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川の疑惑と初バトル。

俺達は壊れたコンクリートの中に腐った丸太を見つけ撮影していく。


まだ出来たばかりのはずなのに、中の丸太はほとんどが腐っていた。


「ついでにあっちもやっちゃいましょ。」

あやねが資材置き場と見られる大きな建物の入口を破壊する。


建物は物置の様な素材で出来ており直ぐに扉が開いた。


中には建築前から既に腐った丸太などがあった。


俺達は腐った丸太や書類の束を適当に撮影して資材置き場を出た。


「さてどうする?」


「変に警察とか国に届けても何もしてくれないだろうし、不法侵入とか言われたら嫌ね。」


「とりあえず色んなマスコミに送ってみようか?

どうせ大きな企業相手だから放送されない可能性もあるし、沢山送っちゃいましょ。」


俺達は少し離れた場所に移動して、お弁当を食べながら、適当にネットで調べたマスコミに証拠写真を送りまくった。


後日ほとんどの予想通りマスコミでは放送されなかったが、地元のチャンネルからネットに火が付き、やがて全国ネットの番組でも放送される様になった。


一部のチャンネルでは、不法侵入や器物破損で撮影した方を悪く言い大手建設会社を庇う番組もあったが、河川敷の工事は別の企業でやり直しされる事となった。


こうして不思議な力を得た俺達の最初の戦いは勝利で終わった。


俺は昼休みの屋上でお弁当を食べながらカイトに言う。


「なあ、不思議な力ってさ…、もっとこうアニメみたいなカッコイイバトルを…。」


カイトは俺の言葉を途中で遮る。


「言うな。

俺もまさか自慢のロボットが工事車両の様に使われるとは思ってなかったんだ……。」


俺達に沈黙が流れる。


「お前は良かったじゃないか。

俺やあやねの力は欠点があったり使い辛かったりするしな。

理想の女の子作って自由に出来るお前の能力が一番現実的だった。」


カイトは読心術のせいで人の黒い部分が見えるせいか少し荒んでいる様だ。


「まあ実際、瞬間移動かどんな物も小さくしてしまえる袋くらいがベストだよな。

瞬間移動なら高速輸入代理店が出来るし、重いものが大量に運べれば建築業でも運送業でも何でも出来るしな。」


「時間系もいいぞ。

俺は心が読めるからわかるが欲深いおばさんと金持ちのジジイ若返りさせて大金持ちだ。」


俺達は全国の超能力に憧れる子供達の夢をぶち壊す様な会話をしてお昼休みを終えた。


アニメの様なカッコイイバトル…。

その日の夜俺はそれを早速体験した。


夜中急にカイトから呼びだされ桜の木の川に行くとそこには巨大な黒いバケ猫がいた。


カイトは手から火を出す能力で必死にバケ猫を桜の木から遠ざけていた。


「大丈夫かカイト!」


「ああ、今のところ大丈夫だ。

それよりあのバケ猫だ。

俺達の中で一番戦闘向きなあやねは来ない。

家族の芽があるんだ、女の子だしな。」


「俺の能力も女の子だぞ。

やっぱり瞬間移動で後ろから刺すか、異次元道具袋で閉じ込めて封印とか高い所で袋から出して落とせば良かったな。」


「そんな事言ってる場合じゃねえよ。

今はまだ火でびびってくれてるが、いつ襲ってくるかわからないんだ。」


その時、俺の手が光り三つの玉から、咲と吹雪と桃が飛び出してきた。


咲がバケ猫と戦闘をはじめた。

その隙を突き、桃がアッパーでバケ猫を空中に飛ばした。


「全くしょうがないわね、ご主人さま男でしょ。あれくらい何とかしなさいよ。」


吹雪がめちゃくちゃ言いながら、空高く殴り上げられたバケ猫に向かってジャンプして地面に蹴り落とした。


地面に落ちたバケ猫はピクリとも動かなかった。


俺とカイトが驚いていると桜の精霊が現れてバケ猫の死体と俺達を桜の木の中へ(いざな)った。


「いやー、助かった助かった。

この猫は近所のババアに外飼いされてた猫での。

ある日野良猫から病気を貰ってしまったのじゃ。

そしてそのババアは病気になった瞬間病院代をケチりおってな。

猫は死体を見せないとか言って病気なったこやつを捨てたんじゃ。

バケ猫化して困っておってな。

パンダよお手柄じゃ。」


桜の精霊はそう言って喜んでいた。


「外飼いされてる猫で病気とか交通事故とか結構いると思うのですがみんなこんなバケ猫になっているのですか?」

カイトが俺と同じ疑問を持った様で精霊に質問した。


「いや、飼い主に復讐したいと彷徨っておったからわしが力を与えたんじゃ。

そしたら飼いを殺した後、自分のパワーに溺れおって暴れてのー。」


俺はあんたのせいかでもあるんかい!という言葉を飲み込んだ。


カイトと視線が合ったからカイトもそう思ったのだろう。

俺達が不審そうな顔をしてると勘違いした精霊が話しを続けた。


「まあ、こやつも変な飼い主に当たった可哀想な猫じゃった。

わしが魂の面倒を見るから安心して良いぞ。」


俺達の言いたい事とは違ったが、不幸な猫も精霊に面倒を見てもらえるなら幸せだろう。


「さてお待ちかねじゃ、今回大活躍だったパンダの力を上げてやろう。」


「えっ?俺は活躍してないですよね?

活躍したのはこの三人の女の子達ですが…。」

俺は下がって、女の子達を精霊の前に立たせた。


「いや、お前の活躍じゃぞ。」


「そうです、さすがですパン君。」

「やったねパンにい。」

「中々出来る事じゃないわご主人様。」

何故だか精霊と三人は俺を褒めてくれた。


「三人はお前の能力じゃろ?

安心せい、お前の力を上げてやれば三人にも良い事があるぞ。」


こうしてカイトは俺を呼んで俺が来るまで時間を稼いだ分の褒美と俺はバケ猫退治の褒美をそれぞれ与えられた。




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