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デートの約束をした夜は嬉しかったけど、真美の様子がひっかかる。

せっかくのデートなのに俺だけが空回りしてる気がして、切なくなってしまう。


翌日は真美が桜ちゃんと帰ったので、いつもの三人組と帰る事にした。


「初デートかぁ。いいなぁ。」

「俺は、まだまだだな。ほんとだなぁ。」

「幻滅されないように気をつけないとね匠。」


真美と仲がよくなるにつれ、三人に話をしていた。助かる事も腹が立つ事もある。


「お前ら…。心の広い俺は許して、いつか倍にして返してやる。」

「なら、許してないじゃん」


四人で大笑いしながら呑気に遊んで帰った。


デートの約束の前日の金曜日が来た。

その日は真美が委員会の日。


困り顔の真美だったけれど、暗くなるのも早いので俺は三人組と教室で遊んで待つ事にした。


「ところで、まぁちゃんの携帯聞けたの?」

「まだ…。」


ため息まじりに答えたく無いけど答えた俺。


「なんで?じゃあ、まだ家電?」

「よく一緒にいるんだから聞けるだろ。」

「聞き方わからないんじゃない?まぁちゃんも匠が遊んでたの知ってるから引かれそうで。」

「それも、そうだな。」


好き放題に言われた。いいんだ明日はデートだから。


「聞けないんじゃなくて、話したり一緒にいたら浮かれて聞くの忘れるだけだ。」

「ばっかじゃね〜の。」


答えてやったのに大笑いされた。けど、自分でもそう思う。


「それより賭けの事はどうなったんだ?」


柳が真面目な顔で聞いてきた。


「まだ…。」


また、答えにくい所をついてくるな…。


「期限は明日なんだろ?出来るのか?」

「明日、映画行くからその日に勝負する。」


続く柳の問いに答えながら緊張してきた。

明日のお試し最終日に気持ちを伝え、付き合いを申し込む。そう決めていたから。


「勝ちの本当の付き合いにできるの?」


松山が珍しくきちんと聞いてくる。


「勝つよ。」


珍し過ぎて緊張に不安まで大きくなり、言葉は強気に顔は無表情に答える。


「まぁちゃん、今までとタイプ違うしな。」

「賭の事すら話せてないのに大丈夫なのか?最初に変な誤解してたんだろ?振られちまうぞ。」

「あんなに聞くチャンスあるのに携帯番号さえ一ヶ月聞けないんだもんねぇ。告白の時にまぁちゃんの前で、また情けなくなるかもね。」


「お前ら…頼むから俺のデリケートな心を傷付けるな。三回目だぞ?しかも初のデートの前日。もう少し前向きに盛り上げてやろうとか思わないのか!」


まぁちゃんと、よく一緒にいるようになってからかわれ笑われる事が増えた。


けど、この三人がまぁちゃんと俺を心配してくれているのは、ちゃんと伝わる。

だから、柳の言葉がやけにひっかかった。


ちゃんとした告白は明日で三回目。

二回目から一ヶ月。

今度こそ、時間をかけて落ち着いて話そうと荷物のかかった真美の机をみた。


予定の時間が来ても真美は教室に来ない。


「今日は遅いな。」

「俺、用事があるからそろそろ帰るわ。柳も行くぞ。」

「じゃあ、後はお若い二人でにお任せして…。どうぞごゆるりと。俺、自販機に行くから先に行ってて。」


青井と柳が出て行き、最後に松山が見合いのおばさんのような言葉を残して行った。


一人の教室で俺は窓から校庭の運動部の練習を暇潰しに見ていた。

扉が開く音がして振り返ると松山がいる。


「忘れ物か?」

「違う。匠に話。」


俺の方に松山がくる。


「大事な話。まぁちゃん、今日普通だったよな?」


真美の名前が出て正直に答える。


「は?普通。昨日、約束する時に少し変だったけど。」

「だよな。俺もそう見えた。絡む奴らは?」

「前のキッチリ話た時から、そうしそうな奴には釘さしてる。何かあった?」


俺は真美の事はキチンとする。

真美は、相変わらず普通に話はするけど、ただそれだけ。ただのクラスで話す友達みたいた。

おばさんの入院の時みたいにとは言わないけど、もう少しは出して話して欲しい。

やっぱり、俺が彼氏じゃ嫌なのかと悲しく、どうしてかと考える度に落ち込んでいく。


「いやね、普通まぁちゃんみたいな感じの子ってデートの前日って素直にドキドキしたりしそうじゃない?」

「まぁ、そうだよな。甲高い声や、妙に引っ付いた慣れた感じじゃないだろうな。」


「それがさ、さっき自販機のベンチにまぁちゃんいてボンヤリしてた。顔色も悪くて。匠が教室いるって声かけたら驚いて、慌てちゃって持ってた缶ジュース落としてさ。開けてもなくて、拾ってあげたら冷めてるの。


俺は、松山の言葉の意味がわからなかった。


「それが今の季節暖かいのしかないミルクティーでさ。俺達教室いるの知ってるのに、持ってて冷めるまであそこでボンヤリしてたみたいで何だか気になって。」


そんな、まぁちゃんを一人にさせておきたくなくて俺は、すぐに自販機向かおうとした。


「待て待て。もうすく教室来るって言ってたから。

明日が期限だけどデートだろ?何にかわからないけど、気をつけて話したそうなら聞いてやれ。

あ。来た。

俺、帰ってる事になってるから。じゃあな、匠。」

「松山、サンキュ。」


隣の教室から扉が閉まる音が聞こえるのを確認して、俺達はコソコソ教室を出て別れた。





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