●魔王様はみた!(2)
かなり短くなってしまいました…。
だんごを食べ終え、あんまりにも美味しかったのでとりあえず城に持ち帰って食べる分も買ったあと、魔王はまた宛もなくぶらぶらと歩きながら今日のことを思い出す。
勇者様ぁ~…。…会いたいよぅ。
…はっ!ダメダメっ!またネガティブモードになっちゃった!いけない、いけない…。
そ、それにしても…、私、ゆ、勇者様に抱き、抱きしめられた上に、頭なでなで、されたんだよね…!
…きゃ~っ!と今更ながらに恥ずかしさが舞い戻ってきて、一人悶えてしまう。
さて、フードマントを着た奇妙な不審人物が道端で不審な行動をとっている姿を想像して欲しい。
魔王は周囲に道を避けられていることに気づかないまま、宛もなくさらに歩き続ける魔王。
…あれ?あそこにいるのってさっきいた兄貴さんと弟さん…だよね?それにあそこって確か…。
そこは魔王が知っている場所だった。何せそこは数時間前まで自分がいた勇者たちの宿の目の前だったのだから。
魔王はこっそりとばれぬように、そして周囲からさらに不審な目で見られていることにも未だ気づかぬまま二人の近くの草むらへと隠れこんだ。
こんなこと、地球だとやったことなかったけど意外とドキドキするもんなんだね…
「やったな、兄貴!案外簡単と出来るもんなんだな。あいつらの部屋の前を通るときなんてひやひやしたもんだけど、あのでかぶつ、馬鹿みたいに声でかいもんだから俺たちが音を出しても全然楽勝だったな。前に狙った一行は気配だけで察知したってのによ」
「し、静かにしてくれ、クリュウ!ばれちまうし、起きちまうよ!」
「臆病者だなぁ、兄貴。あと名前で呼ぶな。自分の首をしめてるようなもんじゃねえか。…まぁ俺らを知ってるやつなんかどこにもいないだろうけど。なあに、大丈夫さ。あいつら俺たちが戻るときもリーダーさんを怒鳴ってたじゃねえか。多分まだ気づいてねえぜあの馬鹿野郎共。勇者ご一行のくせに自分たちの大事な仲間がさらわれたというのに気づきもしないなんてな」
「…追っかけてこないか心配だ。そ、それにしても、子供、かわいいな。見てるだけで和む…」
「おいおい、一応人質なんだから変な情うつすなよっ」
……………………………はっ!
こ、これってゆ、誘拐?の決定的瞬間?なの?
しかも捕まったのって勇者様の仲間だよねこれ流れ的にきっと。というかさっき言ってたしね。
え?あれ?これ、勇者様に伝えるべき?
いや、あれ、でも私、一応敵だしっ。あ、一応じゃなく敵だった。
じゃ、取り押さえる?…って、無理!100パー無理っ!こんな警察とかレスキュー隊とかみたいなのの真似できないし、怖すぎる!ど、どうしよう!
ちなみにサブタイトルは「家政婦はみた!」とかけてますよ