第8話 切り札
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前回と作風が若干違うように見えて申し訳ありませんが、必ず!イチャラブ&エロにもって行きますので、後書きをご覧下さい。
声の上がった方を見ると、子供達が馬車から出て、こちらを心配そうに見つめている。
俺は子供達に心配をかけたことを深く後悔しながら、レイエールを見ると、やつはそれ以上に悔いるような顔をしている。
そんな中、子供達の間から1人の少女が進み出てきて
「レインお兄さんは優しい人でしょ! なんで、トリオお兄ちゃんに酷い事するの、もうやめてよ!」
そう言って、やつの最愛? のメイちゃんが、レイエールを責めるの。
これでレイエールが動揺すれば、と思わないでもないが、それ以上に子供達にこんな戦いを見せようとした馬鹿野郎にいっそう腹が立った。
「おいクズ野郎! 子供達を馬車に戻せ! この子達に戦闘なんて見せるんじゃねぇよ!」
「おいおい、何を言っているんだ? 見たいって言って、兵士達に文句を言ったのはそこのガキ共だぞ。俺はそんなガキ共の『お願い』を聞いてあげたんだ。感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いはないな」
馬鹿野郎、この子達は戦争で親を亡くしているんだ。
何よりも戦争や戦闘が嫌いなのを分かってやってやがる。
もし俺がここで負けてみろ、この子達はどうなる? それを分かってやってやがる。
やっぱり、こいつはただのクズじゃなくて、クソクズ野郎だ!
「フフフどうだ、トリオ。このガキ共の手前、お前は決して負けられないだろ? そんな中で負けたら貴様はさぞかし絶望に包まれるだろうなぁ~」
チィッ! それが狙いか、どこまでも腐ってやがる。
「はんっ! 俺が負けなければ良いんだよ! それにこれでレイエールが動揺するとは思わないのか? 馬鹿め!」
「馬鹿は貴様だ。この程度のことでレイエールは動揺などせんよ。こいつはそんなに柔じゃない」
これで動揺しないほど、レイエールが腐っているとは思えない。
それにしても、俺自身が子供達の前で全力を出すのは大丈夫だろうか?
俺の事を怖いと思われないだろうか?
子供達は俺から離れていってしまうんではないだろうか?
そう葛藤していると
「トリオお兄ちゃん負けないで!」
「馬っ鹿だな~、トリオお兄ちゃんは最強なんだぞ、絶対に負けないよ!」
と言った声が聞こえてくる。
そうか……そうだよな!
この子達はちゃんと俺を見ていてくれる。
そう思うと、力が湧いてきて、言葉にも力がこもる。
「お前ら! 俺が負けると思うか? いつも言っているだろ! 俺は誰にも負けない、心配するな!」
そう言うと、一斉に子供達が
「「「トリオお兄ちゃん頑張って~!」」」
と声を掛けてくれる。
子供達の声援に軽く泣きそうになるが、この声を守るために……俺は絶対に負けられない!
そう心を引き締め、切り札であるナイフを握りなおし、数を数える。
後6本か、それまでに片がつけば良いんだが、望みは薄いな。
むしろ後6本、俺が持つかどうかだな……少し無理してでも……やるしかない!
そう思いレイエールを見ると、やつの顔には何の表情も無く、ただ俺を見据えていた。
そうか……心を殺したか……気を使って戦う、お前さんが心を殺すって事は、弱くなるって事をあのクズは理解していないんだろうな……。
しかし、それはそれ、これはこれだ!
遠慮なく全力で行かせてもらう!
