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0.それは昔…
強い衝撃を感じた。
目の前にはきれいな青空、背後には私の愛する広大な海。
少し視線をずらせば、相棒といっても過言ではない船が見える。
_ああ、海に落ちているのか。
そう気が付けば、なんだかすべてがどうでもよくなってきた。
船上では、先ほどまでの言い争いが嘘のように静まり返っている。
私の船を乗っ取ったあの女は、これからどうするのだろうか。
私の、愛するあの人はどうするのだろうか。
ゆっくりと瞳を閉じて思い出すのは、義賊として過ごしてきた日々。
ひとつ後悔があるとすれば、あの人に好きだと伝えられなかったことだろうか。
また、運命が巡りあの人と出会えるのならば。
今度はきっと、違う出会いを…