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     ○アスフォン国(2)

お久しぶりです。

また更新は遅めですが、よろしくお願いします!m(__)m


久しぶりの投稿なのにいきなり説明ばかりです汗

「それではさっそく出発しますよ〜」

「お〜ぅ!」



ベタの言葉に元気よく返事したのはレイシューだけ。



「みんな、へんじは〜?」

「「「………」」」



すごく嫌そうな沈黙と、怒りすぎての沈黙と、考えにふけってそれどころじゃない沈黙と、……長い長い長すぎる説教に耳を痛めた上に寝不足で返事をするどころかめんどくささ感が明らかに出ているであろう沈黙。

仮定なのは主観的であって客観的ではないからだ。

ちなみになんであいつが怒っているのかというと昨夜の魔王のことを話したため。

失踪したはずのレイシューのことを他のやつらに説明するにはフィアナもいるのに魔王のことをなかったことにするのは確実に無理なことだった。

……まぁ魔王の、いや、ミオの名前を知れたんだ。これくらいの痛手だけでもよしとするか。


と、考えてるとレイシューがこっそりと俺に話しかけてきた。

身長差がありすぎるので仕方なく抱っこしてやることに。見た目は男のように見えるが、レイシューは身体も中身も完璧に女であり、旅で少し鍛えられたのか子供にしてはとても軽い。

今こいつはなんかすごく言いたそうな顔してやがるし、顔からしてどうも他の奴らには内緒の話のようだ。



「勇者は、魔王がすき?」



……フィアナもレイシューもそうだが、なぜうちの女性人は的を確実に当ててくるのだろうか。

それと唐突すぎる。

昨日ミオと何か話したのだろうか?


…あぁそうですよ。好きですよ。

それの何が悪い。いや魔だから悪いのか。

ともかくまさかお前までもフィアナ同様なんか言うんじゃないだろうな。

俺がなんとも言わなかったせいか、レイシューは勝手に一人で理解したようだ。



「よかった!少なくとも勇者が魔王をきらいじゃないのには、あんしんした!」

「…何でお前が安心するんだ?」

「ひみつー!…もっともっと魔王をすきになってくれる人がたくさんいたらいいのにね」



いや、それはそれで俺が困るんだが。

魔王の味方がいるのは良いがそれが恋愛感情ではすごく困る。

………ん?



「お前そんなに魔王の肩を持っていたっけか?」



ベルガほどじゃないが何となく軽い戦意を持っていた気がするが…。



「……うん。なんだかよくわかんなくなっちゃったけど、今はどうすればいいのか、なんとなくわかる。たぶん、フェイルと一緒だと思うっ!」



……子供らしくないこいつが考えたんだ。

ただの軽い発言とは思わないほうが良さそうだ。

それに今の発言でこいつは魔王の敵ではなくなったと思う。



「……レイシュー、忠告。昨日何があったか知らないが、それはベルガやフィアナには絶対に言うんじゃないぞ。」

「リッツェルやフェイルには?」

「あいつは興味もたないだろうが、一応言わないどいとけ。…俺も詳しくは聞かないよ」



レイシューにうまく説明できるとは思えないし、……レイシューの心境を変えた何かがあったのだろう。

何となくだがそれを無理に詮索しないで二人だけ話にしたほうが良さそうな気がする。



「レイシュー、俺との約束だ。昨夜のことは魔王とお前だけの秘密。今してる話のことは俺とお前だけの秘密だ」

「男と男の約束だね!」



………うん?

まぁいいか。訂正はめんどい。








「……私は、納得いかないわ」



レイシューの次はフィアナか。

次から次へと…。特にフィアナはしつこいやつだな。

位置的にも俺達の会話は聞こえなかったはず。

たぶん自慢の勘と憶測でだいたいの会話の背景を読み取りやがったな。



「でも……、私は見なかったことにするのよ」

「…それは、見逃すというこ」

「断じて違うわ。私は毎回毎回都合よくあなたと魔王のことについては気付いていない、ということにするのっ!もうこれ以上聞かないでよっ!」



……よくわからんやつだ。

まぁ、いい方向にいった…のか?

よくわかんねえ。













『魔の者を退治してくださった勇者様一行』を村人達は村の出口まで見送った。

なんて都合のいいやつら。



「着くまでの間にぃ、アスフォン国について簡単に説明しますね〜」

「確か…19の少年が国の王なのよね?どうしてそんなに若いのかしら?」



確かに。

19で国を治めるにしてはまだ子供にすぎない。うちの国の王なんか30近くだぞ。

本来なら親が王となり国をおさめているはずだ。



「そう聞いてくると思いました〜。手っ取り早く説明するためにも、このベタが絵本や書物から資料を作ってきたのでご参照ください〜」



さっき渡された紙か…。

……色々な話が混ざってて、なんかすごいことになっているな…。




********




作成者ベタによるアスフォン国の歴史。


−−アスフォン国物語(一部より)



その昔ドラゴンがいました。

その昔人間の王様がいました。


その昔それはうとまれていました。

その昔それはたたえられていました。


それはその姿がきょういだからです。

それはそのくらいが偉いからです。


それは人々を襲うであろうからです。

それは人々を助けるであろうからです。


人間は正しき者と悪しき者を創りたかった。



だから、



たとえ、そのドラゴンが寂しがり屋で森の奥で暮らしていたとしても。


たとえ、その王様が裕福な暮らしをしていて、まわりに人が沢山いたとしても。


たとえ、そのドラゴンが人を愛していても。


たとえ、その王様が戦を愛していても。


人間がその差を知ることはなく、知ったのは全てが終わるその時でした。






−−アスフォン国のお話し〜残酷な絵本(一部より)



