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17話 『義姉』

「お、お兄様初めまして。レオン・ローズウェルと申します」

 昨日挨拶をしたのだが、レオンは緊張して礼儀正しく兄に2度目の挨拶をする。

「はは、レオン。そんなに緊張しなくて大丈夫だぞ」

 兄は苦笑しながらそう言うと、

「僕はフリード・ローズウェル、君の兄だ。改めてよろしくな、レオン」

 と、優しい笑顔を向ける。

「ずっとレオンに会いたいと思っていたんだ」

「僕もお兄様に会いたいと思っていました……! お兄様とは会ったことがないけれど、お姉様からたくさん話を聞いていたので」

「そうか。そうなのか……!」

 弟の気持ちを知ると、兄ははにかんだ笑みを見せる。本当に嬉しそうだ。

「今まで会えなかった分、これからはたくさん遊んで、楽しい思い出を作ろうな」

「はい!」

 この調子だと、兄と仲良くなるまでおそらく一週間とかからないだろう。


「仲良くなれそうで何よりだ」

 父と私はほっと胸を撫でおろす。

「それはさておきリアナくんはどうした? フリード、部屋を訪ねたのではないか?」

「いやその……訪ねたのですが……」

「「「?」」」

 兄はなぜか答えるのを渋っている。

「どうした? 何かあったのか?」

「彼女の名誉もあるので……」

「す、すまなかった……!」


(ああ、もしかして生理痛とかなのかな? この世界ではそういう話は憚られているし、私やレオンもいるから言いにくかったのだろう)


 と、ひとしきり納得する。

「では、リアナくんが来るまで食事は待つとしよう。せっかく家族になって初めての食事なのだ。フリード、夫として迎えに行ってあげなさい」

「……そうですね、一度断られましたがやはり――――」


「失礼します、リアナです!」

 兄が扉の前へ行き、ドアノブに手を回そうとしたら、コンコンとノック音が聞こえた。


「! リアナ、来たか」

 兄はそう言って扉を開き、リアナ様をお迎えする。

「申し訳ありません! お食事の時間に遅れてしまいました!」

「大丈夫だよ、気にしないでくれ。ローズウェル家は少しばかり遅れたくらいで誰かを咎めたりしないよ」

「いえ、本当に申し訳ないのです……!」


(顔色悪くないし、治ったみたいでよかった)


 私はほっと安堵する。この世界は生理痛を和らげる薬がないためきっと辛かったに違いない。


「私が寝坊したばかりにご迷惑をおかけしてしまって……!」


「「!?」」


「バ、バカか! せっかく僕が誤魔化したというのに!」

「?」

「家族で初めて食事をする日に寝坊したことに、もっと恥じらいを持て!」

「で、でも嘘は良くないじゃない!」

「嘘は方便だろ!」

「イマヌエル先生はどんなことがあっても嘘はダメだと説いていたわ!」

「道徳心の普遍性を説いたスミス先生はそれを否定していただろ」


「ふふ、あははははは!」

 2人の言い争いが面白くて、父は思わず吹き出してしまった。かくいう私も笑いを堪えるのに必死で、少し笑い声が漏れてしまっている。

「フリード、良き妻を娶ったな。正直者で結構なことだ」

「お、お父様……!」

「さあ、朝食を食べよう。レオンは待ちくたびれておるようだからな」

「お腹すいたよ~! もう食べていい?」

「ああ」

「私はもうちょっと2人の痴話喧嘩聞きたかったな。あんな風に感情むき出しなお兄様、見たことなかったし」

「リ、リディ……!」

「そうなのですか!? フリード様、私の前ではいつもこんな感じですよ」

「えぇ!? 本当ですか! 後でリアナ様と一緒にいるときのお兄様の様子、教えてください!」

「もちろんよ!」

「では私も聞かせてもらおうか」

「僕も!」

「はい!」

「お父様とレオンまで……!」


 この後の食事は、兄と義姉のおかげで本当に楽しかった。

 いつもの食事も楽しい時間だが、義姉がいると前世の愉快な食事を思い出す。

 心が温かくなる特別な時間になった。




 義姉と仲良くなるのに、どれくらいかかっただろうか?

 一緒に街へ出かけたり、兵学を勉強したりしていたら、気づけばもう大切な家族になっていた。

 義姉は妖精のように美しく、どこか神秘的で近づきづらい雰囲気があったが、実際の彼女は面白いだけではなく、明るくとても性格のいい、愛嬌のある女の子だった。

 兄が好きになるのも頷ける。

 素敵な義姉ができて、私は本当に幸せ者だ。


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