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     ●警戒2(2)

「・・・っ!と、とっちゃだめぇ!」


『紅心の珠』をとられちゃったら魔の者のみんなに顔向けできない!

しかも離れようともがくけど腕の力が強すぎてあんまり効果ないし!


っ!・・・・、・・・・・?

あ、あれ?いつまでたっても何にも起こらない。

あれ?私は、彼に、腕を掴まれ、引き込まれた。

つまり・・・これは、抱きしめてる?

一方的だけどこれは抱き合ってることになるの!?


「な、ななななななんで何をこのような状況が!?」


わ、私こんなふうに、男の人と抱き合う・・・なんて、したことないっ。

多分このドキドキは伝わっていると思うのに腕の力は緩まないし!

って、きゃーっ!か、髪っ、私の髪さわってるぅー!


「あ、あああの。勇者様!?なに、なにぃー!?」

「んー・・・?いや、うん。・・・あー。やっぱり」


私が聞いてるのになんで一人でしゃべるのー!


「ところでなんで勇者様?」


・・・本当に自由な勇者だなぁ。なんか一気に脱力しましたよ。


「・・・秘密っ」


王子様みたいにカッコいいからなんて理由、馬鹿にされるに決まってるもん。


「・・・ふ~ん。まぁいいや聞くのめんどいし」


そう言うとまだ離す気はないらしく相変わらず色々と触っては一人で納得している。

私に障ってもなんにもでないですよ。というかなんで触るの?

たまに勇者様のすること、よくわかんない。


・・・でも、まぁ、嫌じゃない。

むしろ勇者様のほうから私に触ってきてくれるのがすごく嬉しい。

勇者様の手、冷たくて気持ちいぃ~。


私にさわって。私を見て。私に話しかけて。

勇者様に会うたびに私の中の欲望がどんどんあふれ出てきている。

この前あきらめるって決めたのに、まだあきらめきれない自分がいた。


だって、やっぱり辛い。勇者様と戦いたくない。

あなたに嫌われたくない。

あなたが女性と話すのを見るのが苦しい。

・・・特にあなたの仲間のあの金髪美少女と。


だからお願い、今だけ。それだけでいいから。

二人しかいない今だけでいいから私を・・・


「・・・もっと・・・ちかくで」


ドタドタッガチャン!ドンドンガタ!


「おい!フェイル!無事か!?」

「いたら開けなさい!だめなら強行突破するわよ!」


・・・勇者様の、仲間。

・・・幸せの時間は、終わり。

どんなに私が望んでも人間からしてみれば私は勇者の『珠』を狙う悪者。


私は魔王 あなたは勇者


私はあなたの拒絶が怖い。

だからこの思いは伝えない。


「・・・次こそは、勝つからね・・・」


自分の声が思っていたよりも暗かったことに、びっくり。

不審に思われちゃうね。笑顔、笑顔!


「だから、その時ちゃんと戦ってよね!」


すでに彼は拘束をといていた。


と、急に静かになったのはドアをたたく音が止んだから。

・・・来る。

私は初めて彼の顔もみず、黙って逃げた。

彼もしゃべらないのはきっとめんどくさいからだろう。

・・・いつも、そうだから。

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