切り札のナイフを3本掴むと、俺は無造作にちょうどレイエールとの中間地点に放り投げる。
ナイフは放物線を描き緩やかに落下してくる。
俺はその3本のナイフの柄の部分に棒で突きを入れる。
ナイフは俺の突きを後押しに、一直線にやつに向かい、俺はそのナイフと同時にレイエールに肉薄する。
レイエールはナイフを無視しそのまま体で受け、俺の棒の攻撃にハルバートを併せる。
レイエールは俺の上段に振り下ろしに対し、真っ向からハルバートで防御した後、右の回し蹴りを繰り出す。
俺はその回し蹴りをいなし、脚に符を貼り付け、後ろへ飛びのき
『アイスコフィン』
と唱えると、レイエールの足が氷の塊に覆われる。
それまで、いくら魔法を受けても平然としていたレイエールだが、今回は少し違った。
ダメージがあるわけではないようだが、氷塊のせいでバランスが取りづらくなったようだ。
「どうした、レイエール。バランスが取りづらそうだな! もう片方も凍らせてやろうか?」
その挑発が聞いたせいか、レイエールは片足を使って猛然とこちらに突っ込んでくる。
この場所じゃダメだな。
そう思い、レイエールの突進にあわせて俺も突っ込む。
2人が交差する瞬間、レイエールは氷の付いた足で物凄い前蹴りを放ってくる。
俺は急停止でそれをやり過ごし、再度突進してレイエールの懐に入ろうとする。
すると、背後から物凄い悪寒が迫ってくる。
これは、まずいと思い、背後の氷の塊を伴った蹴り戻しの足をかわそうと体をひねった瞬間、俺は無意識に符を取り出し、手に貼り付けたまま、自分の顎をガードする。
しかし、ガードした手越しに相当の衝撃が体を突き抜け、吹き飛ばされる。
吹き飛ばされながらも、魔力を込め
『アイスコフィン』
を発動させ、ガードした際に貼り付けた符でレイエールのもう片方の足を凍らせる。
「凄いな、踵落しと同時に軸足で顎を狙ってくるのかよ……こんな体術見たこと無いぞ、この化け物め!」
「ふんっ! それでも、その蹴りに反応してガードした上に、お土産の符まで貼り付けていくんだから、貴様の方こそちゃっかりしていると言わざるをえんな。トリオよ、もう降参したらどうだ? お前の攻撃は俺には効かん。逆に一発でも俺が当てればそれで終了なんだぞ。そのくらいお前にも分かっているだろ?」
と先ほどからの無表情が崩れ、辛そうな顔をしながら俺を説得しようとする。
「俺から主にお願いして、お前には服従の契約をしないでもらえるようにしてもらうから、降参してもらえないか?」
「断る! まず第一にお前のクズ主はお前のお願いなんてお構い無しに、俺に服従の契約を施そうとするだろう。第二に仮に契約が無い状態なら、なおさら俺はあんなクズには従わない。そして、最後に俺の攻撃が通じないって勝手に決め付けるな!」
「しかし、実際にお前の攻撃は俺には脅威と思えない。俺が気付いていないとでも思っているのか? だとしたら随分と舐められたものだ」
「なんだと?」
「お前が攻撃の合間に仕込んでいる、奇妙なナイフ。他のナイフは全て遠くに弾き飛ばされたのに、この奇妙なナイフだけは俺の周りに散らばっている。何らかの布石か? それにな、お前の戦い方は基本的に多対1の戦い方に特化しすぎている。たくさんの雑魚を一掃するのには向いているが、一発一発が俺には軽いんだよ」
しかし、このセリフは俺を刺激した。
俺にとってこの言葉はある種のスイッチを押す。
「ははは、軽いか? 俺の攻撃を軽いと言ったか? お前を殺さないよう、気を使ったんだがな、それが仇になったようだ。もういい……本当にお前を殺す気でいかせてもらおう」
「なるほど、まだ奥の手があるのか? さっさと試してみろ。お前の奥の手を全て受けきった時、その時がお前の負けだ」
その瞬間やつの殺気が爆発的に膨れ上がる。
その言葉と殺気を浴びた子供たちから、『ヒィッ! 』と声が漏れる。
傍から見れば確かに俺の攻撃が通じるとは思いにくいのかもしれない。
身長差で50cm以上、体重は倍以上違うであろう、正に子供と大男の対決なのだ。
いくら俺には魔法があっても、その魔法は悉くやつの防御の前に殺されている。
そう、防御する必要もなく、全ての魔法が効いていないのだ。
ならば後は、武器による攻撃しかないが、武器を操る腕前においても、やつの武器を振るうスピードは神速ともいえるほど速い。
気や体重を乗っけたモーションは大きく、簡単にやつに防がれてしまう。
「「「トリオお兄ちゃん……」」」
子供達の俺を心配する声が聞こえる。
そんな子供達の不安を払拭するように、俺は笑う!
笑って言ってやるんだ!
「心配するなお前ら! いいか? 仕方が無いから! しょ~~~~がないから! 俺の必殺技を見せてやろう、良く見ていろよ!」
そう言って俺はレイエールを正面に、左手を前にだし、掌を天に向けその上に棒の先端を軽く乗せる。そしてもう片方の手で棒の端を握りながら、まるで弓矢を絞るように後ろで引きつつ構える。
「刺突棍、これがお前のご自慢の防御を破る技だ。覚悟して見るといい」
そう言いながら、構えをとりつつ足に気を溜める。
その間にレイエールはハルバートの柄を使って、足に付いた氷の塊を両方とも砕く。
息をゆっくりと吐き、力を溜めつつ、突進のタイミングを測る。
「なんだ? こないのか? にらみ合っていても仕方があるまい」
レイエールはそう言いながら、ハルバートを下段に構える。
もちろんこれは、わざと見せる隙だ。
それは分かっているが、あえてそれに乗ろう、こいつの速さを後悔しやがれ!
