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幼なじみより、好きになれない  作者: 櫻木サヱ


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3/6

転校生ゆきは、現る

新学期2日目。教室には新しい空気が漂っていた。掲示板に貼られたクラス表に、見慣れない名前があった。


「柏木……ゆきは?」凛音が小さくつぶやく。

「転校生か……」真哉も視線を止める。


昼休み、教室のドアが大きく開き、背筋を伸ばした少女が入ってきた。髪は肩までの長さで、柔らかく風に揺れる。眼差しは鋭く、けれどもどこか温かみがある。


「皆さん、よろしくお願いします!」


声ははっきりとしていて、教室中に響いた。すぐに数人の友達が挨拶に応えるが、真哉と凛音は無意識にお互いの肩を軽く寄せ合う。


授業が始まると、ゆきはは積極的に発言し、先生やクラスメイトに自然と馴染んでいった。凛音は少し焦った。真哉はというと、どこか落ち着かない気分になっていた。


放課後、二人は教室に残っていた。

「ねぇ……ゆきはって子、ちょっと変わってるよね」凛音は小声で言う。

真哉は俯きながらも頷く。「うん……なんていうか、強いというか……」


その時、ゆきはが近づいてきた。

「ねぇ、隣座っていい?」


凛音の心臓が少し早くなる。真哉は一瞬、戸惑った表情を浮かべたが、自然と頷いてしまう。


「ありがとう!私、柏木ゆきは。よろしくね!」


自己紹介の声には迷いがなく、真剣さと明るさが混ざっている。真哉はなぜか胸の奥が締め付けられるような感覚に襲われた。凛音も、何か言いたげに口を開けるが、言葉が出ない。


その日の帰り道。二人は無言で並んで歩く。

「……やっぱり、あの子、気になるよね」凛音がつぶやく。

「……そうかも」真哉は素直に認めるが、自分の心の揺れに気付かれたくなくて、すぐに話題を変えた。


家に帰った後、真哉は布団に横たわり、天井を見つめる。

「凛音……好きだけど、恋愛としては……なんだろう。もしかして、僕、恋がわからないのかもしれない」


一方、凛音も自分の部屋で独り考える。

「真哉……どうして最近、そっけないの?まさか、他に好きな人ができたの?」


そんな二人の心の揺れを、ゆきははまだ知らない。しかし、彼女の存在は確実に、二人の関係に波紋を広げていた。

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