第11話 ゾゾゾ…巫女の決意②
しばらく、重たい沈黙が続いた。
変わらず滝の音だけが、ずっとゴウゴウと響いている。
……気まずい。
「……あの、ツグミさん、本当に……」
俺が言いかけたその瞬間、
「ごめんなさい! 叩いてしまって!」
ツグミが、先に謝ってきた。
「え? いや、俺の方こそ……てか、さっき庇ってくれてありがとうございました!」
俺が頭を下げると、ツグミの声のトーンが少し低くなった。
「この村は……部外者には危険なんです」
部外者って、たぶん……俺のことだよな?
「お願いだから、余計なことはしないで…」
……いやいや、来たくて来たわけじゃないんですけど?
「……は、はあ……」
俺の力の抜けた返事に、ツグミの眼光がピッと鋭くなる。
「とにかく! 余計な詮索などはせず、大人しく儀式に参加して、速やかに東京にお帰りなさい!」
ビシッと言われて、カチンときた。
というか――
「ツグミさん、キャラ変わりすぎじゃない!?
なんなんすか、さっきから“部外者”とか“詮索するな”とか、“帰れ”とか!」
「村のためなんです! 何事もなく儀式を終えるには、あなたに無用な動きをしてほしくないの!」
「無用なって……俺、別に何もしてないじゃん!」
「でも、あなたが来てから村が騒がしいんです!
これ以上、災いの種にならないでください!」
「はあ!? 人を疫病神みたいに言って!なんなんすか!」
「そうなりかねないと申しているのです!
私はこの八鬼祭を、なんとしても成功させる使命があります。
誰一人として――邪魔はさせない!」
バチバチに火花が散ったまま、会話は終わった。
ツグミはふいっと顔をそらし、濡れた裾を払うと、滝裏から出ていった。
取り残された俺は、しばらくその場で水を滴らせたまま、ぼうっとしていたが――
……なんなんだ、あいつ
不思議と、悔しさよりも燃えるものがあった。
そんなに重大な儀式だっていうなら…
「……絶対、その秘密、暴いてやる」
俺の配信者魂に、完全に火がついた。




