試験
目を覚ますと、白い天井が目に入った。
――ここは……病院?
ぼんやりと辺りを見回すうちに、昨夜の出来事がじわじわと蘇ってくる。
「大丈夫か?」
声の方を見ると、椅子に腰掛けて俺を見守っている女性がいた。
神楽志帆――母さんの妹だ。俺は小さい頃から「志帆姉」と呼んでいる。
「朝、玄関の前で右腕血だらけで寝てるの見つけて……びっくりしたんだからね」
苦笑交じりにそう言う志帆姉。
しばらくして医者がやってきた。簡単な検査を終え、カルテを確認しながら言う。
「お体に異常はありませんね。腕の傷も浅い。安静にしていれば二週間で治るでしょう。今日は様子を見て、明日には退院できますよ」
そう言って医者はすぐに部屋を出ていった。
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翌日、俺は家に戻った。志帆姉が昼食を作りながら、ふと尋ねてくる。
「行きたい高校、もう決めてる?」
「うーん……ここだって決めた場所は、まだないかな」
曖昧に返す俺。
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いつも通り学校に行き、席に座る。
「お、ちゃんと生きてたな」
優が笑いながら声をかけてきた。
「お前、高校どこ行くんだ?」
「まだ決めてねぇよ。お前は?」
「内緒」
そう言ってニヤリと笑う優。
「じゃあさ、お前が言ったら俺も言う。約束な」
「……わかった。一応、煌星高校の予定」
少し照れながら口にする。
「マジか! あの煌星高校!?」
――煌星魔法学園高校。
この星で最も名の知れた魔法学園。多くの一流魔術師を輩出してきた名門だ。
「なるほどな……ちなみに俺はIT系の高校を受けるつもり」
なぜITなのかは、あえて聞かなかった。
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数か月後。
「あぁ……緊張する……」
受験当日。筆記試験と実技試験があり、特に実技の比重が大きい。優秀なら定員超過でも合格させるという。
筆記が終わり、残るは実技。
『受験生の方は体育館にお集まりください』
放送に従い体育館へ向かうと、試験監督が説明を始めた。
「内容はシンプル。1対1の対戦を全5試合。そのうち3勝すれば合格だ」
割り当てられたコートに移動し、すぐに順番が回ってきた。
「僕の実力、君で試させてもらうよ」
緊張も束の間、結果は――三連勝。
全員の動きが単調すぎて、拍子抜けするほどだった。
「……三連勝、マジかよ」
内心、自分が一番驚いている。
試験を終えた俺は近くの教員に声をかける。
「終わったらどこに行けば?」
「体育館に戻ってください」
体育館には同じく試験を終えた受験生が集まっていた。皆、確かな実力者に見える。
「せっかく集まってもらったけど、もうやることないから帰っていいよ」
呆気ないが試験監督の一言で、解散となった。
バトルほぼなくてすみません 次回から本格的に魔法学園ものになるので頑張ります 構想は割とあるんで結構早いペースで序盤は投稿できるかも?




