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-4- ●相談事(1)

「人物紹介」に依琉と吏一の紹介を載せました!

「………そういうわけで、どうすればいいかなぁ…?」

「う〜〜ん。つまり好きな人は敵でしかもその人には彼女がいて自分なんか不釣り合いなほど見た目がお似合いだから諦めようと思ったけど相手の不意打ちな一言で諦めきれなくなった?」




ここは魔の者の城………じゃなくて普通の人間の城。

内緒なんだけど実は…私、この城に住んでるこの子が唯一のお友達なんだ。


そう実は私、「一応は」だけど友達がいたのです!

だって!何てったってこの子、私と同い年でな上にさらには生まれも同じ「地球」なんだよ?すごいよねぇ!

唯一違うのはこっちに来た年と境遇くらい……かな?


四才のときにファグアラネルに来てからはこのアスフォン国のお城で暮らしているらしい。

あ、あとこの子はハーフらしく黒髪じゃなくて薄茶の髪してるからファグアラネルでは魔の者とは思われないみたい。

いいなぁ……。私なんか真っ黒黒だから普通の人間に嫌われてるのにぃ…。

もちろんこの世界での唯一の女友達だから嫌うなんて出来ないし、恨んでも仕方がないことだってわかってるんだけどね。

はあぁ~……。



「う、うん。そう」

「さらには別れ際の会話で諦めるどころか火がついちゃったと?」

「………う、うん」

「その相手がもしも吏一君だとして、私だったら………どんどん責めちゃうなぁ。好きな人には見てもらいたいから!」




あ、吏一くんってのはこのアスフォン国の王様であり、彼女、依琉の幼なじみであり恋人らしい。

幼なじみ……つまり、王様も地球出身。彼もまた周囲には魔の者とは思われないみたい。

もともと髪は黒だったらしいんだけど、トリップしてからは色々あって今は髪の色は青に変異したらしい。

色々で青になるって一体何があったんだろう…?


でもでも、私たち二人と王様はたったの2つ違いなのに、もう王様なんてすごいなぁ。

てことは依琉はいつかは王妃様かぁ…。ロマンチックゥ!




「で、でも、依琉……。勇者様に、その気がなかったら…?」

「もし、吏一君が私を好きじゃなかったら………やっぱり、アタックするなぁ。まぁ私と吏一君は昔っから両想いだから、アタックする必要なんてないけどねっ!」

「…本当に相思相愛だね。時間になったら必ず迎えに来てくれるし、このバリアだって依琉のためだけに魔の者対策でわざわざ科学者の人達に作らせたんでしょ?」




『紅心の珠』を所持してるおかげなのか、はたまた人間の体のためかわからないけど、このバリアは何故か私には効かないみたい。

いとも簡単にすりぬけることが出来る。

でもこの装置の設置のおかげか、兵士達は鍵を掛けるだけにしてこの部屋の中に入ってまで警備をしないし、装置の力で余計な魔の者もよってこないから彼女と二人っきりで話すことが出来ている。




「うん。でも本当は私が魔王と話すのもすごく禁止したいみたいなんだけど、私の願いを優先してくれてるのっ!やっぱり優しいなぁ、吏一君は!」




そう。この子も王様も私の正体を知っている。というかこの国でそれを知っているのはこの二人しかいない。

でも捕まえたり、殺したり、国中に口外したりしない。

私のことを王様は極秘にしてくれるらしい。


なぜかって?……「私を捕らえると依琉が悲しむから」、ただそれだけらしい。

それはつまり同じ星の出身であろうと、依琉が私を嫌えば即刻引き渡しってことに…。

ちょっと、ひどい…っ!




でも確かに、本来ならば捕まえて色々と調べたり勇者に引き渡したりするつもりみたいなんだけど、依琉から『私のお友達の魔王!なんと!私たちと同じ地球から来たんだって!吏一くんも仲良くしてね!』なんて目の前で恋人がキラッキラしたいい顔で言われたら断れないと思うんだよね…。

彼氏がいたことのない私でもそう思うし。


それからの私としては王様に会うたびに気まずい気持ちになるのに……。依琉は気付いてないのか無邪気に私のことを話すし、王様は王様でそのたんびに私を怨みがましい目で睨むし…。

どうせなら口で色々言ってくれたほうが楽なのに、全っ然喋んないんだもん。王様。

絶対あの目は打倒魔王としての目じゃなくて、ただの恋人を夢中にさせてる相手への嫉妬の目だ。

そして依琉はそれすらも気付いてないしぃ…!




