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27話 『噂』

 年月は瞬く間に過ぎていき、私は気付けば15歳。婚約をしていても可笑しくない歳になっていた。

 この世界は国によって多少の差はあるが、女の子であれば14、5歳ほどで婚約し、17、8歳ほどで結婚に至るのが一般的だ。

 その中で、私含め幼馴染たちは婚約していないのだから、異質なのかもしれない。何度か婚約の話は出ていたが、父は私の意思を尊重したいらしく、政略結婚を迫られることはなかった。

 父が私のことを大切に想ってくれているというのもあるが、ミュンシスタは強いので、そもそも政略結婚をする必要がないことも要因だと思う。

 というように、結婚問題は気楽に構えているが、世界情勢は決して穏やかとは言えなかった――――


「な、なに……? どういうこと!?」


 兄からの手紙を読んで、困惑と、飛び上がるような驚きを覚える。


『黄炎病が流行ったのは何故かミュンシスタのせいにされている。もちろんそんな事実はないから安心してくれ。

ただ、ミュンシスタ出身のリディたちは、学校で生徒たちから疑われるだろう。この噂については厳重に対応するつもりだ。それまでは申し訳ないが耐えてくれ』


 この部分を読んだ時、怖くなり続きを読めなくなる。

 だが、事実をすることは大切だ。ごくんと唾をのみ、拝読を再開した。


『なぜこのような噂が広まっているのかは分からない。

 どこの国が発端なのか断言することはできないが、恐らくはプトロヴァンスの者だと考えている。

 プトロヴァンスは休戦協定を結んで10数年でかなり落ちぶれた。しかし、ミュンシスタは休戦協定後、飛躍的に発展している。

 それゆえ自国が衰退していったのは、休戦協定のせいミュンシスタのせいだと、何でもいいから理由をつけたかったのではないかと思う。

 人はみな信じたいものを信じるものだ。

 このような可笑しな噂でも、だ。愛国心の強いプトロヴァンスの者は、自国に非があることを認めたくなくて大嫌いなミュンシスタのせいにしたかったのではないかと思う。

 その裏付け通り、この可笑しな噂を信じているのはプトロヴァンスの者ばかりなのだから。

 そして、皮肉なことにミュンシスタの功績が噂の信憑性を上げている。

 実際ミュンシスタだけ黄炎病の被害がないのは事実だが、それは僕らの努力によるものだ。と伝えても、対応の方法を間違えているプトロヴァンスには一生理解できないのは明白だが。

 議会では『くだらない噂など放っておけばいい』と考えている者もいて、意見をまとめるのに苦労しているが、この噂を放置しておくと危険な気がしてならない。

 実際、プトロヴァンスとミュンシスタは緊張状態にある。

 この嵐は吉と出るか、凶と出るか……』







 このときの私はまだ知らなかった。

 この噂が発端となって、私の運命は大きく変わることになるなんて――――――




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