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風呂と鍋と愛

家に帰った俺は風呂に入っていた。

「あー、気持ちいいー。」

初めての戦闘で緊張したせいかお風呂が気持ちいい。

初めての戦闘と言っても俺は何にもしてないからあまり実感はないが…。

その時俺の手が光り玉から三人が出てきた。


「咲さんに桃ちゃんに吹雪、いきなり風呂場にどうしたんだ?」


「なんで私だけ呼び捨てなのよ。」


……。


「咲さんどうしたんですか?」


「パン君の力が上がったので、みんなでお礼に体を洗って差し上げようと言う話になりましたー。」


「桃がお背中流しまちゅ。」


「私は別に何もしなくても良いと思ったんだけどね。」


「さあ、椅子に座って下さい。」


咲さんは洗体タオルを泡立てて桃ちゃんに渡した。


「おせなか、おせなか、きれいきれい。」

桃ちゃんは一生懸命背中を洗ってくれた。


「出来たー、桃のばせちゃうから先に玉に戻りゅね。」


「桃ちゃんありがとう。」

俺がお礼を言うと桃ちゃんは玉に戻っていった。


「次は吹雪が洗いますか?」


「なんで私が!」


「じゃあ私が頭と腕とお腹洗いますね。」


「えっ、良いんですか咲さん。」


「もちろんですよ。

あの時カイトさんを、桜の木を、みんなを守りたいって強い気持ちを感じました。」


なんだか知らないが今日は良く褒められる日だな。


咲さんは俺の頭を膝枕しながら洗ってくれた。


親の居ない俺はその赤ちゃんの様な洗い方になんとも言えない気持ちになった。


後頭部に感じる咲さんの太ももの感触に対する性欲と咲さんを家族の様に大切に思う気持ちが複雑に絡み合った。


「咲さん、俺頑張って三人を幸せにしてみせるよ。」


「ありがとう。」


咲さんは少し照れた様な顔をしながら吹雪に話しかける。


「吹雪、ちゃんと三人を幸せにするって言ってくれてるわよ。

頭と上半身は洗ったから、下半身は吹雪お願いね。」


「えっ、ちょっと待ってよ。」

吹雪は慌てて咲さんを止めたが咲さんはさっさと玉に戻ってしまった。


俺の不思議な力で生み出した三人は俺に絶対服従なので、ここで吹雪にエロい命令をする事は出来るが俺はしなかった。


俺の求めるものはそんなもんじゃない。

ちゃんと彼女達に心から認められたいのだ。


俺と吹雪の間に沈黙が流れた。


吹雪は耐えられず喋り出しす。

「ちょっとなんか言いなさいよ。」


「俺は三人を幸せにしたいんだ。

いつか吹雪にも認められる男になる様に頑張るから、だから今は吹雪のしたい様にしてくれ。」


吹雪の顔はどんどん赤くなっていった。


「何言ってるの、私がご主人様の身体を自分から洗う訳ないじゃない。

だから男らしく覚悟を決めてさっさと命令しなさいよ。

洗ってあげるから。」


俺は吹雪の気持ちを汲んで命令した。


「吹雪、俺の足と下半身を洗ってスッキリさっぱりさせろ。」


「わかりました、ご主人様。」


吹雪は「これは命令だから仕方なくよ。」と何度も言いながら、俺の足を洗いはじめた。


「ちょっとあんまりいやらしい目で見ないでくれる!

下腹部も洗うから目つぶっててよ。」


俺が目をつぶると俺の下腹部は吹雪の優しさに包みこまれた。


俺の下半身を綺麗にスッキリさっぱりさせてくれた吹雪は言う。


「明日の晩御飯はまた鍋にしなさい。

桃が家族みたいって喜ぶから。

私じゃなくて桃が喜んでるんだから勘違いしないでよね。」


「ああ、わかった。」

俺は力強く頷く。


「あっ…、あと私はもう玉に戻るからお風呂出たらちゃんと身体拭きなさいよ。

ご主人様みたいなバカでも風邪ひくんだらね。

風邪ひいたら桃が悲しむからわかった?」


「わかった。」

俺が再び力強く頷くと吹雪は玉に戻っていった。


翌朝俺は朝市を自転車で走り周っていた。

お金はあまりないが三人に美味しい鍋を食べさせたかったからだ。


学校の勉強も頑張って、家に帰って家の掃除をしてから鍋の準備もして三人を呼び出した。


もちろん高級食材は入っていないが、俺の出来る精一杯の鍋だ。


桃が笑顔で言う。

「おいちー。」


咲さんも笑顔だ。

「パン君、掃除と料理くらい言ってくれれば私達がするのに。」


「これは昨日お礼だから俺一人で全部やって三人に喜んでもらいたかったんだ。

今度から頼むよ。」


「うん!わかったわ。」


咲さんが嬉しそうに笑ってくれて、なんか俺まで幸せな気持ちになった。


桃ちゃんと咲さんの笑顔につられたのか、吹雪も笑顔だった。


「吹雪の笑顔ってかわいいな。

いつも笑顔で居てくれたらいいのに。」


突然の俺の発言に吹雪が顔を真っ赤にしながら答える。


「なっなっ何言ってんのよ!

ご主人様に見せる笑顔なんか無いわよ。

せっかくの鍋なんだからさっさと食べなさい。

今日は私が食器の片付けしてあげるから。」


その日の鍋は本当に美味しく笑顔と笑いの絶えない食事になった。


俺達四人は一家団欒を楽しんだ。


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