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幼なじみより、好きになれない  作者: 櫻木サヱ


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4/6

凛音の焦りと、真哉の言えない本音

春の風が教室の窓を揺らす日、真哉はいつもの席に座りながら、少し落ち着かない気分を抱えていた。隣にはゆきはがいて、何気ない会話を弾ませている。


「真哉、この問題、一緒に考えようよ!」

ゆきはの明るい声に、真哉は少し戸惑いながらも笑顔で答える。

「うん、こうやるとこうなるね……」


一方、凛音はその様子を机越しに見つめる。心の奥に、じんわりとした焦りが広がる。

(なんで……?あんなに仲良く話して……私じゃダメなの……?)


授業中、凛音の注意はほとんど真哉に向いていた。手を挙げても、心ここにあらずで、答えるタイミングを逃す。友達が笑いながら質問しても、凛音には耳に入らない。


休み時間、凛音は意を決して真哉に声をかける。

「ねぇ、真哉……ちょっと話、いい?」


真哉はゆきはとの会話を中断し、少し戸惑いながらも頷く。

「うん……どうしたの?」


凛音は深呼吸をしてから、思い切って言った。

「最近、なんか……そっけないよね。私、何か悪いことした?」


真哉は唇を噛む。言葉にすれば、二人の関係が変わってしまうかもしれない――でも黙っていれば、凛音との距離はさらに広がってしまう。


「凛音……実は、言いにくいことがあって……」真哉は息を整える。

「なに?」凛音は目を大きく見開く。


「……僕、恋愛として君を好きになれないんだ」


凛音は一瞬、言葉を失った。胸の奥が冷たくなる。

「え……なにそれ……」

「ごめん……でも、友情としては君は誰よりも大事なんだ」


凛音は手元のノートをぎゅっと握る。涙が少しだけ頬を伝う。

「大事……でも、それって、私じゃだめなの?」

「そう……」真哉は視線を伏せたまま答える。


その日の放課後、凛音は一人で校庭に出た。桜の花びらが舞い、夕日のオレンジ色に染まる中で、心の中の不安と焦りが膨れ上がる。

「どうして……気づかなかったんだろう……」


一方、真哉は帰宅途中、頭の中でぐるぐると考えを巡らせていた。

「凛音を傷つけたくない……でも、このままだと僕自身も苦しい……」


その夜、凛音は枕を抱きしめながら、泣きそうになる自分を押さえる。

「私……どうしたらいいの……?」


翌日、学校で再びゆきはが笑顔で真哉に話しかける。

凛音はその様子を目にして、胸の奥がざわつく。

(あの子……真哉とこんなに自然に話して……)


昼休みには、凛音は友達に愚痴をこぼす。

「もう……私、どうしたらいいの……?」

友達は慰めつつも、心配そうに凛音を見守る。


放課後、凛音は勇気を振り絞って真哉と二人きりになる。

「ねぇ……私は、ただ大事なだけじゃダメなの……?」

真哉は目を伏せたまま答えられない。


この日から、二人の関係は以前のようには戻れないことを、二人とも無意識に感じていた。

友情と恋愛、焦りと葛藤。桜の花びらのように、二人の関係に小さな揺れが生まれ始めたのだった。

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