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マセケン

作者: うにお

 あなたが好き。

 朝起きてハグしてくれるあなたが好き。

 景色を見ながら散歩をするあなたが好き。

 料理しているあなたが好き。

 楽しそうに食事するあなたが好き。

 歯を磨いているあなたが好き。

 嬉しそうに服を選んでいるあなたが好き。

 運動をしているあなたが好き。

 お風呂に入っているあなたが好き。

 優しくポンポンしてくれるあなたが好き。


 なのにどうして。


 私はあなたのことをこんなにも好きなのにどうして、私たちは仲良しなだけで恋人にはなれないの?

 私はあなたのことをこんなにも好きなのにどうして、あなたは私以外の人に笑顔を向けるの?

 私はあなたのことをこんなにも好きなのにどうして、あなたはあの女と笑っているの?

 私はあなたのことをこんなにも好きなのにどうして、あなたはあの女に料理を作ってあげるの?

 私はあなたのことをこんなにも好きなのにどうして、あの女と一緒にいるの?

 私はあなたのことをこんなにも好きなのにどうして、あなたの笑顔が憎いの?


 嫉妬、こんな感情初めて湧いた。


 私はあの女が嫌い、だって彼に恋をしているから。

 私はあの女が嫌い、だってブスだから。

 私はあの女が嫌い、だって短足だから。

 私はあの女が嫌い、だって香水つけてるから。

 私はあの女が嫌い、だって彼といると楽しそうだから。

 私はあの女が嫌い、だって嫌いだから。

 私はあの女が嫌い、だって私から彼を奪ったから。

 私はあの女が嫌い、だって私に優しくするから。


 私は必死に叫んだ、でも。


 いくら私が叫んだって、あの女は優しく微笑んでくれる。

 いくら私が叫んだって、彼は相変わらず優しく撫でてくれる。

 いくら私が叫んだって、二人の距離は遠ざからない。

 いくら私が叫んだって、私が虚しくなるだけ。


 なんて無様なんだろう、なんて滑稽なんだろう、なんて馬鹿なんだろう、なんて愚かなんだろう。


 もう私はあなたを独り占めできない、それはワガママなことなのかもしれない、だけど私にはあなたしかいないの。

 だからお願い、もうあの女と寝ないで、あの女なんか追い出して、私の気持ちも知らずに優しくするあの女を。


 もう一度だけ、私だけを見てよ…。


「アォォォォォンーー」

愛犬の前でイチャイチャパラダイスしないように!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初、語り手は妹かなと思いながら読んでいたのですが、まさかの愛犬! 二回目、語り手が犬だということを念頭において読んだのですが、最初に読んだときとはまた違った面白さもあって、二度おいしい作…
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