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この勝負は私の勝ちよ

取り合えず7話目です。

※ここに書いている話数が間違っていたので直してます…!すみません!

この物語はフィクションです。

よろしくお願いします。

…私は頭数に入っていないよね?


しばらくして魔族の兵士によりマリーが呼ばれた。

「行ってくるね。」

笑顔で手を振るマリーは勝利を確信しているかのようだった。

兵士によれば、私たちは観戦することができるようだ。

案内してもらい観覧席に到着する。

「あら、人間がいるわ。」

宙に浮いた魔法士の女が私とへリスを見て話しかけてきた。

「あ、どうも。マリーの同行者です。」

「あなた、出場しないの?」

「はい、私は出場しないです。もしかして、頭数に入ってました?」

「ええ。次の対戦はあなたよ?」

ええ!やっぱりそうなのか…!

「棄権しますので…!」

「変な子。」

魔法士の女は右側頭に角が生えており、目の下に青いラインが入っている。

青いローブに包まれ、立派な、禍々しい杖を持っていた。

杖には骸骨が付いていて、骸骨にも角が生えていた。


ゴリアテが着席し、魔法士の女に話しかける。

「貴様も出場者だな。俺はゴリアテだ。名を名乗れ。」

「態度が大きいのね。私はエルよ。」

エルは不機嫌そうだ。ここで争うわけにはいかない、話を変えなければ…。

「エルさんはどうして出場を?」

「魔王様と結婚出来れば、私たちに兵士を供給できるからね。」

「戦力確保ですか?」

「違うわよ。兵士の中でいい男がいたら…ね♡」

ああ、この人は別次元の人か。

思えばここまでくるということは私も人間としての生活を捨てる感じだった。

私だって、争いがなければ恋もしていただろうね。

相手はいないけど。


さっきまで黙っていたへリスが突然割って入ってきた。

「もしかして、あなたはサキュバスですか?」

「あら、わかる?サキュバスは本来魔法士にはならないんだけどね。」

「聞きたいことがあります!少々お時間いただけますでしょうか!」

「え?ええ、いいけど…?」

エルさん引いてるじゃん。

へリスがサキュバスに興味を持つ理由は一つ。

おそらく魅了の魔法に関してだろう。

私とゴリアテを他所に、へリスはエルを質問攻めにした。


おおおおおおおおおお!


急な歓声に戸惑い、舞台を見る。

観客席の下にあるサークル状の舞台にはマリーとフィリアがいた。

宰相も登場し、少し両者と話したのち、拡声器で観客に声をかけた。

「これより第一回戦が開始される。妃候補の紹介だが、人間のマリーと鳥類の女王フィリアだ。」

再度歓声が上がり、それがヤジに変わる。

早くやれ!人間をつぶせ!

言いたい放題だ。


隣ではゴリアテが腕を組み、静かに見守っていた。

私の不安をゴリアテにぶつけてみる。

「マリー、勝てるかな…。」

「問題ない。マリーは一度戦った相手の癖を覚える。負けることはないだろう。火球も対応できるだろうしな。問題があるとすれば、敵の戦力を全て知っているわけでないことか。」

