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一緒に歩くキミが好き  作者: ハルカ カズラ
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9.清澄くんからの呼び出し

                9.清澄くんからの呼び出し



 体育祭リレーでの活躍によって、わたしはクラスでの平穏を手に入れることが出来た。文乃あやのいわく、委員長の唯奈ゆいなに踊らされていただけだったんだよ、みんな。その言葉通りだった。確かに普段のわたしは相変わらずの鈍足。だけどリレーの衝撃は相当だったらしく、足が遅すぎても誰もそのことをバカにすることは無くなった。


「人は見たまま、リアルでの衝撃に素直なんだね」


「何それ文乃」


「やー、リレーのあんたって、マジでやばかったから。アレ見せられたらさ、バカには出来ないっしょ?」


「そんなものなの? よく分かんないけど、勝てて良かったよ」


「だね。でさ、彼の事だけど私、噂で……」


「あ、うん。噂とか、わたし気にしないから気を遣わなくていいよ、文乃」


「そ、そっか。ん、分かった。やめとくよ。きっと、心晴なら大丈夫だろうし心配してない」


「うん、ありがと」


 文乃と友達で良かった。わたしの片思いなのに、ここまで彼とのことを心配してくれるなんて。唯奈さんとのわだかまりがまだあるけれど、時間が解決してくれる。そう思ってる。そんなことを思い浮かべていた放課後、帰りのホームルームが終わると同時くらいに、彼はわたしのクラスに顔を見せた。


 いち早く彼に気付いた唯奈さんが彼の元へ駆けだし、声をかけていくのをチラりと見てすぐに、教室を後にした。きっと委員会の誘いなんだろうなぁ、なんて思いながら家路を急ぐわたし。


 次の日、遅刻ギリギリで教室に入ると意外な人がわたしに声をかけてきた。


伊月いづきさん。昨日、どうしてすぐに帰ったのですか?」


「え? ホームルームが終わったからだからですけど……あの何か?」


「……いいえ、何でもないです」


 な、何だろ? 唯奈さんから声をかけてくるなんて珍しすぎて、クラス中の注目を浴びてしまった。怒ってる様子でもなかったし、たぶん大したことが無かったのかな? そう思いながら放課後になり、さっさと教室から出て、昇降口に向かった。


 特に何も気にすることなく、真っ直ぐに家に帰っていただけのわたしだったのに、翌日から明らかに何となく、教室内の雰囲気が違うことに気付いた。文乃が耳打ちしてきて耳を疑った。


「(毎日、清澄くんがあんたを名指しで来てるの知らないの?)」


「(や、そんなの言われても知らなかったし。と言うか、何でなの?)」


 さっさと帰っていたわたしは、体育祭で声をかけられた以外で清澄くんとは直に会っていない。それがどうして今、ウチのクラスに来ているのだろう? それもわたしに?


「(さぁ。でも、今日はさっさと帰るのはよしとけば? 唯奈がそろそろイラついてるし)」


 そっか。委員会の誘いでも無ければ、声掛けでもなかったんだ。じゃあ、ホームルームが終わっても待ってるしかないよね。そうして、放課後を待つことにした。


「伊月、まだいる?」


 放課後、ホームルーム直後なんてそもそも、すぐに教室から出て行く人は多くない。それもあってか、ほとんどの人は残っていて、清澄くんと呼び出されたわたしの動きに注目が集まる。


「え、えっと、わたし?」


「よかった、やっと会えた! あのさ、話があるんだけど明日、いつも通りに歩いてて欲しいんだ。いい?」


「え? いつも通りに?」


「うん。じゃ、それだけだから! ごめんな、迷惑かけて」


「そ……んなこと」


 クラスのみんなはポカンとしていたけど、話の中身がそもそも理解出来ていないせいか、あまり彼がわたしを呼びだしたことに対して、気にせずに教室から出て行く。わたしにも清澄くんが言ったことを理解出来ていないまま、そのまま教室を出て行った。清澄くんの言葉……いつも通りに? それって……?

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