第五話 永劫ノ学園と不滅ノ魔王
「ようこそ、”永劫ノ学園へ”」
そう紹介するのは、銀髪、高身長の制服姿の少女。
「なんだぁ~ここ?」
「ここは、次の魔王。七十二宙第三十七神座…”不滅王”の宇宙だ。」
魔王には一人一人に自身の心象宇宙が与えられる。
その宇宙の広さや構造は千差万別、その者の力量や特性に依存する。
そしてこの学園宇宙は宇宙の中でも最も狭い宇宙ある。
「は!んじゃ、さっきいたあのRPG見てぇーな世界も普通の宇宙とはちげぇーってことか?」
「いや、あ奴の宇宙は大体お前の世界と広さは同じだ。だが、奴は魔王の中でも二番目に最弱。そしてこの宇宙の魔王は…」
(まてよ、実力に依存して宇宙の広さが違ってここは一個の学園レベルの宇宙ってことは…)
そう、この宇宙の魔王は七十二宙の中でも最弱の魔王。
不死性以外は何の取柄もない、不死身の無能魔王の宇宙である。
「あらあら、お二人とも見ない顔ですわねぇー。もしかして、新入生ですの?」
そうこうしていると、学園の門の前に立っていた銀髪の女が波留ノと最果てに近づいてきた。
「おう!俺の名は波留ノ。」
「我の名は最子と申す者、ここについたばかりで何もわからないのだが。案内してくれると助かる。」
「かしこまりましたわ!」
そう言うと、二人は銀髪に連れられて学校内を案内される事となる。
「ここは食堂、毎日我が校が誇るシェフが手によりをかけた素晴らしいメニューが並んでおりますの。」
そう言うと学生達がチャイムと共に一斉に集まり、一つのパンを巡ってひしめき会っている。
「ほぉ~これが学園漫画あるある、食堂のパン屋に駆け込む学生か…」
「何を言っとるんじゃ汝は…」
(とう言うかシェフと言うわりに、ただのエプロン着たおばちゃんにしか見えないぞ。)
銀髪はありとあらゆる物事をお嬢様ぽく言ってしまう癖があるのだ。
「ここは我が校が誇る部活動の様子ですわ。」
そこは学校のとある教室の前、その教室の中にはメイド服を着た学生が学生の接客をしている。
「ほぉ~これが学園漫画あるある、それよく許可下りたなって感じの謎の部活か…」
「だぁーから汝はなーに言っとるんじゃ。と言うかメイド喫茶って普通学園祭とかでやらんか普通…」
ここは魔王の世界なので、普通は通用しないのである。
「そしてそしてここが我が校が誇る街中が見渡せる、絶景絶美の屋上ですわ。」
屋上の入り口をくぐると、そこで寝転がる生徒が一人。
「ほぉ~これが学園漫画あるある、屋上で寝転がる生徒か…」
「だーから何ってとるんじゃってもう!…とにかく、銀髪。一度学園の代表に挨拶したのだが…」
「代表?あぁー生徒会長のことですね。はい!次はそこに行くつもりでしたわ。」
最果ての発言を受け、銀髪は学園の中でも最高権力を持つ生徒会室へと足を運んだ。
「なんつぅーか、一生徒達の委員会の場にしては随分と仰々しい場所だな。」
その場所に至るまでの廊下には赤いカーペットが敷かれ、その部屋の周辺だけがどう見ても他のコンクリの壁と比べ作りが違う。
「それは当然だろう、この場所。そしてこの生徒会室の主こそが…」
銀髪がドアをノックし、その扉を開けるとその先には…
「おひさぁー最果て、君が僕のところまで足を運ぶなんて珍しいね。かつてあの魔神衆すら従えた魔族最高位の魔月神たる君が…」
「ほぉー気づいておったのか、汝随分と魔王に”なってから”変わったようじゃのう。」
「魔王になった?」
「そうかなぁー変わった?ところでそこにいる”異端の勇者くん”にも、少しお話聞きたいんだけど…」
波留ノが最果てのその言葉に少し引っかかりを見せると、不滅王は波留ノの方を向いてそういった。
それに対し波留ノは「異端だとぉー、そりゃどう言う意味だァーコラ!」と返した。
「どうした?異端と言われたことが気に障ったかのかな。でも真実だろう、勇者と言えば生来から教会の僧侶や国の権力者、もしくわ賢者とかに呼び出されるのが普通じゃん?。それを君と来たら魔王に呼び出されてましてや…その魔王を助けようなんてね。なんか弱みでも握られてんのん?」
「別に?助けてるつもりはねぇーよ。ただ面白れぇー奴らと戦えるっつーから一緒にいる、テメェ―らぶっ飛ばしに来ただけだ。」
波留ノは自身の目的を伏せつつ、不滅王にそう息巻くと生徒会室にある縦長の机に座る四人のうちの一人が波留ノに向けて高速で何かを投げつける。
(ボール?)