確かに、少しは戦ったがすべてを知っているわけではない。

私たちの知らない攻撃があっても不思議ではない。


舞台から宰相が下り、マリーとフィリアが少し距離を取る。

束の間の睨み合いに、試合開始の合図が届いた。

先行はフィリアだ。

炎の爪でひっかき攻撃を繰り出し、マリーは剣で捌く。

隙を見てマリーは攻撃をし、フィリアは羽を散らしながら嫌がっている。

フィリアは魔法により防御をするため、物理的な防御は苦手なようだ。

そのうちフィリアの猛攻がマリーの猛攻に変化していった。

フィリアの胸には複数の切り傷が出来、血が滲む。

そこにマリーの蹴りが入ると、フィリアは距離を取って胸を押さえた。

マリーは距離を詰め、次の攻撃に移る。

しかし、フィリアは爆炎を巻き上げマリーを強引に離した。

マリーが腕で炎を遮っている間にフィリアの両手がマリーに向けられる。

「やる気は火球。火球よ私の言うことを聞け!」

小さい火球が複数発生し、マリーは2個ほど剣で切り捨てた。

あと8個…。

小さいとは言え、熱風がここまで届くほどに熱く、マリーも攻めあぐねていた。

「まずいな。数が多い。避けることはできても、おそらく軌道を変えられるだろう。」

ゴリアテは心配しているようだ。

いつの間にか隣にいたエルが口を出す。

「あれはフィリアの得意技ね。小さな火球を操って、できた隙に圧縮した炎の矢を飛ばすのよ。」

私を狙った炎の矢。マリーは一度それを防いでいる。

一度見た技には対応できるが、隙を狙われたらどうだろうか。

信じてはいるが、生唾を飲まずにはいられない。


フィリアの火球が4つほどマリーに向かって飛んでいく。

2つを一瞬で切り裂き、後ろへ下がる。

切るのはいいが、その場に熱風が残る。

マリーは人間だ。特別熱に強いわけではない。

長時間熱にさらされれば動きは鈍るし、思考も歪むだろう。

下がって次に備えるしかない。


業を煮やしたのか、フィリアが残りの火球を全てマリーに向けた。

マリーはフィリアに向かって走り出し、距離を詰める。

飛んでくる火球を切り捨てながら走り、フィリアの懐に入り込むことに成功した。

だが、フィリアはにやりと笑い、マリーの攻撃を受け入れる。

フィリアの体に剣が吸い込まれ、フィリアの胸を突いたとき、フィリアが霧散した…。


上空に巨大な火球が出現し、マリーに向かって行く。

その火球の後ろにはフィリアの姿が見える。

おそらくマリーにはフィリアの姿が見えていないはず。

次の瞬間、巨大な火球は姿を消した。

あの宝石を投げたんだ。

消えた火球のあった場所にマリーが出現し、空中でフィリアを捕らえる。

フィリアは右翼を失う結果となった。


着地したフィリアは右肩を抑え、呼吸を荒くしている。

マリーは着地後に剣を向け、声をかけた。

「この勝負は私の勝ちよ。」

しばらくの静寂の後、フィリアは舞台を降りた。


「なかなかやるわね。あの火球を一瞬で消すなんて…。」

エルは感心している。

腕を組んでいたゴリアテはエルを煽りたい様子。

「ふん。あの程度の火球など、マリーには通用せん。貴様も対戦するときは諦めた方がいい。」

「あら、私を心配しているの?それとも、他に理由でもあるのかしら?」

何か知っているかのような口ぶりで対応するエル。

余裕があるように見えるが、ゴリアテを睨む目は殺意に満ちていた。


緊張感の中、私の肩に触れる者がいた。

「あの、我々兵士も招待されたのですが、お隣、よろしいでしょうか?」

「アレクさん!キャンプの設営お疲れ様です。どうぞ!」

エルが私の顔を覗き込むように傾き、へー、と声を漏らす。

にんまりとした表情が非常~に不快だ。

「これは…何をされているのでしょうか?」

来たばかりのアレクさんは何も知らない様子。

意外な方向からエルの声がする。

「あら、結構カワイイお顔してるじゃない♡アレクっていうのね♡私が教えてあげる♡」

いつの間にか、ゴリアテ、私、アレクさん、エルの順で座っていた。

くねりながらアレクさんに話しかける様は気色が悪い。

変なものでも食ったのかな?そのまま捻じれて千切れてしまえ!


「あの、俺はミリアさんから話を聞くために来たので、お断りします。」


おお、そんなに私から話を聞きたいのか。

ただならぬ決意を感じる…。

エルはとても意外そうな表情を見せた。

しかし、すぐに甘い表情を出し、アレクさんの目を見つめ始めた。

目尻を下げ、アレクさんの左頬に触れ、流し目になった瞳にピンクのハートマークが現れる。

「いいじゃない…♡あの人間は放っておいて♡ね♡私といいことしましょう♡」

魅了の魔法を使っていやがる…!

