三角関係、静かに始まる
新学期も1週間が過ぎ、教室にはいつも通りの賑やかな空気が流れていた。しかし、真哉、凛音、ゆきはの間には、以前とは違う微妙な距離感が生まれていた。
放課後、図書室で勉強していた真哉のもとに、ゆきはが近づく。
「ねぇ、真哉。明日、一緒に図書館で調べ物しようよ!」
その声は軽やかで、自然に距離を縮めるようなものだった。
凛音は遠くの本棚の影からその様子を見つめ、胸が締め付けられる。
(なんで……あの子、あんなに自然に……)
凛音は自分でも気づかないうちに、ゆきはに対しての嫉妬が芽生えていた。
翌日の放課後、三人は図書館の静かな空間にいた。
ゆきはは楽しそうに資料をめくりながら、真哉に話しかける。
「真哉、ここはこういう意味だよね?」
真哉は笑顔で答えるが、心の奥では凛音の視線を気にしていた。
凛音も黙って二人のやり取りを見守る。
(私……どうして、こうも胸がざわつくんだろう……)
以前はただ隣にいるだけで安心できたはずなのに、今は違う。真哉の笑顔がゆきはに向けられるたび、心がぎゅっとなる。
帰り道、三人は一緒に下校することになった。
「ねぇ、真哉。明日も一緒に帰ろうよ!」ゆきはが笑顔で言う。
凛音は少し口を尖らせながらも、「う、うん……」と答える。
その夜、凛音は自室で自分の気持ちを整理する。
「私、どうしてこんなに真哉が気になるの……?友情だけじゃないのかもしれない……」
一方、真哉もまた、自分の心の揺れに戸惑っていた。
(ゆきはといると……なんでこんなに落ち着くんだろう……凛音のことは大事だけど、恋愛感情としては……)
日常の中で生まれる小さな嫉妬、そして真哉の微妙な揺れ。
三角関係はまだ表立って争うことはないが、静かに、確実に始まっていた。
次の日、学校で凛音はゆきはの存在を意識せざるを得ない。
「ねぇ、真哉……あの子、ずるいよね」
「……ずるいって?」
「だって、自然にあなたの隣に座るんだもん!」
真哉は苦笑するしかなく、凛音の感情がますます複雑に絡み合うのを感じる。
こうして、三人の日常には小さな波紋が広がり始めた。友情と恋愛の境界線は曖昧で、まだ誰も答えを出せない。




