真哉が初めて見つける“本物の想い”
ある土曜日の午後、真哉は一人で学校の屋上に立っていた。
春風が吹き抜け、桜の花びらがゆっくり舞い落ちる。空は淡い水色で、どこか切ない色をしていた。
(僕は……今まで何を考えていたんだろう……)
凛音のことは大切だ。ずっと隣にいてほしいと思う。でも、それは恋愛としての想いなのか。
ゆきはといると、自然に笑える自分がいる。でも、彼女に恋をしているのか。
そんな思考がぐるぐると頭を巡る中、ふと、真哉のスマホに凛音からのメッセージが届く。
「今日、少し話したいことがある……屋上に来てくれる?」
胸が少し高鳴る。真哉はすぐに返事を打ち、屋上で待つことにした。
数分後、凛音が屋上に現れる。制服のスカートが風に揺れ、少しだけ不安そうな表情をしている。
「来てくれてありがとう……」
真哉は少し戸惑いながらも、凛音の隣に立つ。
「どうしたの?」
凛音は深呼吸をしてから、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「私……ずっと思ってたことがある。真哉が誰を選んでも、私はあなたの幸せを願う。でも……やっぱり、私の気持ちも伝えたい」
その言葉に、真哉は胸が締め付けられる。凛音の瞳は真剣で、迷いがない。
「凛音……僕は今まで、君の気持ちに答えられなかった。友達としては大事だって思う。でも恋愛としては……」
言葉を探す真哉の目の前で、凛音は小さく笑った。
「わかってる。でも、私……諦めない」
その瞬間、真哉の心に何かがはっきりと芽生えた。
(ああ……僕が本当に大事に思っているのは……凛音だ……)
真哉は深く息を吸い込み、凛音の手をそっと握る。
「凛音……僕も気づいたんだ。君を、恋愛としても好きだって」
凛音の瞳が大きく開かれる。
「本当に……?」
「うん……本当だ」
屋上に吹く風が二人の間を優しく撫で、桜の花びらが舞い落ちる。
その光景の中で、真哉は初めて自分の本物の想いを自覚した。
その夜、真哉は家に帰る途中、ゆきはのことも考えた。
(彼女には悪いけど……僕の心は、凛音のところにある……)
迷いは消え、胸の奥に静かな決意が生まれた。
翌日、学校で凛音と笑い合う真哉を見て、ゆきはは少しだけ寂しそうに微笑む。
「……わかった、真哉。あなたの幸せを、私も願う」
こうして、三人の関係は一つの形を迎え始めた。友情と恋愛、嫉妬と優しさ。
真哉が初めて見つけた“本物の想い”は、二人の関係を次のステージへ導いていくのだった。




