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       ●出会い⑤

最初は魔王の過去について、後半は思考?についてなのでちょい暗め。

過去については別のほうで考えていたのですが、収集がつかなくなったのでこの回に一部だけ載せるだけにしました。(汗

ここは私の部屋。さらに言えば魔の者の城にいる。

そして私は自分の部屋の魔王専用ベットという名の大きな布団でごろごろしていた。

しかもただのごろごろじゃない。

枕を押し付けながらの高速ごろごろで、今の私は誰にも止められない!

理由は単純で、……ただ単に悶えてただけ。


勇者が、あんな、あんな……かっこよかった、なんてぇ……。

一目惚れ。

そんなことが起ころうとは数分前の私には想像もつかなかった。

これが……これが、恋なのかぁ…。

最初は一目惚れだとは気付かなかったけど帰るときに気付いてしまった。

どんだけ鈍いんだ私は。


昔、本やアニメとかでみた王子様みたいな、まさにイケメンでかっこいい勇者。

いや、もう勇者じゃなくて勇者様だよ〜…!

勇者様の顔を再び思い出して一人はしゃぐ私。

別に他に誰も見てないからいいもん。


薄暗かったのに、染めたのではなく地毛だと一発でわかる長く綺麗でさらさらした金髪。

太陽とかに照らされたらキラキラ光る、そんな感じに綺麗だった。

……思わず、触りそうになってしまったくらいに。

起きぬけのあのちょっと長い髪が肌にくっついてるところとかもちょっと抜けててかっこいいし……何と言っても、あの顔!あの声!

すっごくかっこよくって………目を覚ました勇者のあの青い目とぶつかったときにはもうハートは射ぬかれてしまった。





……はうぁ〜…そうだよねぇ、勇者様だもんね。

物語の勇者様はいつだってかっこいいもんねぇ……はぁ〜…。

出来ることならお近づきになってお喋りして仲良くなって手を繋いで、それからそれから…さ、最後は……ひゃあ〜!

む、無理だぁ!あんなかっこいい人が私を相手にしてくれるわけがないし、そもそも近づくだけで緊張しちゃうんだもん!


それに何よりも私は……魔なんだから。……私はこの世界じゃ魔であり、『よそ者』だから。

このファグアラネルになじむ前に帰らなきゃ。

早く、早く帰って地球の時の私を思い出さなくちゃ!



















地球にいる時の私はいつだって失敗ばかりで、私がでしゃばっちゃうときはいつも誰かを必ず不幸にしてた。


きつい性格の母と小心者な父。

あの日、私のドジが原因で父の隠れた浮気が母にばれた。

以後、私は父に疎まれ新しい母にはいつも何か言われ続けることになる。

それが幼稚園児の頃の話。




それからは小学校、中学校、高校では誤解や余計なお世話が日常茶飯事。


例えば、道に困ってる友達に正反対の道を教えてしまったり。

例えば、急ぎすぎて道端の子どもの頭に鞄をぶつけてしまったり。

例えば、約束を忘れて寒空の下でずっっと友達を待たせてしまったり。

例えば、友達の好きな男の子にその娘の気持ちをうっかり話してしまったり。

例えば、その人が転校するわけでもないのに勘違いしてお別れ会を企画しちゃったり。

例えば、大事な時に前の人の足を踏んじゃったり。


地球にいたころよりかはファグアラネルでの生活は、周りの人間は自然と避けてくし失敗の数は格段と減ったけど、失敗は本当にたまにだけど起こってしまう。

全て些細なことかもしれない。

そんなことぐらいで、って思う人もいるかもしれない。




でも、私の今までの人生の半分が失敗でおさまっている。

いくら些細でも、軽くても、その数があまりにも多すぎた。




恥ずかしく哀れな失敗ばかりの学校生活を送り、友達と呼べる存在はどんどん減っていった。

いることにはいるが私にはあまり関わろうとはしないし、元友達は廊下ですれ違うたびに舌打ちをされる。


……気にしてないわけが、ない。

彼氏いない歴=私の年齢=つまり私の生涯は全てうまくいかず色んなものを台なしにしてきたのだから。



もっと上手くやりたい。

もっともっと色んな人の役に立ちたい。

もっともっともっとたくさんの人に好かれたい。

…だから私は気持ちだけは前向きになる努力をする。

暗い気持ちで人を救えるとは思わないし、それでは私の気分も暗くなってきてしまう。






……でも、それでもやっぱり思い通りには全くいかない。

前向きになっても後ろ向きになっても、私は結局は変わらなかった。

……私はいつになったら人を喜ばすことが出来るの…?



半ば諦めと悲しみと悔しさが混じりながら空を見上げたときだった。

いきなり私の上空、というよりも頭のすぐ上に黒いような暗いような暗黒的な空間が浮かんだと思ったら急に目眩がした。

コーヒーカップで長居したようなぐるぐるした感覚から覚めたときにはもうすでに私の知っている世界などなかった。





ーーチャンスをもらった





人、いや人ではなかったけど、とにかく誰かを救うチャンスを私はもらったんだ。

目の前の美人外国人みたいな人は挨拶の後に確かに私に言った。





ーー「貴女様の手で勇者を倒し、我々を救っていただきたいのです」





後で知ったことだけど人間に頭を下げることは恥以上のことらしい。

それでも下げたのは、無理矢理やらせて自害してはもともこもなく、それは私にしか出来ないことだったから。


……私にしか救えない。


……あの人達はそうまでして私の手が必要。

私は迷わなかった。

迷う理由もない。




そして私が思う理想は自然とこうなった。




このファグアラネルを救う。…より正確には魔の者達を救う。

でも私は用がすめばこの世界では邪魔者。

だから早く地球に帰って、この経験を活かして、ようやく私はたくさんの人を幸せに出来るはずなの。

これが成功すれば、私はもう『失敗』なんてしないんだ。

そして、……色んな人と本当に仲良くなる。

高校一年生の頃は無理だったけど………でも、でも今度こそ、二年生になった今こそ、楽しい高校生活を送れる!

それが私の理想だったのに…。






今の私は変わった。

もちろんまだあの理想の夢を捨てたわけじゃないけど、確実に私の何かが変わってる。



あの人に会ってしまった。



色んな人と知り合えた。



魔の者を救っても彼らが救われないことに遅ればせながら気付いてしまった。



色んなことが起こり、色んなことを知り、………私は、どうすればいいんだろう。





勇者がベルガによってこっぴどく叱られてることを彼女は知らない。

というか魔王が関わるとたいていがお説教タイムになってますね。


そしてベルガはそのことにすら気付いてません(笑)

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