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幼なじみより、好きになれない  作者: 櫻木サヱ


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2/6

ゆらぎ始める“いつもの2人”

春の光が校庭の桜を淡く染める頃、真哉はいつものように凛音と並んで登校していた。二人は小学校からずっと一緒で、道の角を曲がるたびに、自然と肩が触れ合う距離になる。


「ねぇ、真哉。昨日の夜って、雨降ったんだっけ?」凛音が聞く。

「えっと、少し降ったみたい。でもすぐやんだよ」真哉は答え、手に持った鞄のベルトをぎゅっと握る。

凛音は笑いながら肩をすくめる。「相変わらず、天気の話も地味ね」


二人にとって、こうした何気ない会話は当たり前だった。だが最近、真哉の胸の奥には、言葉にできないもどかしさが広がる。凛音の笑顔を見るたびに、なぜか心がざわつく。これは、友情なのか、それとも……。


教室に入ると、早速クラスメイトが声をかけてきた。

「お、今日も二人セットで登場か!」

「ほんと、お似合いカップルだな!」


真哉は軽く会釈して笑う。凛音は顔を赤くしながらも、ふざけて「うるさい!」と返す。二人の間に、いつもの空気が流れる。しかし、その“いつもの空気”の中で、真哉だけが少しだけ違和感を覚えていた。


昼休み、二人は教室の隅で弁当を広げる。

「ねぇ、真哉。最近なんか変じゃない?」凛音の声は真剣だ。

真哉は箸を止め、弁当箱の中を見つめる。

「変なことは……ないと思うけど」

「ふーん、そう……?」凛音は口元をゆがめ、少し寂しそうな目をする。


その時、友達の佐藤が近づいてきて、凛音に向かって声をかける。

「凛音、今日の体育、楽しみだな!」

凛音は元気よく返す。「うん、楽しみ!」

真哉は横で静かに見守る。友達と笑う凛音を見ると、安心する反面、自分の気持ちに戸惑いを覚える。


放課後、校門の外で二人は立ち止まる。春風が吹き、桜の花びらが舞う。

「明日からクラス替えだね」凛音が言う。

「うん……」真哉は小さく頷く。


その瞬間、校門の向こうから、背筋を伸ばした転校生が歩いてくる。凛音は目を見開く。

「……あの子、誰?」


真哉も自然と視線を向ける。都会的な雰囲気で、歩く姿に自信がある。何かが、これまでの“いつもの日常”を少しずつ変えていく予感がした。


二人は無意識に少し距離を詰める。凛音の手が真哉の腕に触れる。真哉は一瞬ドキリとするが、それが何の感情かはまだ分からなかった。


桜の花びらが舞い、夕日に照らされた校庭は、これまでの安心感と、これから起こる変化への不安が混ざり合った微妙な色をしていた。

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