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零章 別れ

暗い夜の森を走る2人の親子がいた

「ライネル……まだ無理そう?」

エルフの母親が息を切らしながら聞く

そうすると背後に女性が現れる

「申し訳ありませんマスター、追いかけてきてるせいで精霊の力を封じる結界から抜け出せません」

恐らく魔石によって発動してる為結界の位置も移動してる為抜け出せないと聞く

「守護精霊のライネルすら封じるってどんな結界よ!?ごめんね、もう少しだけ頑張れる?」

守護精霊は精霊の中でも上位の大精霊より上で最上位とも言え大精霊を束ね4体しかいないと言われていて精霊王に最も近き存在とされているそんな守護精霊ですら封じる結界なんて厄介すぎる……

それに大人の自分ですらきついのだ、娘にとっては限界なはずだけど笑顔で大丈夫と伝えてくれる

うちの娘可愛すぎるぅぅ……この子だけは命を犠牲にしてでも守らないと

「申し訳ありません、結界が予想以上に強くて転移の魔法が発動できるまで時間がかかってしまい危険になる可能性が高いのでどうにか抜け出せないと厳しいです」

そうよね……このまま森を抜けても誘われてる感じが強いけど抜けるしか選択肢がないのである

暫く入ってると森を抜けた瞬間エルフ50人程が前方に待機していた

「やっぱり罠な訳ね……」

必死に頭を回転させる、どうする?どうすればこの状態を抜け出せる?

考えろ、考えなきゃそこで終わってしまう……

「やっと捕まえられる、鬼ごっこは終わりだ……その娘を渡せそうすれば命は助けてやる」

「助けてやる?笑わせないで、国を裏切り魔族に魂を売った裏切り者さん」

きっと睨みつけながらそう答える

「なんで国を裏切ったのか聞いてもいいかしら?あなたは国に尽くしてたはずなのに……なんで魔族なんかに心を売ったのよ!?」

「そんなの決まってる、抵抗してもどうせ魔族共には勝てない…なら魔族について生き残るのが正しいだろう?そんな分かりきったことを聞くな」

嘲笑いながら言って娘をよこせと言ってくる

「こんなヤツらなんかに渡さない……ライネル……ごめんなさい」

私は最低な母親になる……娘を置いて死ぬなんて最低な母親だけどそれしかないの、こんなママを許してね?

「ライネル…貴方の命も使わせてもらうわね…ごめんなさい」

跪いてエリナを見つめ答える

「何を言ってるのですか、何処にでもついて行くと死ぬ時も一緒だとあの日言ったじゃないですか……我がマスター守護精霊ライネルのこの命お使い下さい」

マスターは優しすぎる……そしてマスターを護れない自分が悔しく情けない…

「何話している!!余計な事をしてみろ弓で撃ち抜くぞ!」

「エリナの名のもとに命ずる、守護精霊ライネルその叡智で我が道を導き…願いを叶えたまえ!!」

「馬鹿め!結界があると言うのに発動できるものか!!、お前ら撃てええ!!」

娘だけは守ってみせる!!

娘を抱え丸くなる……

矢が数本刺さる

「………っ、こんなの痛くない……娘が平気なら大丈夫なのよこんなの…」

「お待たせしましたマスター、護れなくてごめんなさい準備出来ました、叡智の書よマスターの願いに答えなさい」

速いじゃない…さすがライネルね……

「叡智の書…だと!?何故結界の中なのに発動できる!?」

「下等なエルフもどきごときが精霊の事をわかった気でいないで下さい……不愉快です…」

エルフもどき!?ライネルさん!?一応エルフですよあれ……

「マスターに敵対する愚かな者が同種族な訳ないですから……禁術贄の願いを発動します……叡智の書よ…開きなさい」

エリナを中心に巨大な魔法陣が現れた

「もう一度撃てぇぇぇえ」

もう遅いですとライネルが呟く

「マスターこの魔法は発動してしまえば誰にも邪魔されませんしどんな状況でも発動します…」

「知ってるわ、ある程度の願いしか叶わないのと代償に命も使うのも…本当にごめんねライネル…貴方と私の命を使って願いも叶うか分からないのに…」

「いいんですよ、それに今更です……マスター願いを」

「願いは私の娘を安全な場所に……そして善き人に保護される事を願うわ」

「マスターの願い承りました……叡智の書よ聞き届けなさい……」

それと保険としてお願いしておきましょう……きっとあの方なら聞いてくれるはずですから

叡智の書よこのメモを、届けなさい

「ママ?」

泣きそうになりながら私を見つめてくる…大丈夫、きっと善き人に保護されるわ。それに死んだとしても私は貴方を見守っているわ

「愛してるわ…見守ってる事を忘れないでね」

泣きながら頬にキスをする

その瞬間娘のエルフは消えた……

「……なっ……娘を何処にやった!?」

言うわけないでしょ?それに私すら分からないもの

ごふっとその瞬間血を吐き倒れる

「ラ……イ……ル……あり……と……」

「マスターまだ頑張ってください…」

エリナも光に包まれ消えた

「なっ……探せ探し出すんだ!?お前ら早くしろ!?」


「マスター……ここ覚えてますか?私達があった場所ですよ」

そんなの覚えてるに決まってる…この花畑は貴方とあった場所だから

「マスター私は少し精霊ゆえに遅れますがそんなに変わりませんから待っていてくださいね?マスターはすぐ迷子になってしまいますから」

「…………ん。ま……る……ね」

光となって消えていく……

マスター。貴方と出会えて嬉しかったですよ

私も消えてきましたね……精霊王様許してくれるでしょうか?お世話になりましたとお伝えしたかったですね

「マスターの願いが聞き届けられますように……」

守護精霊もエリナを追うように消えていき花畑に風が吹き抜けていく


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