この人、結構嫌な性格をしているようだ。

つい、私は声をかけてしまった。

「サキュバスだし、魅了の魔法を使わないと負けそうだからしょうがないよね。」


ぶちっ


エルのキレる音が響いたようで、周りが静かになる。

紫色のフィールドが急に形成され、ゴリアテを含め私たちを囲んだ。

エルの目からハートマークが消え、私を蔑む目線を向けた。

「喧嘩を売ったのはそっちよ。」

いやいや、普通に許せないじゃん。

「アレクさんを魅了したのはなぜ?私に喧嘩を売りたいからじゃないの?」

「ちょっとからかっただけじゃない。この程度のことで怒るなんて、恋をしたことがないのかしら?」

「強制的に能力で落とす行為を恋だというなら、私には経験ないですね。そんなことして相手を手に入れても、能力が切れてしまえば他人でしょ?何の意味があるの?」

「人間が、サキュバスを前にして、能力に意味がないって?本気で言ってる?」

「ええ。魅了の能力と恋を比べたら魅了に意味なんてないでしょ。もしかして、恋したことないの?」


紫色のフィールドがとげとげしくなり、同時に寒気が私たちを襲った。

寒さに震えていると、ゴリアテが出口を探し始めた。

「堪えられん!こんなに寒いのは初めてだ!ここから出してくれ!私は何もしていないぞ!」

思いっきり煽ってたくせに。

そんなことより、アレクさんの様子がおかしい。

ふらふらと歩き回り、何かを探しているような感じだ。

「エル…さん…どこ…エル…さん…どこ…♡」

完全に魅了されているんだね…。

魅了を解除できるのはヘリスくらいだろう。

だが、このフィールドに飲まれていないようで、姿が見えない。

突然、私たちの前にエルが姿を現した。

空中で威圧するエルは、ローブの前を開き、体が殆ど露わになっており、…その、えーっと。

『いいスタイル』と言っておこう。


エルが杖を構えながら話す。

「よくもサキュバスを侮辱してくれたね。人間の小娘ごときが、私に口を利くことすら許せん!」

おお、相当怒ってますね。


ふらふらと彷徨っていたアレクさんが私とエルの間を歩く。

エルの方を向いて一度顔を伏せた。

「邪魔よ♡!後で相手してあげるから、どきなさい♡!」

命令を受けたアレクさんは両手で頭を押さえ、右を向く。

ゆっくりと足を前に出したが、元の場所に足を下す。

「何やってんのよ♡!邪魔だって言ってるでしょ!」


パキン!


何かが割れるような音が響いたとき、アレクさんがエルに向き直り、剣を構えた。

「ようやく魅了が解けたよ。ミリアさんには指一本触れさせん!俺が相手になってやる!」

え?自分で魅了を解いちゃったの?

「なんで…!なんで人間が魅了を解けるのよ!」

「知らん!だが、俺はお前を許さない!」

胸を押さえ大人しくなるエル。

紫色のフィールドはゆっくりと消えていった。

魅了を突破されたことがよほど悔しかったよう「決めた!」…え?

「私、あなたを必ず魅了して見せるわ!」

エルはアレクさんを指さし、希望を持った表情をしていた。

アレクさんは首を傾げた。

「だ・か・ら、あなたのことを好きになったの♡」

アレクさんの手から剣が落ちた。

そして、アレクさん自身が膝から崩れ落ちた。

「俺は、こんな相手に恥ずかしいセリフを…!」

それを聞いて私は両手で顔を覆った。

ええ、聞いてましたとも。

『ミリアさんには指一本触れさせん!キリッ』

きゃー!!!

お読みいただきありが等ございます。

続きはそのうち上げますー。

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