表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/47

第10話 ゾゾゾ…八鬼祭の予行②

じいちゃんの掛け声に応えるように、八木家と八幡家の人たちがぞろぞろと集まってきた。


その中で、ひときわ柔らかな空気を纏って近づいてきたのが、ワシオさんだった。


「ショウタロウくん、よろしくね」


柔らかく目尻が下がった細い目、常ににこにこと笑みをたたえている。 ふくよかな体つきも相まって、見るからに安心感がある。


……癒し系のおじさんって感じだよなあ。


そんな安らぎのひとときも束の間――


「ショウタロウ! ボサッとせんでお前も手伝え!! ガハハハ!!」


じいちゃんが、片腕で軽々と柱みたいな丸太を二本も担ぎ上げながら俺を呼んだ。


勘弁してよー……バケモンかよ、じいちゃんっ!!


がっくりと肩を落としながら、足を引きずるようにじいちゃんの方へ向かう。


その横では、女性陣たちが既に動き出していた。 大きな木のタライに米を研ぎ、せっせと炊き上げていく。


炊き出しの準備か? サクラも梅さんもばあちゃんもいる。


耳を澄ませば、薪のはぜる音と、女たちの小さな笑い声や、子どもたちのはしゃぎ声が聞こえる。


……なんか、こんな不気味な村とは思えないほど、ふつうに“生活”してるんだよな、みんな。


じいちゃんにしごかれながら、俺は黙々と作業を続ける。


丸太を持ってヒイコラ言ってる俺の隣で、

じいちゃんはというと、一本の丸太を肩に担ぎながら、


「おーい、ワシオくん、そこはもう少し手前だ!」


と、現場監督モードで叫んでいた。


「了解です〜」


ワシオさんが、にこにこしながら杭を打ち直す。


……いやいや、なにその余裕。

俺なんてもう両腕がプルプルだってのに!


「ショウタロウ!! もっと腰を落として持たんと腰やるぞ! タイガを見てみろー!! ガハハ!!!」


じいちゃんが笑いながら、横からダメ出しを飛ばす。


タイガを見ると、

腰をしっかり落とし、黙々と木材を運んでいた。


あの華奢な体のどこに、あんなパワーがあるんだよ。

無駄のない動きはまるで機械みたいだし、額には汗ひとつ浮かんでない。


なんなんだよ……人間じゃないのかよ…


俺カッコ悪すぎだろ…


「よし! そろそろ休憩だー!!」


はあー……エグすぎる……


どっと腰を下ろした瞬間、魂まで抜けそうになる。


「ショウタロウくん、お疲れ様ー」


ワシオさんが、冷えたタオルを手渡してくれた。


「……神様っすか……」


思わず声が漏れる。


ワシオさんは、相変わらずニコニコしながら麦茶まで差し出してくれた。


俺は、首にタオルを巻きながら、麦茶をもらって一気飲み。


喉の奥を冷たい流れが駆け抜けていく。


だけど、炊き出しのいい匂いはするのに、疲れすぎて、食欲がわかない。


みんなはおにぎりや味噌汁に夢中で、場はすっかり昼休みムードだ。


あっ……今だ……!

この隙に……カナタに電話しよう!


俺はそっとその場を抜け出し、石段へ向かう。


石段にたどり着くと、空気がひんやりと冷たくなっていた。


周囲に誰もいないのを確認して、俺はポケットからスマホを取り出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