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「さてと。帰りますか。これで賭けも大丈夫だよね。」


一瞬間を置き目を見開き、自分の言葉が信じられないとゆうように口を手で押さえるまぁちゃん。


賭け?それか!昨日から変だったのは。


「何それ。どうゆう事?」


駄目だよ。ここで俺が引いたら、また一人で抱えて泣くだろ?


「話してくれない?」


そんなに俺が嫌か?

そんなに気を許せない?他の奴がいいのか?


目を泳がせながら無言で少し怯えた、まぁちゃん。


しばらくしてツンとした態度で白状した。


「何か大事な事を賭けてあるから私なんかに告白して、お試しまでつけたんでしょ?」


賭け、真美に告白、お試し…俺のせいだったのか?

柳の心配どおりだ。


「違う。そんなんじゃない。」


ごめん。まぁちゃん。そこまで気にしてたと、気が付かなかった…。


「もう、本当にいいから。そんな事を言うのやめて。」


泣きそうな顔で視線を外され言葉もキツク返された。

そんな、まぁちゃんに胸が苦しくなる。


ほんとごめん。まだ誤解してたなんて…。


「だから…」


俺の事を見たくも、ましてや話も聞きたくないのか目線を外し遮られる。


「あの朝、初めに聞いても否定しなかった。ずっと聞けずにいた私も悪い。


けど、教室で賭けの話をしてたのを聞いたの。匠いってたじゃん。勝つって。今日が期限で勝負で本当に付き合えば勝ちなんでしょ?」


最初にはっきり否定しなかった事を悔いた。真美が相手だと情けない事ばかりだ。

最初の告白から誤解し続けて教室の話を聞いて自販機でボンヤリして今日。それであんなだったのか。


「まぁちゃん。俺は…。」


真美の言葉で一気に色々と繋がった。

俺は真美を傷付けてたんだ。

俺の気持ちも最初から疑われ、最後まで信用されなかったんだ。

誤解なんだ。話を聞いて欲しい。

悲しくなり懇願するよう言いかけたが駄目だった。


「だから!こんな私を相手に嘘の告白して付き合う振りを一ヶ月も続けられるくらい、頑張る大切な賭けなんでしょ?

少しでも本当に付き合ったから匠の勝ちじゃん。ギリギリだけど良かったじゃん。


これから私なんかじゃなくて、釣り合う綺麗な可愛い本当に好きな女の子と付き合えば良いでしょ!」


辛そうな顔で、気持ちをさらけ出すかのような勢いの真美の言葉。

バックの中から手紙のような物を出して胸に力一杯押しつけ、そのまま帰ろうする。


まだ、帰しちゃだめだ。また後悔する。もう、絶対に戻れなくなる。

俺は、まぁちゃんがいいんだ。

落ち込むのは後だ。まずは話だ。


手軽が落ちるのも構わず、真美の腕を掴んで足を止め俺の方に向けた。

しばらく下を向いていた真美が感情を爆発させた。


「お願いだから。もうこれ以上、疑ったり賭けに振り回されて付き合うの本当に無理。ごめん。もう私を賭けに巻きこんで遊ぶのやめて!」


「真美!」


話しを聞け!


