ゆきはの涙と、真哉の迷い
週末の放課後、図書館で真哉とゆきはは一緒に課題を進めていた。
「ここ、こうした方が分かりやすいよね?」
ゆきはは笑顔で真哉に話しかけるが、その目の奥にはどこか寂しさが隠れていた。
真哉は答えながらも、心の奥に重い感情を抱えている。
(凛音のこと……僕は本当に恋愛として好きになれない。でも……ゆきはといると……なぜか落ち着く……)
その時、ゆきははふと視線を下に落とし、小さくため息をつく。
「ねぇ、真哉……私、ちょっとだけ寂しいかも」
真哉は驚き、ゆきはの手をそっと握る。
「寂しい……?」
「うん……だって、凛音が……なんか、近くにいる気がして……」
言葉を詰まらせ、ゆきはの瞳に涙が浮かぶ。
真哉は胸が締め付けられる思いになる。
(ごめん、ゆきは……でも、僕は……どうしたらいいんだろう……)
その夜、真哉は一人で夜景を見ながら考える。
「凛音は大事だ。でも恋愛としては……ゆきはといると、居心地がいい。でも彼女を傷つけたくない……」
迷いは深くなるばかりだった。
翌日、学校で凛音とゆきはの間にも微妙な空気が漂う。
凛音は真哉の気を引こうと、少し強引に話しかける。
「真哉、昨日の課題、どうしたの?」
ゆきはも自然に入り込み、二人の間に笑い声が交錯する。
その瞬間、真哉は二人の表情を見比べ、胸の奥で混乱する。
(どっちも大事……でも、恋愛としては……)
放課後、三人で帰る途中、ゆきはは真剣な表情で言う。
「ねぇ、真哉。私……あなたの気持ち、ちゃんと知りたい」
真哉は視線を落とす。言葉を選ぶ時間が必要だと感じた。
「ゆきは……正直に言うと、今の僕はまだ整理できてないんだ」
「そっか……」ゆきはは小さく頷き、涙をこらえるように笑う。
その日の夜、凛音は部屋で一人、枕を抱きしめる。
「私……どうしてこんなにドキドキするんだろう……」
一方でゆきはも、自分の心の中で真剣に葛藤していた。
「私は……真哉のこと、諦められない……」
三人の心に芽生えた想いと迷いは、それぞれ違う形で交錯する。
友情と恋愛、嫉妬と優しさ。日常の何気ない一瞬が、確実に三角関係を深めていたのだった。




