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終局黎明  作者: さたかひ
2/10

試験

  目を覚ますと、白い天井が目に入った。

 ――ここは……病院?

 ぼんやりと辺りを見回すうちに、昨夜の出来事がじわじわと蘇ってくる。


「大丈夫か?」


 声の方を見ると、椅子に腰掛けて俺を見守っている女性がいた。

 神楽志帆――母さんの妹だ。俺は小さい頃から「志帆姉」と呼んでいる。


「朝、玄関の前で右腕血だらけで寝てるの見つけて……びっくりしたんだからね」

 苦笑交じりにそう言う志帆姉。


 しばらくして医者がやってきた。簡単な検査を終え、カルテを確認しながら言う。

「お体に異常はありませんね。腕の傷も浅い。安静にしていれば二週間で治るでしょう。今日は様子を見て、明日には退院できますよ」

 そう言って医者はすぐに部屋を出ていった。



 翌日、俺は家に戻った。志帆姉が昼食を作りながら、ふと尋ねてくる。

「行きたい高校、もう決めてる?」

「うーん……ここだって決めた場所は、まだないかな」

 曖昧に返す俺。



 いつも通り学校に行き、席に座る。

「お、ちゃんと生きてたな」

 優が笑いながら声をかけてきた。

「お前、高校どこ行くんだ?」

「まだ決めてねぇよ。お前は?」

「内緒」

 そう言ってニヤリと笑う優。


「じゃあさ、お前が言ったら俺も言う。約束な」

「……わかった。一応、煌星高校の予定」

 少し照れながら口にする。

「マジか! あの煌星高校!?」


 ――煌星魔法学園高校。

 この星で最も名の知れた魔法学園。多くの一流魔術師を輩出してきた名門だ。


「なるほどな……ちなみに俺はIT系の高校を受けるつもり」

 なぜITなのかは、あえて聞かなかった。



 数か月後。


「あぁ……緊張する……」

 受験当日。筆記試験と実技試験があり、特に実技の比重が大きい。優秀なら定員超過でも合格させるという。


 筆記が終わり、残るは実技。

『受験生の方は体育館にお集まりください』

 放送に従い体育館へ向かうと、試験監督が説明を始めた。


「内容はシンプル。1対1の対戦を全5試合。そのうち3勝すれば合格だ」


 割り当てられたコートに移動し、すぐに順番が回ってきた。

「僕の実力、君で試させてもらうよ」


 緊張も束の間、結果は――三連勝。

 全員の動きが単調すぎて、拍子抜けするほどだった。


「……三連勝、マジかよ」

 内心、自分が一番驚いている。


 試験を終えた俺は近くの教員に声をかける。

「終わったらどこに行けば?」

「体育館に戻ってください」


 体育館には同じく試験を終えた受験生が集まっていた。皆、確かな実力者に見える。

「せっかく集まってもらったけど、もうやることないから帰っていいよ」

 呆気ないが試験監督の一言で、解散となった。


バトルほぼなくてすみません 次回から本格的に魔法学園ものになるので頑張ります 構想は割とあるんで結構早いペースで序盤は投稿できるかも?

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