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9/13

私の方が良いってことね

取り合えず9話目です。

この物語はフィクションです。

よろしくお願いします。

3試合が完了し、休憩が伝えられた。

アレクさんを入れて、私たち5人は魔族の兵士が案内した部屋に戻った。

「うーむ。これは分が悪い。マリー棄権しろ。」

「…。」

「マリー。私からもお願いします。あれは規格外です。正直、魔王よりも強い可能性があります。」

「…。」

ゴリアテもへリスも声を掛けたが、私は声を掛けなかった。

正確には、まだ恐怖に飲まれ、声が出せないでいた。

もしかして、マリーも…。


沈黙が部屋に満ちた時、意外な訪問者が来た。

「お前たち、予定を変更する。この後はマリー、ミリア、ドラ・アルティミアで戦闘を行ってもらう。」

宰相は事務的に内容を伝えた。

それにへリスが対応する。

「では、2対1でも問題ないと?」

「そうなるかもしれんな。しかし、王からの命令故、私が理由を知る必要もないし、お前たちが知る必要もない。ただ、3人を舞台に上げるだけだ。開始前には呼びに来る。この部屋で休むがいい。」

「分かりました。では後程。」

「一点伝え忘れていた。私にはわからんが、『せっかく呼んだのだ。負けは許さん』と、王からの伝言だ。」

「…わかりました。」

宰相は私たちの返事を聞き終えると、すんなりと部屋を出て行った。


私とマリーが、あの魔族と戦うのか…。

緊張とかそういうことじゃなく、自分の死期を悟ったかのようで、気分が悪い。

しかも、魔王から負けは許さんと…。棄権も選択肢には無いようだし。

結局、マリーが発言するまで、マリーの顔を見ることはできなかった。


「勝とう。うん。勝つしかない。作戦を練るわよ!」

マリーはやる気のようで、私は驚いてマリーを見た。

ゴリアテとへリス、アレクさんも同じ感想のようだ。

「マリー、奴とどう戦うのだ?案を考えようとも、あの槍の攻撃は見えたのか?」

「見えなかった。でも食らわなければ何とかなると思う。」

「何とかって…回復は限られています…!兵士たちから分けてもらっても、損傷率60%を超えるとどうなるかご存じですよね!」

「だから、食らわないようにするの。」

「…私は身体能力も高くないし、相手は近接メインだと思うから、援護も満足にできる自信はないよ…。」

「うん。でも、勝つしかないの。」

「骨は拾ってあげるわ♡」

「お願いね…って、え?」

そこにいたのはエルだ。

いつの間に…!

「あーん♡ア・レ・クちゃん♡」

ちゃん?

エルはアレクに抱き付いた。

胸を腕に押し付けやがって…!何してんだ!

私の怒り顔を見てエルが話す。

「その粋よ、ミリア。あなたの魔法は人間にしては上出来。策はあるわ♡」

「策って?」

「アルティミアはオーガの人形に何をしたの?」

「槍で人形を吹き飛ばした。」

「そうね。その時オーガには何が起きた?」

「後退りを始めたけど、たぶん、その時には既に体が切り裂かれていた。」

「そう。確かに槍の攻撃は見えないほどに速い。でも、あんな風に圧を振るっていたら、オーガの後ろの観客席が崩壊するはず。でも、崩壊はしていない。ってことは?」

「あの攻撃は魔法の攻撃!」

「そう。魔法の攻撃を行うには原則、何が発動条件になる?」

「呪文の詠唱?」

「そうね。へリスちゃんはマリーに何を渡していた?」

マリーに宝石を渡していたこと知ってたんだ。

ということは…。

「魔法を打ち消す宝石を…。そうか、槍に風の魔法を刻んでいる!」

「その通り♡」

「で、どうするの?」

「槍を奪っちゃえ♡」

「どうやって?」

「知らない♡」

だめだ。糸口になるかもしれないと思ったけど、それを知っても、身体能力では向こうが上だ。

どうやっても槍を奪える気がしない。


マリーは神妙な表情でエルの案について話した。

「あの槍を奪う方法かー。槍は基本的に両手で持つし、握力も相当ありそうだから、弾いて奪う方法は無理よね。手を放してもらう必要があるのかな。」

確かに、私たちに見えない速度で槍を振るうためにも、強力な握力は必要だ。

正攻法以外の方法を考えなければ。

「ゴリアテは無理として、へリスはいい方法思いつく?」

マリーの言葉に、ゴリアテが反応するが、文句が出なかった。

ゴリアテは正攻法派なのだ。

「私は…。槍を手から離せばいいなら、筋力低下の補助を構築することを考えますが…。」

そう、それはへリスだからできることだ。

戦闘中に外部からの干渉は見逃してくれないだろうし、無理がある。

しかし、その言葉を聞いてエルが口を挟んだ。

「良いこと思いついちゃった♡」

ヤなことではなく?

