Another・under・World〜episode・ a step of courage・story
怖い。目の前の化け物が迫ってくる。何も出来ない。出来ないから動けない
動きたくても動けない。体が追いついてない。否……追いついてない。体は逃げるのを諦めたから
違う……
逃げたい、逃げられない。でも逃げたい。言うこと聞かない……
口を開けた化け物が迫ってくるのをただ黙って見てるだけ
だけど……
いつだっても来ない……それもそうだ……
ゆっくりと目を開けると……肩まで切り揃えた男の人が刀で受け止めていた
『死ぬのなは早いよ』
そう言うと弾くが引き裂かれる私の目の前で……死んだ……
と……
認識した……なのに、炎が舞い上がると無傷で立っている
『死んだ死んだ……その分高くつくけど……大丈夫?』
そう言って構えていた
『俺は小田氏治。最弱と呼ばれた……不死の人間さ』
……
彼はそう言うと手を伸ばしていた。しっかりとした手……なのに、華奢な腕。本当に剣士で男性なのかと疑いたくなるほどの外見……
警戒してしまうけど……それよりも何故か手に取ってしまう
私には無い勇気が彼には少しの勇気と力強い意思がこもった目をしている……
私が……
けど彼は私を立ち上がらせると
『少しの勇気さえあれば、人間は誰しも力と勇気が溢れる
俺は君みたいな臆病者でも勇気のある目が好きだ』
私の手から離れると、握られていたのは短刀……初期装備で私がさっきまで使おうとしていた短刀……
この世界で私は変われると思った。けど無理だと諦めてしまった……でも、彼が……
『どう?。俺は君となら契約しても構わないし、あの化け物を倒す為の力を二人で力合わせて倒せるかもしれない
俺に少しの勇気をくれないか?』
……
…………
私はゆっくりと頷くと炎が舞い上がり、化け物を吹き飛ばしていた
左手には短刀、右手には刀……炎の紋様が刻まれて赤い瞳が刀身に写り、着物姿に
これが……
目を伏せて深く息を吸うて吐いた。勇気も何も無い怖いのに……
今は勇気が少しと怖さが和らいでいた
『さ、やろう』
ゆっくりと目を開けて構えた。小田氏治の剣術が私を写して動いた
化け物を殺せるだけの力も無い……けど、ダメージを与えることは出来る
それでも……私と彼は弱い……弱いなりに強くなる方法があるはず……
ゆっくりと走った。何も考えてない……けど、少しだけ気持ちは楽だった
これが……
考えても分からない……けど、少しの勇気を貰った影響なのか……怖くなかった
そのまま短刀と刀を構えて振り上げた
首を狙うつもりで……
そして炎が刀身を纏うと一気に引き裂き首を落とした。スローモーションの様に遅く……そして、何処を狙えばいいのか……
何故か分かってしまった
『剣士たるもの。見えないものこそ……見えてしまう。それがどう辿るのかを……どう落とすのかを』
そう言って炎が全て燃やすと残ったのは姿形が残った化け物の死骸だった
「これが……」
困惑してると彼が私の頭を撫でて
『俺は勇気を与えることしか出来ない。その勇気に答えたのは君だ』
……
そっか……
「でも……逃げても良かった……のかな?」
動かなかった体……あの恐怖が今でも残ってる
『それも含めての勇気だ。逃げる事だって恥じゃない。次の為の勝ち筋でもあるから
ただ逃げ過ぎも駄目だな。チャンスを逃すから。俺はそれを知ってるから君を見た時に確信したから』
……
「ありがとう……」
私はそう言うと彼は照れくさそうに
『少しの勇気がこうして広がるのが俺は好きだからな……』
彼は笑みを浮かべていた