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魔法が存在しない世界でパリィ無双~付属の音ゲーを全クリした僕は気づけばパリィを極めていた~  作者: 虎柄トラ
第四章 魔導書実装編

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邪竜との激しい攻防戦

 ファフニールは実に楽しそうに戦っていた。ただ楽しそうにしているだけではなく、見下し油断していた頃とは比べものにならないほど隙が無くなっていた。


「良いぞ!もっと我を楽しませてくれ!」


 防戦一方だった僕達も戦い続けるうちにファフニールの動きに徐々に慣れ、少しずつ反撃出来るようになっていた。


 ゾーンというやつだろうか、全体を俯瞰的に見える瞬間があった。それにともない僕はみんなに指示を出すようになっていた。


「修羅刹、右に回れ!僕は左から攻める!マツリは足を氷漬けに!サンは……マツリを守れ!」


「分かったわ!」


「了解です」


「あ~、俺様だけ雑じゃね?」


 僕と修羅刹は二手に分かれファフニールを襲撃すると同時に、シノマツリはヤツの動きを止めるため氷魔法を発動する。


 魔法をもろともしない強靭な鱗も度重なる攻撃によりダメージが蓄積された事で、傷だけではなく剥がれるようになっていた。


 これにより物理、魔法どちらでもダメージが通るようになった。


 ファフニールの右脚を凍り付かせようと足元から上部を目指して広がっていく。


 氷が展開したのを確認した僕達は勢いをそのままにジャンプし、ファフニールを上から攻撃を仕掛ける。


「その程度ではまだ我はやれんぞ!」


 ファフニールには両翼を羽ばたかせ強風を起こし、僕と修羅刹を吹き飛ばした。足元の氷は炎を吐いて溶かしていた。


「もっと!もっとだ!もっと我に見せてくれ!!!!」


 ファフニールの歓喜にも似た咆哮を上げた後、予想外の行動に出た。


 それは魔法の詠唱だった。


「我が魔力を糧とし、暴風を巻き起こせ」


 ファフニールが両翼で起こす強風は自分の周囲に風を巻き起こす。しかし、この魔法は指定した方向に向かって全てを巻き込み進む。そして暴風は吹っ飛ばされた衝撃で着地に失敗し、まだ態勢が整っていない修羅刹に向かっていた。


「あっ、これヤバいかも……」


 修羅刹の反対側に吹き飛ばされた僕では、今から助けに向かったところで間に合わないかもしれない。だからといって、シノマツリを守るため後方に下がっているサンではどう考えても間に合わない。


 もうすでに僕は三度の願いは貴方の命で叶え(テュルフィング)ましょうを2回発動している。


 3回目の発動は僕の死を意味する。でも、いま何もせずに修羅刹がやられるのをただ黙ってみているのは違う。そんな事をすればあの時と同じ……あれから何も変わっていない事になる。


「三度の願いは貴方の命で叶え(テュルフィング)ましょう」


 僕はユニークスキルを発動しファフニールに向かって駆けた。


 ファフニールは一直線に走って来る僕を踏みつぶそうと前足を上げる。


「それを待っていた……エアリアルステップ!」


 僕はエアリアルステップで移動速度を上げ、ファフニールの巨体を下から通り抜ける。


 今朝のアップデート情報で読んだ内容を信じて、僕は2種のスキルを発動し剣を振り抜いた。


「レイジングスラッシュ、ソニックパリィングエッジ」


 オーラを纏った衝撃波がファフニールの放った暴風めがけて襲いかかる。


 バシュンッ!


「我の魔法を斬るだと!?」


 暴風は瞬く間に消滅した。


 僕はよろけながら成功した事に安堵する。


「ははは……読んでてよかった」


 アップデート情報に載っていたレイジングスラッシュの欄にはこう書かれていた。


 今回のアップデートで魔法に対して効果を発揮するようになります。例として魔法を斬る事が可能となります。


 魔法を無効に出来た事で気が緩んだ僕は自分に近づく脅威に気づかずにいた。


「ガハッ!?」


 僕は一瞬何が起こったのか分からなかった。


 横っ腹に激痛が走ったと思った時には、吹き飛ばされ壁に叩きつけられていた。


 どうやら僕はファフニールの尻尾によって飛ばされたようだ。


 僕は遠のく意識の中、インベントリーからエリクサーを取り出す。


 2個しかないから勿体ないとか言ってられない、さっさと全回復しないとヤバい……。


 そこで僕の意識は途絶えた。


 どれくらい僕は気絶していたのだろうか。


 唇に柔らかい感触が触れた後、何か液体のようなものが喉に流れ込んで来た。


 ゴク、ゴク、ゴク。


 徐々に覚醒する中、僕は聞き覚えのある声に死の淵から呼び起こされる。


「タ……なさ……起きて、タクト!!!!」


「悪い、ちょっと気を失っていた。助かったよ、修羅刹」


「お礼は後回しよ。まずはちょっとヤバいこの状況をどうにか打開しましょう!」


「うん……ヤバいって?」


 そこで僕が目にしたものは天井が存在するダンジョンではあり得ない光景だった。

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