「へリスちゃんが筋力低下を掛けられるならさ、へリスちゃんを連れてけばいいじゃない♡」

…?

エル以外の全員が面食らった表情をした。

「エル、私とミリア以外に出場することはできないんだけど…?」

「『出場者』としてはそうね♡」

「どういうこと?」

「武器としてへリスちゃんを持ち込んだら?」

「武器として…!」

なるほど。意味わからん。

ゴリアテが笑い出し、へリスと私は驚愕した表情だ。

マリーは…その手があったか、と言わんばかり。

笑いついでにゴリアテが言葉を投げる。

「それができるなら、ミリアの武器として俺が出てもいいわけだな!」

通ればの話だが、それで全員出場が可能になる。

そんなに上手くいくものか。

エルは提案してくる♡と、どこかへ飛んで行ってしまった。


パーティーで出場するとして、勝てる見込みがあるのかは別の話。

やるだけやるしかないのは確かだが、負けは『死』に直結する。

負けるわけにはいかないし、勝ったら勝ったで勇者が魔王と結婚してしまう。

私たちは何のために戦っているのだろうか…。


「いいって♡」

帰ってきたエルが喜びながら報告してきた。

4人で出場できれば勝率は上がるわけだし、ブーイングが出たとしても魔王の名の下に開催している以上、通ってしまう感じか。

まあ、その方が私たちに都合がいいわけだけど。

その報告を聞いて、案出しを中断、休むことに集中した。


宰相から直々に声が掛かり、会場へと向かう。

途中、魔王も来ていた。

「話は聞いた。我からも人間を武器として出場することを認めておこう。」

マリーは軽く礼を言いつつ、魔王に近づく。

距離に魔王が嫌がっているようにも見えるが、マリーは気にせず話した。

「この戦いで勝ったら、結婚してくれるんだよね?」

「候補になるだけだ。」

「でも、なんで私に手紙をくれたの?」

「お前個人にではないが…。出場を依頼したのは、あのドラ・アルティミアという女が苦手だからだ。奴は何を考えているのかわからん。」

魔王にも苦手な人がいるのか…。

「私の方が良いってことね!絶対に勝って見せるわ!」

両手に拳を軽く握り、上から下にバウンドさせるポーズは乙女そのものだった。


私たち4人が舞台へと上がると、既に舞台にいたドラ・アルティミアがこちらを見た。

確かに何を考えているのか読み取れない。

敵意を感じないのが不気味だ。

しかし、槍を握りしめて立つ姿は凛々しくもある。

我々はアルティミアの正体も分からないが、強さも特に知っているわけではない。

不安が私たち4人を撫でるかのようだった。


開始前にそれぞれ確認を行う。

もちろんアルティミアに聞こえないように。

「開始と同時に私が補助を構築します。ゴリアテ、その間の時間稼ぎを。」

「承知した。あの槍だ。長くは持たん。」

「私が強化されたら突撃するから、ミリアは魔法の準備をお願い。」

「分かった。とりあえずサンダーを構築する。」


既に起こっているブーイングは気にしない。

私たちは勝利する以外に生き残ることができないだろう。

ブーイングなんて可愛いものだ。


宰相が舞台に上がり、観客に説明する。

「決勝戦だが、ドラ・アルティミアと人間二人、まとめての戦闘となる!人間二人は武器として、他の二人を使うことになった!魔王様がお認めになったのだ!文句のあるものはいるか!」

さっきまでのブーイングは収まり、文句がないことが示される。

確認が完了したのか、宰相が舞台を降りた。

いよいよ、魔人四天王の一人、ドラ・アルティミアとの戦闘が始まる。

私たちの武器を握る手に、いつも以上に力が入っていた。

お読みいただきありが等ございます。

続きはそのうち上げますー。

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