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季節は巡る

作者: 丘与式杞憂

 大学一年の夏。サークルで行く小旅行の準備をしていると、数ヶ月ぶりに旧友から連絡が来た。

『やっほー、元気?突然だけどさ、実は私、最近彼氏が出来たんだ』

 男女交際的な意味で付き合ってはいなかったけれど、高校時代、同学年の彼女と僕は良い雰囲気だった。そんな風に僕だけが思っていたら少し切ないけれど、ともかくそんな距離感の彼女が、電話口で僕に告げた。

 僕は彼女に恋をしていた、と思う。しかしその気持ちが、もう既に過去形に変わっていたことに気付く。

 当時はあれほどの熱量を費やしたのに、今はもうその報告をフラットな気持ちで聞けるぐらい『好き』という感情がすっからかんになってしまったようだった。そう思うと、少しだけ落ち込んだ。環境の変化というものは、こうも強い力なのかと思わされる。

 恋人が出来た彼女と同様、僕にだって環境の変化に伴う心の移ろいはあるのだ。

 しかし、変わることは悪いことではない。いつまでも変わらないものが、美しさの全てではない。

 変化し、進歩してゆくのもまた、美しさだ。

『そうなんだ。おめでとう』

 だから僕は、そうやって彼女を祝福することが出来た。今は素直に、僕も頑張ろうと思える。そんな現状に後悔はしていないし、尊いとさえ思う。

 そしてもしこの先、彼女と再会する機会があれば、積もる話で盛り上がろう。

 それが、季節が巡るということなのだろう。

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