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魔王って、年上…だよね

取り合えず2話目です。

この物語はフィクションです。

よろしくお願いします。

ゴリアテはマリーの首根っこを捕まえ、へリスの腕を引く。

私は開いた口がふさがらないまま、ゴリアテと共に魔王城を跡にした。

背中には魔王の言葉が響いていた。


「こいつらは何をしに来たのだ…?」


魔王城から脱出した我々は、残しておいた移動手段『次元式短縮通路』を開き、拠点へと帰還する。

拠点にしているのは『テンの町』だ。

ここは、元魔王軍の拠点ではあったが、我々が落とし、奪った場所だ。

人間を配置し、魔王軍の捕虜を一か所に閉じ込めている。

臨時で設営している宿舎に入り、席に着いた。


ゴリアテはマリーに質問する。

「なぜ剣を落とした?俺たちは魔王を相手にしていたんだぞ…。」

魔王というワードに反応したのか、マリーは両手で顔を伏せてしまった。

へリスもゴリアテの発言に便乗する。

「そうです。魅了の魔法は効果がないはず…。あなたはなぜ戦いをやめたのです?」

命が懸かっている状況で、まさかの一目惚れ。

私は落胆してしまい、かける言葉もなかった。


マリーは唇を震わせながら、ゆっくりと話し始めた。

「魔王は…何歳なのかな?」


ガコン!


それは、私の頭がテーブルに落ちた音だ。

何歳なのか?

もう100年も魔界を統治し、知略を得意としていた魔王。

魔法の腕も体験した通り、私たちよりもはるかに上だろう。

方や人間の平均寿命は60年くらいだろう。


「年上…だよね。」


ああ、そうだろうね。

ゴリアテは顎を抑えながら考えていたようだ。

「なるほど…。魔王の過去が知りたいと…。」

ん?どういうことだ?

「マリーは、魔王の情報を集めるべきだと言っているんだな…?」

へリスは怪訝な表情をしつつマリーを見る。

マリーは同意するように返事をして見せた。

「では、ゴリアテは連合兵に魔王の情報を洗い出すように言ってください。私は経験した戦力から部隊の再編を行います。ミリアさんは、今は魔法力の回復を。その後、アイテムの調達をお願いします。」

へリスはその場を仕切り、とりあえず私も布で区切られた部屋に移動した。

マリーは…斜め上を見ながら両手を組んで、頬を赤くしていた。

もうおしまいだよ。

ごめんなさい、人類よ。



1日程度だが時がたち、私たちの準備も整った。

連合兵によって集められた魔王の情報が集まり、発表することになった。

ヘリスから集まった情報が伝えられる。

まず、年齢は不明だが、100年以上ではなく、200年は君臨しているらしい。

魔族のすべてが魔王に従っているわけではなく、各地方に国のようなコミュニティーがあり、その代表が魔王に従っている状態である。

魔王には近衛兵がおり、かなり強いらしい。


「他には?」


マリーが催促するが、おそらく魔王に関する情報が欲しいだけだろう。

魔王自体は謎に包まれているのだから、大体の情報は不明なのだ。

魔王の顔を見たものは生き残っていないと言われている。

むしろ、一番情報を持っているのは、生きて帰還した私たちかもしれないのだ。


ヘリスは他に情報がないことを伝えると、難しい表情をした。

マリーは困り顔で俯き始めた。

ゴリアテも昨日同様に顎を抑えている。

私は…。私はマリーのことが気になっていた。


ふと、マリーが顔を上げ、決意したように言い放った。

「もう一度会わなきゃ!」

その声にゴリアテも続く。

「そうだ。情報は少ないかもしれんが、物資も補給したし、もう一度魔王の面を拝みに行かなければな!」


どうも意味が違う気がするが、まあいい。

どちらにせよ魔王には会いに行くことになる。

一度剣を交えたからこそわかる魔王の強さ。

私に何ができるだろうか。杖を握る私の手は震えていた。



出発の時。

魔王城へは道を覚えているから大丈夫だが、途中に魔物を放っている可能性もある。

ゴリアテを前にして前進し、警戒を怠らない。

ヘリスは後方を警戒してもらう。

前回同行してもらった連合兵たちのほとんどがやられてしまい、今回は少数での出兵となる。

兵士たちは主に荷物と私たちの体力温存を中心に同行してもらっている。

私たちのように加護が与えられているわけではないため、死んでしまうとそこまでだ。

私たちは復活できるが条件もある。

損傷率60%以内。

腕がなくなっても足がちぎれても大丈夫だが、下半身が消滅すると復活が難しくなる。

前回の戦いにてヘリスが下半身を切断されていたが、本当にギリギリの状態だったのだ。

そんな魔王を相手にどう戦うのかを考えるためだろうか、一行は口を開けずにいた。


「はぁぁ。」


一人を除いて。

ため息をついているのはマリーだった。

「どうしたの?体力温存だったら荷車に乗っても大丈夫だよ?」

私の言葉がマリーに当たって地面に落ちる。

全然聞いていない。

「もしかして、魔王のこと?」

魔王、その言葉にマリーがこちらを見る。

「彼は戦いを純粋に楽しもうとしていた。剣を交えたからこそわかるの。」

「悪意はないと?」

「正義ではないかもしれないけど、自分の持つ大きな力がどこまで通用するか試したいんじゃないかなって。」

案外的外れでもない考えだ。

私も魔法が得意だからこそここにいる。

その魔法がどこまで通用するのかは気になるものだ。

だが、正義ではない、か。


「だから、彼の相手になって、彼に勝つことができれば彼と話をすることができるかもしれない。」


勇者とは勇ましいものを指す。

血筋ではなく、教育次第でも勇者になれるだろう。

ただ、マリーの場合は違う。

神の加護、強靭な肉体、常軌を逸した運動能力。

魔法の類は使えないのだが、その能力は他の追従を許さない。

私はマリーの考えを尊重したい。


「はぁぁ。早く会いたいなぁ…。」


うーん。

私の尊重がねじ曲がりそうだ。

お読みいただきありが等ございます。

続きはそのうち上げますー。

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