ある日おうさまはいいました。



「ひがしのもりへドラゴンをかりに行こう!」



おうさまはたくさんのへいしたちをつれてしゅっぱつし、はんつきもしないうちにボロボロになった大きなドラゴンをしろにつれかえりました。


たくさんの人がよろこび、おうさまはより人びとにすかれていきました。

べつの日、おうさまは考えました。



「あのドラゴンをどうしよう?」



きずついたドラゴンは、ちかしつでつかまえています。

なやんだおうさまは、



「そうだ!みんなにないしょでどれいにしてしまおう!」



その日からドラゴンは、くらいくらいちかしつで、たいへんな力しごとをまいにちさせられました。


ドラゴンがほんきになればすぐににげられるのにドラゴンはしません。


さびしがりやなドラゴンは、きずついても人びとのやくにたてることに、とてもよろこんでいます。


あわれでやさしいかわいそうなドラゴンがはたらくことで、この国がゆたかになるのに人びとはまだきづきません。






−−アスフォン国のある古い日記(一部より)



驚いた。まずその一言しかでない何から話せばいいのかわからない。

そう、ドラゴンだ。どこからかわからないが空にあの時のドラゴンがいた。そのドラゴンが次々と敵の兵たちを倒していく。


あの王は死んだ。当然の報いだ。

自身の欲求のままに国民の意見も聞かず勝手に強靭な隣国に宣戦布告したのだから。

当初、強い王にみんな、もちろん俺も喜んだが俺達民を巻き込まないでくれ。

息子も親父も死んでしまった。お袋は兵の看護をしたために過労で死んだ。俺にはもう妻しかいない。

人間を殺して生きなきゃいけねえんだ。

そう考えて戦っていたときに目の前に武器をかまえた屈強な敵兵と鉢合わせになってしまった。


無理だ。弱いやつでも手がいっぱいなのに稽古をしたことのないただの大工である俺があんなやつに勝てるわけがない。


死んでしまうのかと思ったその時だった。

へたりこんだ俺の頭上を白くでかい何かが通過し敵兵を跳ね飛ばした。

そう、人形をおもいっきり投げたみたいに。


それはしっぽだった。

気付けば目の前にまでドラゴンが迫っていた。あれほどまでの存在感があるのに気付かなかったんだ…。






−−ドラゴンがのこしたモノ(一部より)



ドラゴンは戦った。それこそ死に物狂いで。


自身は王によって人々が見たときよりも痛々しい身体になっていたのに。人々のために。国のために。己が朽ち果てる覚悟で。力の限り兵達を守り、出来る限りの力で戦いを終わらせようとした。

結果をだけをいえばドラゴンは生き延びた。兵も国民も予想外の大多数が助かった。


ドラゴンは一つの国を救ったのだった。


その後、ドラゴンは王になり、人間と恋に落ちる運命になる。



ーーーアスフォン国の始まりだった





********





「……つまりなにか?王は『ドラゴン』だとでも言うのか?人間でも人狼でも魔の者でもヤータでもでもマイマイガイでもラギデキザルでもラッカラトでも何でもなくその他の生物でもなく伝説にしかないあの『ドラゴン』?」

「実際に存在したなんて聞いたことがないぞ?」



ありえない。

本にはよく登場するあれが実際にいたのなら世界中が大騒ぎになっているはず。


だが、実在するという話はない。

ドラゴンがいるのなら神だっていていいはずだ。



「えぇ、だって一般人は基本的に知りませんし、秘密ですからね〜。勇者様だから特別に教えてるんですよ〜?それにリイチ王以外のドラゴンは何千年も前にすでに絶滅してしまっているので知るすべはないでしょう〜。ですので王の代は初代を除いて全て人間とドラゴンのハーフですよ〜。ちなみに姿はどちらにも変えられます〜」



なぜ19歳で既に王なのかを再度問うと12年前に前王が人間の寿命により亡くなったため、7歳の頃にはすでにリイチ王は即位していたらしい。



「そんな馬鹿なっ!たった7歳の子供に国を治めるなんて無理だっ!!たとえ周囲が補佐をしたとしても他国に襲われ直ぐに滅ぶに決まってる!!なのに何故無事なんだっ!?」

「それが出来たんですよ〜。…取っておきの、秘策で〜」

「秘策…?」

「はい〜!幼少のイル様からリイチ王に可愛らしく『がんばって!』と、言わせるだけでいいんです〜!」

「………」

「………」

「………」

「………」

「……?」

「イル様とリイチ王は7歳の頃から幼なじみなんですよ〜。つまりリイチ王は昔からイル様ラブですのでたった一言の声援だけで、そりゃあもうとてつもない頑張りをみせましたよ〜!……7歳でも、国が成り立ってしまうほどに…」



…もし、大好きな恋人を奪われた時、ドラゴンははどうなるのだろうか。

俺達の理想のドラゴンの姿は打ち砕かれ、もはや何も言えなかった。







やったー!長くなったー!

・・・と思っていたのにここで区切ることに

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