男の体が動いた。
「えっ、腕がある!? 足も動く!? なにこれ人型モード!?」
試しに手をパタパタさせる。
「すげぇ……ちゃんと俺が操ってる!」
だがその男の声が頭の中に響いた。
『ちょ、ちょっと!? 体が勝手に!?』
「あ、ごめん!実験中なんで!」
『誰だお前ーーー!?』
⸻
◆暴走モード
せっかくだから試してみる。
ジャンプしてみたり、腕立てしてみたり。
「うおっ、筋肉って便利!」
『俺の体だーー!!』
さらに剣を抜いてみる。
「おおお! 刀身がピカーン! 勇者っぽい!」
『やめろ! 俺、文官だぞ! 剣なんて触ったことねぇ!!』
完全にパニックの男をよそに、俺は感動していた。
「やべぇ……これ、人に取り憑けば俺、もう空気扱いじゃないんじゃね!?」
⸻
◆でもやっぱり空気扱い
しかし。
その場に通りかかった村人が言った。
「おや? さっきの人、急に元気になったな」
「……でもなんか動きがおかしくない?」
「たぶん熱中症で幻覚でも見てんだろ」
……結局、空気扱い。
「なんでだよぉぉぉ!」
せっかく人型っぽい体験をしても、結局は存在を認められない。
⸻
それでも、俺は確信した。
人の体に入り込めば、俺は“見える存在”として動ける。
この力をうまく使えば、いつか本当にヒーローになれる日が来るかもしれない。
「よし……次はちゃんと誰かを助けてみよう!」
透明な俺は、次のターゲットを探して森を漂った。




