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それは9月のある日だった。
色々な遊びにも飽きつつあり
今のうちにバイトにもう少し身を入れようかと考えてた夕飯時
「匠。あんた進路どうするの?もう高校二年でしょ?」
「ん~…」
何も考えてなかった俺は適当に返事をかえした。
「まぁちゃんも同い年でしょ?まぁちゃんは、県外に行こうか何て言ったりしてるんだって。それでね…」
母親の話は、まだ続いていたが俺の頭の中は
県外?
この単語だけで頭の中が一杯になった。
正直、そんな自分に驚いた。
母親同士が仲が良い為、お互いの兄弟と一緒に遊んだりして仲も良かったが、それも時間が経つにつれ無くなっていった。
中学の頃には、学校で話す事も無いといっても良い位で
最近のように学校で見かけたり、家に届け物を持って行った時に顔を会わす程度だ。
部屋に戻り、そんなまぁちゃんの事を思うと
「たっくん。ありがとう。気をつけて帰ってね。」
届け物をした帰りに必ず言う言葉と、ほんわり笑顔で柔らかく言う姿が浮かんだ。