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04 JKギャルがヒロイン候補だなんてヤバすぎる

 難易度:ベリーハード(マイナスペナルティ)

 世界観:リアル



 俺は自身のチートウインドウを目にした途端、「なっ……!?」と息を呑む。


「も、もしかして……俺の人生って、いまベリーハードなのか?」


 軽いショックを受ける俺に、妖精は事もなげに頷き返す。


「うぃ、そうや。

 チートポイントがマイナスになってまうと、チートウインドウは使えなくなるうえに、難易度がベリーハードで固定されてまうんよ。

 でも所持ポイントがプラスに転じたから、難易度は下げられるで。

 旦那がどMでもなければ、下げといたほうがええと思うけど」


「あ……当たり前だ!」


 俺はさっそく念じて難易度を下げる。

 ベリーハードより下の項目は3つあった。



 ハード

 ノーマル

 イージー(使用ポイント1)

 ベリーイージー(使用ポイント10)


 ボーナスタイム!

 現在、10分の1の使用ポイントで項目が変更できます!

 ボーナスタイム終了まで、あと10秒!



 ボーナスタイム? と首を傾げていると、俺の隣でウインドウを覗き込んでいたテュリスが、あっと声をあげた。


「いまボーナスタイムやんけ! 旦那、なにボーッとしてんねん! さては恋しとるな!?

 こんなチャンスは滅多にないんやから、さっさと『イージー』にせいや!」


 急かされた俺は、わけもわからず難易度を『イージー』にしてしまう。

 これでチートポイントをひとつ使ってしまったが、イージーということは簡単になっているはずだから、結果オーライだと思うことにする。


 ついでに、ずっと気になっていたことをテュリスに尋ねた。


「難易度についてはわかったんだが、もうひとつの項目の『世界観』ってなんだ?」


「ああ、それはその人の世界がどんな風になるかっちゅうやつや」


「そのまんまだな」


「チートポイントが残っとるんやから、試しに変えてみたらええやん。

 旦那やったらそうやなぁ、『JRPG』とかがオススメやで」


「『JRPG』?」


 俺はオウム帰しにしながら、『世界観』の項目を見てみた。

 すると、よくわからない単語がずらずらっと並ぶ。


 なにかの専門用語っぽくてまったく理解できなかったが、妖精オススメの『JRPG』の項目を見つけたので、それに設定してみる。


 そういえば、とハーチャンの『世界観』も変更されていたことを思いだし、ヤツのも変更しておく。

 基準っぽい『リアル』にして、ポイントをさらに取り戻しておいた。


 俺とハーチャンのチートウインドウは、それぞれこんな感じになった。



 ハーチャン

  難易度:ノーマル

  世界観:リアル


 ブレイ

  難易度:イージー(1ポイント使用中)

  世界観:JRPG(1ポイント使用中)



 俺の手によって人生の難易度を変えられたとも知らず、ハーチャンは馬車の中からずっと俺のことを罵っていた。

 そして俺はチートウインドウにかまけて無視を貫いていたので、ハーチャンは舌打ちをすると、


「チャッ、オッサンをからかうのも飽きたし、そろそろクエストに出かけるとすっか! おい、馬車を出せ!」


「あ、ちょっと待つし! あーし、ここで降りるわ!」


「チャハァ!? なに言ってんだよコレスコ!?」


 ハーチャンが止める間もなく、馬車からひとりの少女が飛び出す。


 彼女はコレスコという女子高生魔術師で、俺も勇者パーティにいる時に何度か一緒に冒険したことがある。

 明るく人なつっこい性格なのと、メイクバッチリの美少女ギャルなうえにナイスバディなので、勇者たちの間では人気者なんだ。


「おい、待てよコレスコ! もしかしてションベンか!? それともあの日なのか!?」


 デリカシーのないハーチャンの呼び止めに、コレスコは艶やかなアイシャドウの瞼でパチンとウインクを返すと、


「あーし、このゴミスキルのオッサンと一緒にいる! コレ、好きなんだよねぇ~!」


 コレスコはそう言って、俺の腕にいきなりしがみついてきたんだ……!


 俺はいきなりギャルに腕を抱きしめられ、「ファッ!?」と情けない悲鳴をあげてしまう。


 無理もない。

 俺はチヤホヤされていた勇者小学校の低学年以来、異性とは手を繋いだこともなかったんだから。


 風になびいた金髪から漂う甘い香りと、腕に押し当てられる胸の感触。

 相手は俺の半分のくらいの歳の子供だというのに、俺はすっかりキョドっていた。


 俺とギャルのまわりをブンブン飛んでいたテュリスが、からかうように言う。


「旦那、まるでお姉さんから誘惑された子供みたいになっとるやん。

 これも、世界観を『JRPG』にしたおかげでやで」


「なにっ、ということはこれも俺のスキルの力なのか!?」


「そうや。『JRPG』にはヒロインが付きものやろ?

 だからその子がヒロイン候補になったんや」


「ひ……ヒロイン候補っ!?」


 テュリスの姿や声は他人には見えないので、俺は小声でやりとりするように心がけていたのだが……。

 混乱のあまり、とうとう叫びだしてしまっていた。


 これではひとりで意味不明のことを叫んでいるオッサンだ。


 ハーチャンをはじめとするパーティメンバーは汚物を見るような表情をしていたが、コレスコだけはケタケタ笑っている。


「あははははは! あーしがヒロイン候補だって!

 相変わらず面白いね~! だからコレ好きなんだよね~!

 いーよオッサン、あーしがヒロインになったげる!」


 コレスコは笑顔で受け入れてくれたが、これは彼女がノリのよい性格だからである。

 そして彼女はよく『コレ好き』を連発するが、これは若者言葉の『ヤバい』に近い。


 俺は、彼女が特別な感情で言っているのではないと、必死に自分に言い聞かせる。

 でないと意識が飛んでしまいそうだったから。


 ハーチャンはとうとうキレてしまった。


「チャアッ! ふざけんなよ、コレスコ!

 勇者の俺がせっかくパーティに入れてやったってのに、途中で抜けるのかよ!?」


「えーっ、あーし、入れてなんて一言も言ってないよ?

 ハーチャンが『先っちょだけでもいいから入ってくれ』って頼むから入っただけだし!」


「そ……それこそ言ってねえし!

 勇者の俺が、腐れビッチのお前なんかに頭下げるわけねぇだろ!

 チャッ、もういいよ! 戻ってきたいって土下座しても遅ぇからな!

 せいぜいそのゴミみてぇなオッサンをからかって遊んでろ!」


 ペッと唾を吐き捨て、馬車を走らせ去っていくハーチャン一行。

 コレスコはそれを「ばいばーい!」と手を振って見送っていた。

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