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【おおまか経済一 室町幕府将軍と鎌倉府】

将軍足利義教によって、鎌倉公方・足利持氏は一蹴された。室町幕府の公方はそれほど強かったのだろうか。そこで一四四〇年頃の、日本の総石高と動員兵力を推計してみよう。

 一五九八年、豊臣秀吉は太閤検地で、日本の総石高を1816万石と算出している。だが、秀吉は検地に“政治的意図”を入れ、石高を増額・減額しているので、もう少し後の「慶長郷帳石高(一六〇四~一六一〇年)」を用いる。一六一〇年、総石高は2159万石。ここから一四四〇年の総石高を推計する。幸い、二十一世紀、マディソン・プロジェクトで、当時の「一人当たりGDP・人口」は推計されているので加味する。

●一人当たりGDP:1280~1450年527GKドル、1600年574GKドル、1700年629GKドル(GKドル1990年:「1990年のドルの価値(物価)で考えるなら」という意味)

⇒年成長率は「1400~1450年:0%、1451~1600年:年0.05696%、1600年~:0.09154%」

●人口:1000年750万、1500年1540万人、1600年1850万人、1700年2700万人

⇒年成長率は「1400~1500年:0.1934%、1500~1600年:0.1833%、1600年~:0.37878%」

 成長率から逆算すると、一四四〇年、総石高は1403万石(琉球含め1410万石)である。


 三代将軍足利義満を経て、足利義持~足利義教期の幕府政治顧問・満済によれば、京の将軍が管轄する地域は、「北九州(大内領国の筑前・豊前58.9万石)~畿内(大和30.6万石・伊勢国司北畠の南半国約19.8万石、比叡山6万石除く)~越後・信濃・駿河」である。

●将軍の管轄:918.5万石-(30.6万石+19.8万石+6万石)=約862万石

●将軍の総兵力⇒(概算基準:「1万石で、兵250の動員」):215,525=「約21万」である

 一方、鎌倉公方は、相模・武蔵・上野・下野・常陸・上総・下総・安房・甲斐・伊豆。

●鎌倉公方足利持氏の管轄(関東管領山内上杉領国と甲斐除く):約132万石・兵3万3千

●関東管領山内上杉の領国(上野・武蔵・伊豆):約90万石・兵2万2千

●甲斐・武田(将軍派)の領国:16万石・兵4千

 (なお駿河今川範忠:11万石・兵2千7百、信濃小笠原政康:35万石・8千8百)

 永享の乱では、関東管領と甲斐武田(・駿河今川・信濃小笠原)が、将軍に付いた。

●将軍派:968万石・兵24万

●鎌倉公方派:132万石(山内上杉と武田以外の関東諸将が味方しても)・兵3万3千

のちの戦国時代を参考にすると、「遠国に派遣できる兵力:総兵力の約30%」である(一五五九年「越後・総兵力9千7百」の長尾景虎は、「3千」で上洛)。将軍義教は最大「討伐軍7万」が編成可能であった(「奥羽・篠川公方足利満直ら:168万石・兵4万2千」は枠外扱い)。


 永享の乱では、開戦直後すら、「将軍派(山内上杉・武田今川小笠原)3万7千」に対し、鎌倉公方は「3万3千を“糾合中”」であった。将軍派の圧勝である。関東諸将は事態を傍観する他なく、鎌倉公方は自刃に追い込まれた(今川武田小笠原の討伐軍は推計8千5百。「隣国へ大出兵:総兵力の約55%」・一五七五年上杉謙信の越中出兵・『御軍役帳』より)。

捕捉①

なお、義教の討伐軍のうち、八月二十日に上杉教朝が先遣隊として京を出発している。九月二十七日頃、討伐軍は早川尻で持氏軍を破り、鎌倉公方は早くも劣勢となっている。これを見た下総守護・千葉胤直(推計16万石・4千)は持氏に和睦を進めたが、容れられず、早々に持氏を見限って戦場を離脱している(鎌倉持氏記)。

この時点で、鎌倉公方派の糾合可能兵力は「2万9千以下」。関東諸将は、討伐軍を前に自家存続を優先したのだった。十一月、討伐軍は鎌倉を攻略した。


捕捉②

一五七五年の上杉謙信の越中出兵に際しては、5480人に軍役が課せられた(本庄繁長、上野家成らは越後でお留守番)。総兵力の約45%は越後の防衛に当たっていたわけであり、大名達は、領国の防衛を考えながら出兵していたのである。大名も大変だ。

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