「はっ!」
短い気合と共に、突進を開始する。
しかし、レイエールはそれを読んだように、ハルバートで足元を一閃する。
くっそっ! やつは先ほど砕いた氷を俺に向けて飛ばしてきたのだ。
俺は氷の粒が腕や頬を掠めるのを構わず、突進し一足で間合いを詰め、突進の威力、捻った体を戻す力、右腕を突き出す力、その全てを先端に込め貫く!
『ガシィッツ! 』
鈍い音がして、棒の先端がレイエールの重ねた両手の手の平で受け止められる。
「威力は十分だったし、速さも予想以上だった。いくら俺でもこの攻撃をまともに受けるほど馬鹿じゃない。しかし、お前らしくない随分と素直な攻撃じゃないか? 本当に俺に当てる気だったのか?」
「くっそっ!」
短く悪態を付きながら、棒を引こうとするが、やつの手に先端が握られる。
「この技は本来であれば、カウンターや防御の出来ない状態にしてから、満を持して放つべき技じゃないか? 威力は凄いが隙が多すぎる。大体だな、今から突きますよなんて構えで技を出したところで、俺を含む一流どころには通じないんじゃないか? とても対人用の技とは思えん。だから簡単にカウンターを取られて威力が殺される」
そう言いながらレイエールはがっかりした様な顔で俺を睨むと、一気に腕に力を入れ、俺を棒ごと持ち上げようとする。
一瞬だけ、俺はそれに逆らうように握る手に力を込めた後、あえてその手を離す。
引き合いをしていた手をいきなり離されたレイエールは軽くバランスを崩し、たたらを踏む。
そこへ、残りのナイフ3本を投げ両手と腹に当たるが、「キィン」と短い音を残して地面に落ちる。
よし! これで準備は整った。
後は最後の起動だ。
そう思い、地面に転がるナイフから、レイエールに視線を向けると、やつは俺の棒を槍投げのように構え、俺に向かって軽々と投げる。
俺はそれを見て避けようと考えるが、その後ろでレイエールが動くのが見えた。
レイエールは俺が回避した場合、その回避した先に攻撃を重ねようとしているのだ。
それを瞬間的に察知した俺はレイエールの予想を裏切るべく、棒を真正面から受け止めるように切り替える。
俺は冷静に顔面に飛んでくる棒を見切り、一瞬しゃがみ込み、棒の先端を両手で上に跳ね上げる。
棒の軌道が俺の真上にずれ、レイエールの視線が棒に向けられ上を向いたのを見逃さずに、符の付いたナイフを3本投げつける。
『プチプロージョン』
符の付いたナイフはレイエールの直前で爆発し視界を遮る。
俺は切り札である、起動ナイフを投げそれがレイエールに到達した頃、俺の対単体最大の切り札である、最後の呪文を通常ではありえない魔力を込めて唱える。
『収束光! ルクスプロクラーティオ』
するとレイエールを取り囲むように地面に散らばったナイフが光だし、一斉にレイエールめがけて光の一撃を解き放つ。
狙いたがわず、全ての光の一撃がプチプロージョンの爆風の中に吸い込まれ、中央で派手な音を立てて爆発する。
レイエールが立っていたであろう場所での爆発のため、砂埃が酷く視界を確保できないが、子供達の声が聞こえる。
「「やった~!」」
「「勝った! さすがトリオお兄ちゃん!」」
「「すごいすごい!」」
「最強種であるドラゴンの防御力さえもぶち抜くことができる、これが本当の俺の切り札だ。厄介なやつだったが、死んでないよな?」
と言いつつも、俺は勝利を確信し爆煙を見つめる。
前書きにも少し書きましたが、イチャラブ&エロをご期待の皆様へご連絡です。
感想欄にてイチャラブorエロorドエロのご希望を受け付けます。
今回はフェムちゃんしか出せませんが、このイベント終了後にフェムちゃんのご褒美イベントを差し込む予定です。
ご希望がない場合、フェムちゃんのご褒美イベントはスルーされて無しになってしまいます。
もし、フェムちゃんとのイチャラブorエロorドエロをご希望があれば、次回の投稿までに感想欄へのご希望をお願いいたします。
集計した結果で、選ばれたものを実行したいと思います。
ちなみに、ドエロの場合はノクタ行きですので、ご了承下さい。
またドエロの場合、フェムちゃんのMっぷりが全開にされる予定なので、ご注意下さい。
これで、集計した結果all 0 だった場合あまりにもフェムちゃんがかわいそうなので、皆様是非よろしくお願いいたします。
※作者がエロを書きたいんだ~~~~~!
真面目な話ばっかりだとつまんないんだよ~~~ストレスが溜まりまくり~~~!
失礼しました、つい本音が……m(_ _)m