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1.ベレスフォード王国

目が覚めると、見覚えのある天井。

ゆっくりと周囲を見渡せば、そこはいつも過ごしている私の部屋だった。


「…変な夢。」

昨夜は寝落ちるまで伝記小説を読んでいた。そのせいであんな夢を見たんだろう。

そう一人納得すれば伸びをする。

枕元にあるベルを鳴らせば、今日も私の一日が始まる。


「おはようございます、サクラ様。本日のドレスはどれになさいましょうか」

ドアのノック音とともに侍女が入室する。


サクラ・ベレスフォード。

海に面し、自然も豊かなこの国、ベレスフォード王国の第一王女、12歳。

王家の証である若草色の瞳に、母より薄いピンク色の髪。

それが私だ。

女王制のため、第一王子のお兄様がいるにも関わらず私がこの国の王位継承者となっている。

…まったく、変な話だ。

女王の器なんかでないことは自分が一番よくわかってる。

平和で過ごしやすいこの国が嫌いなわけではない。

もっと広い…この世界を旅してまわりたい。

そう考え始めたのは、いつからだろう。

それでも王家に、第一王女として生まれたからには責任を持たなければならない。

大切な国を民を守るために。

朝の支度をしながら窓の外を見れば、青い海に青い空。素敵な景色が広がっている。


「本日も素敵な朝ですね」

侍女に話しかけられれば笑顔で答える。

「そうね、気持ちのいい朝だわ」


途中、今日一日のスケジュールを伝えられれば頭の中で復唱する。

旅をしたい、そんな夢が叶うことがないことはわかっている。

王位継承者となれば、やらなければならないことがたくさんあるからだ。

それに…女王になれば、ほかの国へ行く機会も増えるだろう。

自由とは程遠いけど、仕方ない。


思考を切り替えれば、まずは朝食だ。

自室の扉を開けば、そこには私と瓜二つの顔が…

「おはようございます、お姉さま」

そう笑いかけられれば私の表情も柔らかくなるのがわかる。

「おはよう、モモ。毎朝待たなくてもいいのに…」

待たせてしまっていることがわかるだけに、申し訳なくなってしまう。

「私が好きで待ってるんです!その…ダメ、ですか?」

うっ…

そんな可愛い顔をされれば駄目とは言えない。

「ふふ、私も朝からモモに会えるのはうれしいんだから。駄目じゃないわよ」

そう答えれば、やった、と嬉しそうに飛び跳ねている。

ほんと、かわいいな…


モモ・ベレスフォード。

若草色の瞳に、私より薄いピンク色の髪。そして、私にそっくりだけど愛らしさのある顔。

この国の第二王女で私の双子の妹だ。


「さ、お姉さま。食事に行きましょう」

モモは私の手をとると歩き始める。

「あ、そうだ。お姉さまってばまた夜更かししたでしょ。私にはわかるんですからねっ」

少し頬を膨らませながら話す姿に苦笑しながら返事を返す。

「モモにはばれちゃうわね。どうしても続きが気になって、途中でやめられないのよね」

「これは、本を没収するしかないかな…」

まじめに考える姿を見ながら、もう少しばれないように夜更かししないと、と思う。

だけど時計を見ることを忘れてしまうんだから仕方ないのよね…


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