腕を振り払おうと動くので真美につられて、俺の気持ちも大きく動き怒鳴るように名前を呼ぶ。

話しを聞こうとしない真美に俺も限界で、捕んだ腕に力がこもる。


ビクッとして真美の動きが止まった。


怒鳴ってごめん。

誤解させたまま、まぁちゃんをそこまで追い詰めて辛くさせてごめん。

こんな俺だけど、まぁちゃんは手離せない。ごめん…。


「お願いだから…。頼むから話しを聞いて。」


動きも言葉も止めたままの小さな真美をみて、俺は自分が落ち着く為に深呼吸をした。

俺の気持ちと同じように強くなった腕を掴む力を抜く、屈んで真美と目を合わせてじっと見た。


「ちゃんと落ち着いて聞いて。真美を好きな気持ちに賭けも何もない。嘘じゃない。絶対に俺は真美にそんな事をしない。」


そらされないように目を強く見たまま、わかりやすく子供に言うように一語一語ゆっくりと話し始める。


「何で誤解したかは知らないけど、真美に告白する前からこれまで賭なんて物は絶対に存在していない。もちろん、これからも。」


真美からの反応は無い。

けれど絡んだ糸を解くように、一つ一つの誤解を解きはじめる。今しかチャンスはない。


「教室で奴らとしてた賭けの話は、俺が二回目に告白した時に真美が賭けか罰ゲームかと聞いてきた事を話てたから、ちゃんと誤解を解いたのか聞かれていただけ。

本当に誤解。賭けなんて存在しない。」


言葉はちゃんと届いてる。

混乱した様子の真美が小さく言う。


「けど…だって…。」


反応があった事が嬉しくて話しやすくなるように先を促すした。

怒鳴ったりしたから怖がらせないように、優しく。


「なに?ちゃんと言ってみて?」


泣きそうな顔で俺を見たまま、小さく途切れがちに言葉が返ってきた。


「今日が期限…勝負だって…。勝つって…。」


「今日の初のお休みデートで真美が喜ぶようにして、一緒に楽しんで、いい雰囲気にして落ち着いてちゃんと告白。

この一日と告白が俺の勝負。


もう三回目だから弱気にもなるだろ?勝負のつもりにでもならなきゃ出来そうになくてさ。


真美にOKを貰うってゆうのが勝つの意味。期限は、今日までのお試し期間の事。

わかった?まだ何かあるなら言って?」


わかりやすく誤解を一つずつ解き続けなから、始めより軽い感じで答える。

掴んだ真美の腕から力が抜けて行き、目に涙が浮かび始めた。


本当にごめん。そんな顔させて泣かせてごめん。


真美の背中ゆっくりと優しくなでる。


「じゃあ…一人で賭けって誤解して騒いでたって事?私って凄い恥ずかしい奴じゃない…。」


誤解は解けたのか?

真美に震える声で言われたけど泣かせる誤解をさせてしまったのは俺…。

泣かせたくなくて指先でこぼれる涙を拭った。


「そうだね。けど、初めに誤解させて今まで解けなかった俺の方が、もっと恥ずかしい奴だよ。

本当にごめん。誤解なんかさせて。」


そんな真美とのわずかな距離がとても寂しくて、心も体ももっと近付きたくて、言葉と共に抱きしめた。


ゆっくりと真美がこれ以上泣かないように、辛くならないように背中を撫で続ける。

それから、どうしても真美に聞きたい事を聞いた。


「こんな俺だけど、真美を好きな事に絶対に賭けも嘘もない。お試しじゃなくて付き合ってくれる?」


その言葉に、真美が俺の胸でこくこくと頷いた。


やっと本当に俺の気持ちが伝わった気がした。嬉しくてたまらなかった。

しかも何回も頷いてくれた。


そのまま真美を抱きしめながら、さっきの言葉を思い出した。


「言っておくけど他の女の子と付き合いたいなんて事は、カケラも思ってないから。」


これは、これからの課題だ。

真美にちゃんと信用されるように。

誤解なんて物を、もうさせないように。


そう思いながら頬にキスをしたら余計に泣かれて、そんな真美が可愛くてたまらない。


けれど、いつまでもそうしていられる訳もなく、自分で自分を叱りながら我慢を重ね何とか真美を家に送り届けた。


「たっくん。ありがとう。気をつけて帰ってね。これからもよろしくお願いします。」


最後の付け加えられた一言が嬉しくて、真美が可愛くて別れが寂しくて。


名残惜しいけど家の前なので頬にキス一つで我慢して、今朝とは全然違う気持ちで帰った。


ひと息ついた自分の部屋で公園で誤解が解けて気持ちが伝わり、真美が彼女になった事を考えてニヤニヤしていた。

そして、拾ってきた真美の手紙も思い出した。


なに書いてあるんだろう。


浮かれすぎて最初から誤解させて追い詰めていた事を忘れていた俺は、その手紙には奈落の底に突き落とされた。

宛名を見直してみても


谷沢くんへ


封筒にそうかかれた、まぁちゃんの字の手紙。


嘘だ…。

誤解も解けるように話をしたし、まぁちゃんの誤解も解けた。

告白もちゃんと出来てまぁちゃんは彼女になってくれた。


あれ?まぁちゃんの気持ち教えてもらってない…。もしかして好きじゃないとか?


気が付いた途端に、下手に記憶力が良い俺の頭から離れない手紙の内容。

読み返してみても変わらない内容。


焦り、不安、嫉妬が一気に膨れ上がる。


落ち着け、俺。この手紙は嘘だ。


この手紙を書いたのは、賭けと誤解していたまぁちゃん。

彼女になってくれたのは、賭けの誤解の解けたまぁちゃん。


別人だ。だから内容も嘘に決まってる。そう思え。

今のまぁちゃんが好きなのは俺だ。そうに決まってる。


割り切る手段に破り捨てようとしたが、まぁちゃんからの手紙。

出来る訳もなく机の上に置いた。


なんでこんな俺と別れる様な手紙。昨日以前に書いたはず。


公園でなんて言ってた?ギリギリで本当の付き合うにして俺の勝ち…?

告白はツリーの時か?

じゃあ、賭けと思って今日のデートで告白、本当に付き合ってすぐに別れる予定の手紙だったのか?


本気で賭けと信じてたんだ。

俺、自体が信用されてなかったんだ。


まぁちゃんの声を聞いて安心したい。

この手紙を嘘だと聞きたい。

携帯…だめだ。まだ聞けてない。

家に電話するには遅すぎる。


さっきまでの元気はどこへやら、ズンと沈んでべッドに入った。





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