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蒐集家という名の棋士について

最終エピソード掲載日:2026/02/04
棋士・相川恒一は、勝敗よりも「一手が自分の中に残るかどうか」を大切にする男である。対局中にひらめくことは少ない。むしろ、負けた将棋を一晩寝かせ、翌朝になってから最適解を思い出す。彼はその手をすぐに使わず、胸の奥にしまい込み、必要な時が来るまで待つ。

最年少記録や派手な才能がもてはやされる将棋界で、恒一の歩みは遅い。勝ち星を重ねても注目されることはなく、評価は常に「地味」「読める棋士」に留まる。しかし、師匠だけは知っている。恒一の将棋は、読めそうで読めない。彼の手は、時間を味方につけて盤上に現れる。

やがて恒一は、理論派の強豪・佐伯八段、直感型の若き天才・日向といった棋士たちと対峙する。彼らは次第に、恒一の将棋に違和感を覚え始める。研究しても捕まらない。対策しても、少しずつ形が変わる。恒一は新手を指しているわけではない。ただ、過去に負け、寝かせ、忘れかけた一手を、静かに差し込んでいるだけだった。

恒一の目的は、目の前の勝利ではない。一局一局の過程を通じて、自分の将棋を深くしていくこと。その先に、ただ一つの目標――タイトルを一つ取ることがある。ゆっくりと、確実に上へ上がるその姿は、上位棋士たちにとって次第に恐怖となっていく。

そして同門公式戦。かつて敗れた将棋の中で生まれ、長く眠り続けていた一手が、ついに盤上に現れる。その瞬間、恒一の将棋は完成する。
勝利は結果にすぎない。将棋は、思考を寝かせ、時間とともに育てるものなのだと、静かに示しながら。
第一章 ライバル
0話 ある日の前日
2026/01/27 10:08
1話 朝に残る手
2026/01/27 10:10
3話 鋭くない手
2026/01/27 10:29
4話 盤の外
2026/01/27 11:28
5話 静かな欲
2026/01/27 18:33
7話 流れの外
2026/01/29 15:22
8話 負けの輪郭
2026/01/30 22:51
12話 恒一
2026/01/31 19:22
13話 日向
2026/01/31 19:25
第二章 一年後
17話 足りない
2026/02/02 14:38
19話 師匠になると決めた夜
2026/02/02 14:52
23話 師弟
2026/02/02 16:50
24話 夜のラン
2026/02/02 17:00
25話 噂
2026/02/02 17:08
29話 身体の限界
2026/02/02 19:27
31話 取材
2026/02/03 12:32
32話 想定内だが
2026/02/03 12:38
第三章 違う方向へ
37話 初手
2026/02/04 10:05
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