第二章 【第一話 魔神ネビロス】
「魔王の旅団?」
別れ際にアガイアレプトから譲り受けた、海號ノ弩級船に乗り。
波留ノ達は次元の海を渡り新な魔王の世界を探し求める最中。
食料調達に立ち寄ったとある宇宙のとある星の情報屋から、”魔王の旅団”なる存在の噂を聞くこととなった。
「でもそれはおかしいな…」
「なんでだよ最果て?魔王に仲間がいるのは普通だろう。」
疑問を浮かべる最果てを見て、波留ノは不滅が従えていた魔王軍などを思い出しそれと同じだろうと口にする。
しかし、最果ての疑問はその一言では解決できない問題であった。
「いや、それはあくまで”配下”であって”仲間”ではない。魔王は究極の”個”の存在…その絶対的力が故に配下は作れど魔王通しで群れることは決してない。それがどうして…」
魔王とは自身の力に絶対的自身を持つ、傲慢不遜の集まり。
群れは作らず手は組まずが普通の状態である。
しかも最果ての封印のため、魔王通しでの乱闘は不滅のようなイレギュラーを除いて争えない決まりであるため上下が付かない。
そのはずの魔王が、まさか同格と認めた相手と手を組んだとは何たるかと…最果ては考えたのだ。
「とにかく事実にせよ嘘にせよ、確かめてみる他なさそうね。」
「それもすだな!」
「ガッテンよぉー!」
天狼寺の提案に、波留ノと不滅は手を上げて賛成した。
「おぬしらは…まったく…楽観的と言うかなんと言うか…」
すこし呆れつつ、他に手もないので最果てもそれに従うことにした。
と言うことで、この話を売り込みに来た商人に金を払い詳しいことを聞くと。
彼らは、森羅万象のあらゆる鉱物が集まる場所。
”洞窟宇宙”にいるらしい…
「アビスってどんなとこなんだ?」
「アビスとは、無限にある多次元宇宙の中でも特質した宇宙でな。本来宇宙は真っ暗な何もない空間が無限に広がっていてその中に星や惑星、太陽系や銀河が無数に存在してるのは知っているな。」
「あぁ~」
「しかしアビスは違う、黒い何もない虚空の宇宙空間ではなく。宇宙全体が、ごつごつとした岩でできた宇宙規模の洞窟になっているのだ。」
そんな壮大なスケールの洞窟はここを置いて他にない、それにアビスの中は迷路のようになっているから姿を隠すのにはピッタリと…最果ては続けて波留ノ達に告げた。
そしていざその目の前に付くと、見た目は普通の宇宙とあまり変わらない…
「あれ?何もねぇーじゃねぇーか。」
「あれはコズミック・ストーンだ。宇宙色をしていて当然、無限に続く多次元宇宙の中でも一番頑丈な…”液状鉱石”。」
「「液状鉱石?」」
波留ノ、不滅、天狼寺の三人は最果ての最後の言葉に驚きそのまま次元の膜を越え宇宙に突入すると突然。
船が何か柔らかい者の中に入るようにして奥に進む。
「この鉱石は、精錬すれば最強の武器となりえるが精錬する前はあらゆる衝撃をもろともしない弾力を持った液体のような鉱石なんだ。とりあえず、空洞のある所まではこのまま船で進もう…」
それから1年が経ち、ようやく船にかかっていた圧力が消え開けた空間にでる。
その間の1年間で、波留ノと天狼寺、ついでに不滅はカリュブディスに搭載された”緋色の魔神”と同格の強さを持つ”鬼神兵”を相手に修行を重ね…。
「はぁ~はぁ~」
全員が全員、1年にして緋色の魔神千体を倒せる程度の実力にまで成長していた。
「でも不思議だな、これでも師匠に勝てる気しねぇーわ…」
「当然だ、緋色は所詮七体の魔神の中でも最弱。残り6体の魔神のなかでも頂点を争うをほどのアレプトとは比べ物にならん。千体程度、彼女なら造作もない…。」
それほどまでに偉大な者、20分の短い間とは言え修行を付けてもらっていたことを…波留ノと天狼寺は胸に手を当てて感謝するのだった。
「で!…ついたのはいいけど、探索はまた明日にしない?。今日も訓練疲れたよぉ~」
「そうだな、旅団の足取りも摑めていないことだし。これ以上の手がかりもない…しかし敵の根城にいるのも事実。交代制で寝るとしよう…」
最果ては当然寝る必要がないが、二人の勇者と怠け者である不滅には必要だ。
だが呪いの影響でもし魔神や魔獣、魔族ではなく魔王が襲ってきた場合。
最果てでは対処ができないため、波留ノ、天狼寺、不滅の順に交代制で最果てと共に船を見張る…
「つか、防衛用の鬼神兵がいるのに。俺達がわざわざここ護必要あるか?。」
「もしものためだ、魔王がどの程度の力を持っているかわからない。なにせ…おそらく魔神と組んでいるとすれば魔神から力を受け取っている可能性が高いからな…」
二人がそう話ている最中、船内に警報が鳴り響く。
「ほらな、言った通りだ。」
慌てて二人が警報のなっている方に駆けつけると、そこはなんと不滅の寝ている部屋であった。
部屋の前で横たわり、バラバラに分解された鬼神兵の残骸がせめてきたものが魔神クラスの実力者であるなによりの証拠となっている。
そしえ壊された部屋の扉の先を見るとそこには…
「悪いが…こいつは連れていくぜよ。」
部屋に入った波留ノと最果ての目の前に映るのは、半殺しにされ気絶している不滅の姿と…
「手ぇー離せや…”蝙蝠野郎”…」
「いやだぜよ、俺ぁー蝙蝠の魔王。返して欲しけりゃ今ここで俺を殺すか…”城までこい”。」
波留ノは迷わず、足を踏み出し900億光年の宇宙を一瞬で跳躍するほどの速度で目の前の魔王に近づくがしかし…
「おせぇなぁ~この程度か…噂の”魔王に呼び出された魔王殺しの勇者様”ってのは…」
その速度よりも、遥かに早い速度で今の波留ノが攻撃された事実に気づくのが遅れるほどの認識外の速度で波留ノを”余った片手で叩き落とす”。
「じゃ!城で待ってるぜよ。…魔王殺しの勇者様…」
その日…波留ノは緋色以来二回目の…”完全敗北”で幕を閉じた。
次回…
【第二章・第二話…蝙蝠と不死鳥 】