表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/36

     ●変化した 情熱の愛(15)

「ちょ、ちょっとちょっと!ダメよ!」




はっ!そうだ恋人さんがいたんだった!

恋人さんが勇者様の前に立ちはだかっている間に私も慌てて距離をとる。




「…フィアナ、納得したんじゃなかったのか?」

「理解はしたけど完全に納得したわけじゃないわ。というかあなた無用心すぎるのよ」

「お前ついこの前『ちゃんと相手しろ』って言ってたじゃねえか」

「言ったけど魔王相手に油断しすぎよ。『玲心の珠』を取られたらどうするつもりなの?」




えっと………痴話喧嘩?

私が原因でカップルに亀裂が!何とかして止めないと…!




「あの」

「こいつはそんな卑怯な真似は絶対にしない」




何か言おうと口を開いたけど、金魚みたいにぱくぱくいって終わり。

恋人さんが前にいるおかげで勇者様に見られなかったのはすごく助かった。




<あらあら。あなたすっごく信頼されてるのね〜。あなたの大好きな人は仲間に刃向かっちゃったわよ〜?>




だって、きっと私は今タコみたいに真っ赤だと思う。

声の人が冷やかしてくるけど何も言い返せない。

それどころじゃない。



…すっごく、嬉しい。

胸が熱く鼓動してる。




<……どしたの?>




嬉しいの、すっごくすっごく!

私、前にいた所でね、失敗ばかりだったの。

だから、だからね!勇者様に言われたことが嬉しい!

勇者様の口からだよ!?

勇者様、敵なのに私を信じてくれてる…!!



………うん、やっぱり、好き。私は勇者様が、好き。

恋はときめき、愛は情熱のらぶ。

私は昔からそう思ってるの。

だって恋をしている間はすっごく胸がきゅんきゅんするけど、これが愛情にかわるとそれどころじゃない。

私は絶対一生この人に恋し続けるの!

でもラブまではさすがに勇者様には迷惑かな?

そこらへんはちゃんと一線作っとこう。




「大丈夫!今日のところは取りませんから!」

「ぇ…」

「それじゃあ勇者様。次こそは取らせてもらうからね」

<…案外あっさり引き下がるのね。獲物は目の前なのに…>




当然!

レイシューは返したから目的は果たしたし、これ以上私がここにいてもややこしくなるだけだしね。

それに、…目の前に恋人さんがいるから、お邪魔虫になっちゃう。


私は勇者様が一生好き。それはきっと地球に戻ってもかわらない。

できることなら、もっともっと仲良くなりたいし、……お付き合いだってしたい。告白だって、したい。

だけど、理想と現実はまったく違う。

勇者様とお付き合いできたらな、なんて何十回と想像したけど現実では目の前には勇者様の恋人さんがいる。

そしてレイシューには「ここにいてもいい」って言われたから一応考え中だけど、私には地球に帰れる可能性がある。

戻ってからは会えもしないのに勇者様だけを想うのは絶対苦しいに決まってる。

でもでもでも!好きなものはしょうがない。

…かなり、複雑な気持ち。




「あ、おい、魔王!」

「っ!な、なに?」




シャニアさんのいる城にテレポートしようとした途端だったからびっくりして急ストップ。

でも魔力状態が微妙な感じになっちゃったから、止まっているというよりは遅めになっただけ。

いつもなら発動の4秒ほどで転送だけど、この状態だとあと15秒もしたら勝手に目的地に飛んじゃうから、勇者様と話すのに充分の時間。




「お前名前は?」

「………はへ…?な、まえ…?」

「魔王でも名前はあるだろ?何て言うんだ」

「…ミ、オ…だけど…」

「よし、次に会ったとき俺に気力が会ったときこそ『紅心の珠』はもらうからな、ミオ」




未緒。

どれほどその名で呼ばれなかっただろう。

ファグアラネルでも。………地球、でも。

大失敗ばかりで名前を呼ばれることは減っていってた。

久しぶりに他の人から聞いた、私の名前。

それも、勇者様に…。




「あ……ゅ、勇者様の、名前は!?」




時間がきて勇者様の姿が消えゆくなか、私は聞き取りづらかったけど確かに聞いた。




「……ふぇいる…」




それが勇者様の、名前。

すぐ近くでシャニアさんが何か言ってるけど私には聞こえない。



……………いたい。

私、この世界にいたい。

……名前で、呼んでくれる、ここに。

恋人がいても、勇者でも、報われなくても、私はあなたが好きだから…。




 ここで、あなたに、永遠の恋を…愛をしたい。



















「………………遅い…っ!!」

「………………寒くなってきたな…」




魔王様、ご兄弟を帰すのをすっかり忘れてらっしゃいます。


あのあと二人は通りかかった村人に見つかってしまったので、慌てて山に逃げ帰りました。

シリアスだったのに台なし(汗)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