「でも、別に話すだけならいいんじゃないかなぁ?向こうは別に敵意を持ってるわけじゃないんでしょ?」

「で、でも……。私と勇者様は、敵で…」

<うじうじうじうじじれったいわねぇ…!>

「好きな人に敵も味方もない!なんなら二人で愛の逃避行すればいいじゃないの!!」

「いやいやいや!おもいっきり関係あるし、魔の者は他の者の魔力を感じられるから私は絶対に見つかっちゃうよ!逃げれても殺されちゃうかもだし、私地球に帰ってやりたい目標があるし、それにそれに………勇者様に、拒否、され…たら……!」

「むぅ〜……。あーもーっ!じれったいなぁ!話せっ!目と目を合わせて今すぐにでも話してこいっ!!」




ひぁ!依琉の口調が乱暴になった!

このままだと私はまた王様に睨まれることに…!


うぅ……別に、話すくらいなら……いいのかな…?




『ミオ』




依琉はいつも私を『魔王』って呼ぶ。

様付けで言うもんだから私の配下みたいになってしまったみたいに聞こえて、王様が私を睨む睨む睨む!

だからそれだけはやめてもらったんだけど、その呼び名の理由が「だって私にとって今まで『魔王』なんて絵本の中の存在だったんだよ?一生のうちに滅多に言えない言葉なんだから、今のうちに使っておかなきゃ損だわっ!」だからうらしい。

王様はもちろん他の人の誰も私の名前で呼んでくれないから、本当に私を名前で呼んでくれるのは勇者様ただ一人。



……早く、早く会ってもっと名前で呼んでもらいたいなぁ…。




<くすくす…。そんなに呼んでほしいんだぁ…。まぁ喜んでるあなたのために、私もあなたを名前で呼ばないでおいてあげるわ。べつに他には聞こえないんだから「あなた」で不便はないでしょう?>




…嬉しいような、悲しいような。なんだかふくざつな気分。




「う、ぅ……っ!…わ、わかった!が、がんばって勇者様とお話して仲良くなる!!」




いつも争って(正確には私が遊ばれて)ばかりなんだから、たまには話すくらい何でもないはずだよ!




「やった!がんばって勇者のハートをゲットだよ!?出会いの場は私が作ってあげるから!」




  ―― だがそれは正確には彼女ではなく王である彼の方がほとんど用意するはめとなっていた。










…城から帰った後。つまり私は自分の部屋にいた。

……私はずっと気になっていたことを、彼女に聞いてみた。




「……あの、話が流れてしまったんですけど…。あなたは、何者ですか?いつ頃から私の中に?」

<…ひみつ、としか言えないわ>




いや、すごく気になります。めちゃくちゃ気になります。

前触れもなくいきなり自分の中から知らない声が出たら普通びっくりする。




<だってそうとしか言えないんだもの。でも、一つだけ…あなたと一緒になったのはあなたがファグアラネルに来てからすぐよ>

「そんな前から!?」

<笑いを堪えるのは大変だったわよ。時期が来るまでは隠れているつもりだったから。……ふふっ、あなたが魔の城の中で迷子になったり、寝てるときに勇者を名前を呼びながらよだれを垂らしたり、転移の失敗であの恐ろしいはずの厨房に落ちたり、あなたがおふ>

「ひゃーっ!うぁーっ!きゃーっ!やめてーっ!!」




それ以上あの忌まわしいことを思い出させないでーっ!




<これからが面白いのにぃ…>

「もういいですっ!この話はこれでおしまいっ!はいっ!お休みっ!」




これ以上恥ずかしい思い出を掘り返されてなるものかっ!






<……こんなことでごまかせるなんて…。単純な子で本当によかったわ>







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