「あなた、少し調子乗り過ぎなんじゃないかしら。生徒会長様に向かって…」
そう言って波留ノを威嚇したのは、永劫ノ学園が誇る最高戦力”生徒会書記”。
西郷・大助である。
「俺の相手は筋骨隆々なよくいるパワー系キャラか…」
「侮るなよ波留ノ、彼らは魔王の力を分け与えられた言わば眷属。よく言う魔王軍幹部ってやつさ…」
二人が目の前の強敵の分析をしていると、不滅王は笑みをこぼしてこのような提案をしてきた。
「そうだぁ~勇者くんさぁ~、こんなのはどうかなぁー。うちの生徒会と一人づつ戦って全員に勝てたら…僕が直々に相手をしてあげるよ。」
「なんでんなまどろっこしい真似をしなきゃなんねぇーんだ。」
「そりゃー当然、僕が不滅の魔王だからさ。不滅である以上、文字通り殺すことができない僕を殺す方法を教えてあげるよ。その代わり僕の提案に乗ってくれるかな?」
波留ノは当然その提案をのみ、生徒会書記西郷との決戦に備えた。
「ここは体育館か?」
そこに広がる二面あるコートの奥、舞台の前のコートで行われる”恐ろしい競技”。
「ドッチボーーールよぉ!!!」
「ドッチ…ボール?マジで言ってんのかお前…」
そう、何を隠そう彼女こそ全日本ドッチボール協会期待のホープ。
永劫学園ドッチボール部主将、西郷・大助その人である…
「いや…ここ日本だったのかよ。つかドッジボールつーけどよぉーこっちは一人だぜ、どうやって…」
「あらぁーあなた、化身を呼び出せないの?」
「化身?なんだぁーイナズマイレブンの話か…」
化身とは、この宇宙の人々全員が持つ基礎能力のことである。
化身の数や質はその人の潜在能力によるため、ドッチボールに必要な最低人数である8人本体を含まぬ7人を作りだせるほどの手練れは彼女くらいである。
「んだよ、ただの分身じゃねぇーか。つかその体格に分身能力おまけにドッジボールって…」
「ハンターハンターかよ、と言いたいんじゃろう。」
「おい!最果て、お前魔導王の能力吸収してから俺の頭ん中のぞけるようになったからって当然のように心読んでんじゃねぇーよ。つか!お前宇宙想像とかできんだから分身の7体ぐらい作れんだろうがぁ!」
「無理だな」
「どうして…」
最果てが波留ノの言葉を一周すると、波留ノの問に最果てに変わって答える不滅王。
「なんだぁ~聞いてないのぉ~君。」
「あ”?」
「その子、最果てちゃんはね。魔王の戦いに手を出せないってリスクを賭けてんのさ、だから魔王に関係する事情にその子は手も足も出せない。出したら契約の元に代償を払うことになる…」
不滅王は衝撃の言葉を放ち、波留ノはそれに動揺し最果ての方を向いて睨む。
「リスク?加護の力のことか。でも魔王はそんなもん払わなくて力を得れるって言ったのはお前じゃねぇーか最果て。どういうことだ、説明しろ…」
黙る最果て…
「最果てぇぇぇ!!!」
次回…
「今一度語ろう、この魔月神が…”神から落ちてしまうまでの話をな…”」
【不滅ノ王と最果ての魔王】