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魔法が存在しない世界でパリィ無双~付属の音ゲーを全クリした僕は気づけばパリィを極めていた~  作者: 虎柄トラ
第四章 魔導書実装編

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キマイラ撃破

 包み込んでいた炎が完全に鎮火した事で、反撃に打って出ようとするサンとシノマツリだったが、火炎による遠距離攻撃、前足による近距離攻撃、死角に入ろうとすると蛇の尻尾で妨害され、思うように攻撃出来ずにいた。


「ねぇ~、バカ兄?マツリの魔法でバーンってしたらダメです?」


「お前の魔法がすげぇのはタクトから聞いてる。術者のお前は無傷かもしれないが、俺様達は魔法の影響受けるんだよ……仲間の攻撃で全滅とかシャレにならん」


「う~ん、それなら氷の魔法ならいいです?あれは1体だけ攻撃する魔法なのです」


「1体だけか……それなら使ってもいいぜ。俺様も魔法ってのを一度見てみたいしな。ただ使うタイミングは俺様が合図するから、それまでは絶対に使うなよ?」


「分かったです!」


 シノマツリはあの真っ赤に熱せられた石壁に手を当てても平然としていた。それを見て僕も指先で触れてみたが、普通にダメージを受けた。ただシノマツリもダメージこそは受けないが魔法発動時のエフェクト、火属性魔法による閃光や熱風、水属性の水しぶき、氷属性のひんやりとした冷気などの感覚はあるらしい。


 シノマツリの暴走が功を奏したというべきか、キマイラはサンとシノマツリの二人に敵意(ヘイト)を向け、僕と修羅刹の事を完全に無視している。


「ぼ~っと見てる場合じゃないな、修羅刹。二人が注意を惹いてくれているうちに仕掛けるぞ!」


「承知!」


 僕と修羅刹は二人とは反対側からキマイラに奇襲をかける。


「ソニックパリィングエッジ」


 死角から攻撃が来ると感づいたキマイラは、迎撃するため声の方に身体を向けようとした。だが、その時にはもう全てが遅かった。


 僕の新スキルによって、振り下ろした斬撃は衝撃波となりキマイラの尻尾を切断する。


 本体から切り離された蛇の尻尾はびちゃびちゃと数回その場で跳ねて、すぐに動かなくなった。


 【ソニックパリィングエッジ】はソニックブレイドを6回強化した事により新たに手に入れたスキル。その代わりに今まで使っていたソニックブレイドガッシュは、ソニックパリィングエッジに上書きされ使用不可となった。


 効果は元となったスキルのソニックブレイドと基本的に同じ、斬撃を衝撃波として飛ばすスキルなのだが、一段階強化しただけで威力は数倍に跳ね上がっていた。またクールタイムは1分のままで変わっていない。


 その効果にさらにパリィ可能となる効果を付与し、尚且つパリィ成功時には自分が受ける予定だったダメージの半分を相手に与える。


 このスキルを取得した事で、僕は遠距離攻撃に対してもパリィで反撃出来る手段を手に入れた。とは言っても今まで通りシャドーエッジ同様、遠距離攻撃として使う場面が多く、パリィ目的ではあまり使用していない。


 尻尾を斬られたキマイラは「グオォォォ」と鳴き声を上げ天を見上げる。


「顎ががら空きよ。スタンストライク!」


 キマイラが顔を上げた一瞬を狙って、真下に潜り込んだ修羅刹は全力で拳を振り上げる。


 キマイラはさらに悲痛な叫びを上げ、巨体が大きく仰け反る。


「あとは任せたわよ、サン」


「おう、任せろ。トルネードブレイドオォォ!!」


 仰け反った事でさらけ出したキマイラの柔らかい腹部めがけて、サンはコマのように回転し数十回と切り刻み続ける。


「今だ!マツリやっちまえぇ~!」 


「言われなくてもやってやるです。この世の理と刻は今……この刹那を以て凍結される……おやすみなさい」


 シノマツリは詠唱を終えると同時にグリモワールを閉じた。


 キマイラの足元に氷が出現すると、その氷はキマイラの巨体を包み込んでいく。


 これは自分も巻き添えになると感じたサンは急ぎその場から離れる。


 顎を砕かれ尻尾を斬られ腹部を切り裂かれたキマイラには、もう反撃する気力はほとんど残されていなかった。


「グッオオォォォ……」


 キマイラは一矢報いようとまだ氷が行き届ていない顔を動かし、炎を吐こうと口を大きく開けようとしたが、修羅刹のアッパーによって顎を砕かれてしまった事で、結局それも叶わず何ひとつ抵抗できぬまま氷漬けとなった。


 そしてシノマツリは終わりを告げるため指を鳴らす。


 キマイラを封じ込めた巨大な氷に亀裂が入り始め、最後には盛大に砕け散った。


 パリーーーーンッ!!!!


 巨大な魔石と共にエリクサーを4人分を落としキマイラは消滅した。


 【エリクサー】は回復アイテムの中でも最上位。これ以上の回復アイテムはこのゲームには存在しない。効果は体力を完全回復と全ての状態異常を回復。高難易度のボス撃破時に一定確率で入手可能、80階層まで進んだ僕ですら、未だに1個しか入手していない超激レアアイテムとなっている。


「ど、どうです?マツリは役に立ちましたか……です?」


 はじめて魔法を目の当たりにした僕達はただただ感動していた。シノマツリが僕達に不安そうに問いかけてくれているのにも気づかないほどに。


「マジで!マジで!マジで!マジですげぇな!!!!」


「これが魔法!?」


「単体向けでこの威力、ならあの爆発魔法って相当ヤバいやつじゃ……」


 語彙力が消えてなくなるほど大いに騒ぐ一同。


「あの……あの!みんな、聞いてますです?」

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